ややこしい数学の公式はこうやって覚える!数学公式暗記法

公式

数学の公式は中学、高校と学年を重ねるごとに増えていき、そのややこしさも増していきます。数学の公式に使われているのは、使いなれないアルファベット(実はギリシャ文字も混じっている)であり、より数学を難解なものに見せています。

また、英単語や歴史人物の名前、地名などとは違い「覚えた公式をそのまま答案用紙に書けば正解」というわけではありません。問題の中で使いこなさないと点数が取れないという点でも、公式は厄介な代物です。

そんな数学の公式を少しでも楽に覚え、実際の試験で役に立たせるためにはどんな勉強方法があるのかを解説します。

公式を成り立たせる「根拠」に目を通す

数学の公式は必ずなんらかの「根拠」があります。

数学には、公理・定義・定理という言葉があります。公理は「根拠が必要なく成り立つもの」、定義というのは「人が定めた数学上の言葉の決まり」で、公理・定義については「江戸幕府を開いたのは徳川家康」と同じように丸覚えしてしまって差し支えないものです。

しかし、定理は違います。定理というのは、公理と定義を使って証明されたもの、つまり何らかの「根拠」や「説明」が成り立つものなのです。特に式を用いて証明された定理を「公式」といいます。つまり数学の公式は式を使って「説明」することができるというわけです。

数学の公式を覚える時には、まず、できるだけこの説明の部分を読んで「公式がどうしてこんなかたちをしているのか」という理由を考えてみてください。公式のなりたちを理解しようとすることも、立派な数学の勉強になります。また公式の根拠を知ることで、公式の形が記憶に残りやすくなります。

公式を証明する問題も出る

公式の成り立ちを理解しておくことは、公式そのものを覚えるという以上に役に立つことがあります。というのも、数学の試験では、公式をただ使うだけではなく、ときに公式そのものを証明せよという問題が出題されることがあるからです。

公式を証明する問題は公式を使って計算する以上に難しく、ある意味では非常に数学的な設問であるとも言えます。レベルの高い問題である一方で、公式の証明問題を解ければライバルたちに差をつけることにもなるでしょう。公式の根拠を普段から意識していれば、このような問題に戸惑うことも少なくなります。

できるだけ丸暗記する公式の数を減らそう

実は公式の中には、公式の根拠となる証明を見ているうちに、「暗記の必要がない」ことに気が付くものもあります。

例えば因数分解の公式として有名な以下の公式。

\((x-a)(x+a)=x^2-a^2\)

丸暗記せずとも左辺の式を展開していけば、自然と右辺の形になります。一度、左辺を展開し、\(-ax+ax\)が打ち消しあうのを確かめてみてください。覚えるべき公式として教科書や参考書に載っていると思いますが、公式の根拠を理解してしまえば、特に丸暗記することもありません。

自分で公式の証明を確認していく中で、「これは自分にとっては丸暗記の必要がないな」というものを増やしていければ、公式を覚える負担が少しづつ軽減されていきます。

丸暗記が必要な公式は「例題」とともに覚える

とはいえ、数学のレベルが上がるにつれて、根拠を追い切れないような複雑な公式が増えていくのも確かです。例えば解の公式などは平方完成を駆使すれば自力で公式にたどり着くことも可能です。しかし試験中に公式を自分で導き出すにはとても時間が足りません。

ところがそんな複雑な公式を字面だけで、「xイコール2a分のマイナスbプラスマイナスルートb二乗マイナス4ac」と覚えようとするのはなかなか難しいです。また、公式でいうところのaはなにか、cは何か、実際の式を見た途端頭が真っ白になってしまう可能性もあります。aやcは試験問題では具体的な数字として出てくるからです。

そこで、お勧めなのは「公式」を「例題」とセットで覚えることです。教科書でも参考書でも公式が紹介された後には必ず例題が書かれているはず。この例題は計算的にも負担が少ない数字で構成されていることが多いので、ちょっとした時間で公式を確認するのにうってつけです。またテストは例題のような形式で出題されるので、例題に慣れておくとテストの場面で「公式をどのように使ったらよいのか」と戸惑うことが少なくなります。

1冊の「数学公式集」を常に携帯する

数学の公式は英単語のようにその形を何度も確認するだけでなく、実際に問題を解く中で覚えていくことが大事です。一番良いのは、公式と公式を使った簡単な例題が載っている本を常に持ち歩いて確認することです。これは英語における英単語帳と同じようなものです。例題は紙と鉛筆がなくても頭の中で解き方がイメージできるような簡単なものが良いですね。すぐに解答を確かめられるような形式になっているかどうかも公式集選びの大事なポイントです。

例えば『センター試験必出 数学公式180 三訂版 (大学JUKEN新書)』はセンター試験に出そうな基本の数学公式を集めたコンパクトな本です。公式、公式の成り立ち、簡単な例題、解答という構成になっています。公式の成り立ちについて簡単に解説されているので、「ただの丸暗記」だけでなく、公式の意味もきちんと押さえることができる良書だと思います。

アプリを使って公式を確認するのも効果的

数学の公式は前述したような「数学公式集」を携帯して、例題とともに使い方を覚えることが重要です。しかし公式集はコンパクトではありますが、結局は1冊の本ですから、自宅に忘れてしまったり、混んでいる電車の中でカバンから取り出すのが億劫だったりと不便を感じることもあるかもしれません。

そんな時にお勧めしたいのが、スマホにインストールできる数学アプリです。数学の公式が確認できるアプリならば、手軽にいつでも公式を見ることができます。無料でインストールできるものもいくつか出ていますので、使いやすいものを選べばよいでしょう(ただし無料のアプリは、一部に誤字があるなど情報が不正確な場合があります。アプリで覚えた公式は後で参考書や教科書を使って知識の確かめをしてください)。

Google Play や App Storeでインストールできる「数学公式集(無料!中学数学・高校数学の公式解説集)」は中学・高校両方で使える公式確認アプリです。履歴確認やお気に入り登録ができ、公式に対する簡単なコメントも読む価値があります。例題が載っていない点は残念ですが、公式を一通りざっと確認するには便利なアプリです。

まずは丸暗記する公式を減らす。暗記は公式集とアプリで

数学の公式には必ず根拠となる証明があります。まずは証明に目を通し、納得した上で公式を覚えていきましょう。

証明を確認する過程で丸暗記の必要がないものに気づくこともありますよ。

また丸暗記が必要なものは、公式集やアプリを使って隙間時間に覚えていきましょう。ただ公式を暗記するだけでななく、例題の中で使いながら覚えていくように心がけてください。

(参考)
大蔵陽一『大学数学ほんとうに必要なのは「集合」 』 | 公理、定義、定理とは ??

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