図書館相互貸借って知ってる?無料で学習ツールを取りよせよう

図書館

勉強するときに図書館の本を参考にしたいことってありますよね。図書館の本は無料で借りられるので、たくさんの参考書を気兼ねなく利用することができ、とても便利です。しかし、地元の図書館にお目当ての本がなかったらどうしますか?しかたないから諦める、という人はまだ図書館を100%利用できていません。今回は図書館を最大限利用するための図書館相互貸借システムについて解説します。

図書館相互貸借とは?

図書館相互貸借とは、図書館が所蔵していない本を利用者から求められたとき、他の図書館から貸してもらうという制度です。「Inter Library Loan」略して「ILL」とも呼ばれます。逆に他の図書館から求められたとき、自館の本を貸すこともあります。

また図書館の相互利用形態の中には、現物の本を送付して利用者に貸し出すだけでなく、資料のコピーを送付してもらう文献模写のサービスもあります。たとえば、新聞記事や雑誌記事など資料の一部が見たい場合は文献模写の方が便利です。

「購入リクエスト」よりも依頼しやすいサービス

図書館にない本をリクエストすることができるサービスを「リクエストサービス」と呼びます。

リクエストサービスと言えば、図書館での購入をリクエストすることと捉える人もいるでしょう。たしかに、「購入リクエスト」を行うこともできますが、図書館の規模や財源、図書館の資料収集方針によっては「購入リクエスト」が通らないこともあります。また、出版年度の古い本だと絶版になっており、そもそも入手自体が不可能になっているケースもあります。

一方で図書館相互貸借の場合、既に他館が所蔵している本を借りるということで、図書館側の負担は少なくなります。また書店への注文から納品までにかかる時間が省け、絶版本でも(他館が持っていれば)借りることができるため、利用者はリクエストからあまり日を待たずに本を利用することができます。図書館相互貸借は図書館にとっても利用者にとっても利益が多いサービスなのです。

※リクエストサービスという言葉は、予約サービスや図書館相互貸借を含める場合と購入リクエストのみを指す場合があります。

利用の際に気を付けること

便利な図書館相互貸借ですが、利用する際には自館の本を借りるよりも気を配らなければならない点があります。

貸出期限を守る

自館の本を借りる場合にも当たり前のことですが、他館から借りている本の貸出期限にはより慎重に守る必要があります。図書館相互貸借は図書館同士の信頼によって成り立っている側面があるからです。その信頼関係の中で一部の利用者がルールを守らないと図書館相互貸借のシステム自体を脅かすことになってしまいかねません。他館から借りた本はできるだけ余裕をもって返却することを心がけてください。

延長の確認

貸出期限は守りたいけれど、もうすこし本を貸してほしい。そんな時は延長ができるかどうか相談してみましょう。図書館側が貸出元に交渉して、延長を許可してもらえることがあります。貸出期限をオーバーしそうになったら、早めに図書館にお願いして貸出期限を延ばしてもらうようにしましょう。

損傷状態の把握

図書館の本はたくさんの人の手を経ますから、ある程度痛みや汚れがついてしまうのは仕方がないことかもしれません。しかし貸出時に損傷状態を把握していないと思わぬ誤解を受けることがあります。他館から本を借りる時は、慎重に扱うようにし、貸出時点で目立った汚れがないか、返却時は汚してしまったところがないか確認しておくことが大事かと思います。

返却場所の確認

図書館相互貸借で借りた本は、普通の本と返却のルールが違う場合があります。例えばA市には市立図書館が5館あり、別館で借りた本でも市内の図書館ならどの館に返してもよいことになっていたとします。ところが図書館相互貸借を利用して借りた本は貸し出しを受け付けた館でしか返却を受け付けていないという場合があるのです。通常と返却ルールが違う可能性を考え、あらかじめ窓口で返却方法を聞いておくことをお勧めします。時間外にしか図書館に寄れない可能性がある場合は、閉館時用の返却ポストが使えるかどうかの確認もしておきましょう。

例外はあるの?

便利な図書館相互貸借ですが、相互貸借提携先の図書館にあるにもかかわらず例外的に借りられない場合もあります。

例えば、基本的には提携先の図書館でも貸出が禁止されているような資料(辞書や貴重書など)は貸し出しができません。また、これは図書館にもよりますが漫画本に関しては館内のみで利用できるとしているところもあります。

いつも貸借に応じてくれる図書館だからと言って、すべての本を取り寄せできるとは限らないのです。

さらに、少々特殊な事例ですが熊取事件という図書館相互 貸借拒否事件もありました。この事件の背景には利用者の図書館除籍図書に対する不信などがあり、大変複雑なのですが、図書館相互貸借サービスが滞った事例としてご興味のある方は以下の記事をご参照ください。

参考元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/toshokankai/62/5/62_KJ00007017752/_pdf

この本はどこにある?自分で検索する方法

図書館相互貸借を利用する際、そもそも自分の欲しい本がどの図書館に存在しているのかあらかじめ調べておけるとその後の手続きがスムーズになります。窓口に行って、「県内の〇〇図書館にあるこの本が借りたいのですが、取り寄せられますか」と聞くことができますからね。

自宅から全国の図書館所蔵資料を調べるには「カーリル」という検索サービスが便利です。

カーリルでは、図書館資料の在庫、貸し出し状態を調べることができます。地名を選択することで、自宅や勤務先近くの図書館でほしい資料が手に入るかどうかすぐに分かります。複数の図書館を追加しての横断検索が簡単にできるので、図書館相互貸借を利用する際大変便利です。地元自治体の図書館丸ごと検索にかけることも可能ですよ。また、大手ネットショップAmazonとも連携しており、Amazonからの本の購入、Amazon内の本のレビューを見ることができます。

図書館相を上手に使って学習効率を上げよう

実は図書館相互貸借だけでなく、図書館という施設には様々なサービスが存在します。例えば、来館者の調査や学習に必要な資料・情報を館員が紹介してくれるレファレンスサービスも上手に使えば学習の大きな助けになります。学校の助けがない独学者の社会人は図書館の職員を学習援助者として頼ってみてはいかがでしょうか。

「図書館にある資料を貸してもらうところ」という一側面だけしか知らない人も多いかもしませんが、生涯学習機関の1つとして図書館のサービスを最大限使ってほしいと思います。

参考資料:「図書館サービス概論」柳 勝文 著 近畿大学

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