英語を始めに習う人にとって、英語をローマ字読みしてしまうのはよくあること。come(カム)をコメと読んでしまって、恥ずかしい思いをしたことはありませんか?しかし混乱してしまうのも無理はありません。ローマ字ではつづり字と発音の関係が1対1と習うにも関わらず、英語の場合は「どうしてこのつづり字をこう読むのか」という背景についてはあまりきちんと教えてもらえないからです。そのため、「英単語のつづり字」+「英単語の発音の仕方」+「英単語の意味」の3つをバラバラに覚えなくてはならないという非常に苦しい状態に陥ってしまうのです。
英語はつづり字と発音の関係が不明確で分かりにくい…とお悩みの人にお勧めしたいのが「フォニックス」です。
フォニックスとは?
フォニックス(Phonics)とは、簡単に言えば、英語のつづり(スペリング)と発音の関係を学ぶ学習方法です。
例えば、英語のつづりと発音の関係には、以下のようなルールがあります。
「母音+子音+eなら母音をアルファベット読みしてeを読まない」
このルールを適用すると、cakeはつづり字を見ただけで「ケイク」と読むことができます。
フォニックスはもともと英語圏の子ども達に英語の読み書きを学ばせるために開発された学習方法です。日本人が「あいうえお」を学ぶのと同じようなものですね。
発音から読み書きまで身に着けることができるフォニックスは、初めて英語に触れる子どもから、もう一度英語を学びなおしたい大人まで、だれでも学ぶ意味がある学習法といえます。
フォニックスを学ぶメリット
英語の正しい発音が身につく
フォニックスはつづり字と発音のルールを学ぶ学習法です。ただし、いきなりルールの暗記から始まるのではなく、まずは正しく英語を発音するための練習をすることになります。
ローマ字読みでの英語では、Aはアと読んでしまいますが、アメリカでは日本のアの音とは少し違う「エとアが混ざったような音」になります。発音記号では æと書きます。
このような、日本語にはない音をどうやって出すのかというところから学習していくので、英語の正しい発音の仕方を身に着けることができます。
英単語の綴りを見ただけで、正しい発音ができるようになる
フォニックスでは、つづり字と発音の関係をルール化して覚えていくことになります。ルールを身に着ければ、全く知らない初めて見た英単語でも、「これはどのように発音するのか」推理して正しく発音できるようになります。
※ただしルールが当てはまらない例外単語もあります。
発音記号の表す音を覚えることができる
フォニックスでは、発音記号の元になる英語の音について学んでいきます。英語辞書を引くと発音記号が載っていますが、その発音記号であらわされている音を1つずつ学んでいくわけです。
つまり、フォニックスで英語の音を身に着ければ、辞書を引いて単語がどんな発音なのか発音記号を見て、確かめることができるようになるのです。
※フォニックスを扱う学習教室や参考書などが必ずしも発音記号そのものを教えているわけではありません。とくに子供向け、初心者向けの教材では発音記号を用いず、カタカナやひらがなで英語に近い音をあらわすこともあります(発音記号であらわされているものを日本文字化した状態です)。しかし、発音記号そのものを習わずとも、発音記号の音の出し方を学習することができるので、あとから発音記号を学ぶのが楽になります。
スピーキング能力が上がる
英語の正しい発音ができる、ということは当然スピーキング能力も上がります。フォニックスでは、アルファベットレベルで正しい発音を身に着けることからスタートします。日本人が苦手としているæとʌ の発音の違いなども、丁寧に学習していきます。そのため、BATとBUTを同じように発音していた人でも、発音をどのように分けたらよいのか、徐々に理解していくことができるでしょう。よりネイティブに近い、綺麗な発音を身に着けたいと考えているなら、フォニックスは非常に良い学習法だといえます。
スピーキング能力向上のための学習法として、有名なものにシャドーイングがあります。これは耳から聞いた英語をそっくりそのまま繰り返す、という方法ですが、実は基礎的な「音の出し方」を理解していないとシャドーイングのスタート地点にも立てないことがあります。
これは、音痴な人が耳から聞いた綺麗な歌をそのまま歌うことができないのと同じです。たとえ自分が歌っている音が聞こえてくる正しい音とずれているのが分かっていても、どのように正しい音を出せばよいのかわからなければ歌はうまくなりません。それと同じように、いくら耳から正しい発音の英語を聞いていても、その音をどのように出せばよいのか理解していないとうまく繰り返しができないのです。
フォニックスで基本的な音の出し方を練習しておくと、シャドーイングを実践する際にも役に立つことでしょう。
シャドーイングについては、こちらの記事もご参照ください。
フォニックス学習のデメリット
ルールを覚えるのには根気がいる
フォニックス勉強の基本はつづり字と発音の細かいルールを覚えていくというもの。このルール、結構数が多いのです。一気に覚えようとすると複数のルールを混同してしまったり、1つの単語をどのルールで読んでよいのか混乱してしまうことがあります。
フォニックスを勉強するときは、すべてのルールを短期間で覚えようとするのではなく、英語の音を練習しながら、ルールを1つ1つ丁寧に確認していくことが大切です。また、ルールを丸暗記するだけでなく、実際の単語と照らし合わせながら続けていくことも必要です。
これにはある程度時間がかかりますし、せっかくルールを覚えても、しばらく使わないと忘れてしまったりもします。
とくに覚える単語が少ない場合は、複雑なルールを覚えるより単語1つ1つの発音をそのまま覚えた方が早かったという場合もあるかもしれません。
実は例外規則が多い
いろいろなルールを覚えて、「これで英単語は全部読める!」と思ったら大間違い。実は、英単語には様々な例外が存在するのです。
例えば、loveは「母音+子音+eなら母音をアルファベット読みしてeを読まない」というフォニックスの理論で行けば、「ロウブ」と読むのですが、実際には皆さん知っての通り「ラヴ」ですよね。
フォニックスを身に着ければ、すべての英単語が自動的に読めるようになる、というのは誤りです。過信は禁物。あくまで新しい単語と出会ったときの発音のヒントとして利用し、辞書がある環境ならばちゃんと発音記号を確認しましょう。
フォニックスに興味が出てきたら、まずは挑戦してみよう
日本の英語教育ではあまりなじみがないフォニックスですが、勉強してみると「この単語はこういう規則で発音されていたんだ」という驚きがいっぱいです。英単語の発音を見直すきっかけにもなりますよ。
フォニックスについて興味が出てきたら、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
以下に楽しく学べるサイトをご紹介します。
「あいうえおフォニックス」https://aiueophonics.com/index.html
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