大学受験で生物選択は本当に不利?3つのメリットとデメリット

勉強に悩む女性

多くの理系大学志望者は、化学・物理・生物の中から二つの科目を選ぶことになります。そして、そのほとんどは、化学を選択した上で、もう一つはどうしようか、となります。

大学受験で生物選択者は不利であるという話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。難関理系大学や医学部受験に臨む受験生は、気になるところだと思います。

私自身は生物選択者でありましたが、確かに物理選択者と比べて後れをとる点もありました。しかし、生物を選択していたからこそ良かった部分もたくさんありましたし、十分な結果も出せました。

そこで、今回は生物選択のメリットとデメリットを徹底解説していこうと思います。

メリット

一問を解くのに必要な過程が少ない

生物の大半の問題は、知識を問われるもので、いわゆる、知っているか知らないかです。そこには特別な思考はいりません。

また、計算問題も出されることはありますが、簡単な四則演算しか求められません。微分積分が必要な場面はありません。しかも、長くて三行程度の式で解けるような問題ですので数分しか、かかりません。

一問を解くのに必要な過程が少ないということは、たくさんの問題を受験前までに解けるというメリットになります。特に生物で知識を問うような問題では、ひねりのある問題を作ることは難しいです。ゆえに、頻出問題であり、且つ類似問題であるといったものが多々あります。実際に、似た問題を解いた経験がたくさんあるということは、受験本番時の確実な点の獲得につながることになります。

 

安定した点数の取得

まず、前述したように、生物は複雑な問題の作成が難しく、どこかで見たことがあるような単純な問題が多いです。頻出問題の練習を適切に行っていれば、試験で七割得点はかたいでしょう。ゆえに、かけた時間が報われることの多い科目と生物は言えます。

また、生物は計算問題も計算過程が少ないので、ケアレスミスによる大量減点の可能性はかなり低いです。仮にあったとしても、見直しも短時間で済むうえに、連続問題であることはほとんどないので、次の問題に影響を与えません。

物理の場合は、大問中の小問の一つ目が計算ミスで間違って、最後の小問まで気づかず進んでしまうことがあります。一問目で出した前提となる数字が違うため、その大問は0点となってしまいます。途中で気づけても、やり直しに時間がかかり、全ての問題を解ききれないことがあります。

 

考察問題は知識がなくても解ける

 全ての考察問題がそうではありませんし、流石に0知識で完答は不可能です。ただ、部分点は確実にとれる問題があることは事実です。

では、事前の知識がないのに、どう考察問題を解くのかという話になりますね。これに関しては国語の読解と同じで、問題文から答えを探せばいいのです。

たとえば、実験Aで分かったことについて考察する問題が出たとします。その場合、実験についての事前知識がなくても、実験Aで何をして、どんな結果が出たかを書くだけでも部分点になります。また、加点法の採点が多いため、結果から、こじつけでもいいので分かりそうなことを書くと、それが正答だったなんてことも多々あります。

たしかに、考察問題を完答するためには、事前知識があったほうが良いです。しかし、合格するのに満点が必要ないことを踏まえれば、何も用意しなくても点数がもらえる問題があるのは生物の長所と言えるでしょう。

 

デメリット

不適切問題の出題

生物の試験における不適切問題は物理より厄介です。なぜなら、問題作成者が意図する模範解答自体が誤っている可能性が高いからです。また、それに作成者が気づくことも難しいです。

このようなことが起きる一つの要因として、その分野において専門外の先生が、ある分野の試験問題まで制作することが挙げられます。特に単科大学にその傾向があります。

たとえば、動物に関する研究を行っている者が、植生に関する試験問題をつくるとしましょう。普通に考えれば陽性植物ですが、例外的に陰性植物の植物があるとします。その問題の内容には陽性植物を二つ選べとあるのに、選択肢の中には陽性植物は一つしかありません。

専門外の先生が問題を作った場合、例外事項の把握や、実験における前提条件の提示という部分が弱いことがあります。自分の専門でない部分までプロであることはないので、仕方ないことではありますが。

こういったことが、どこかしらの大学で毎年あります。物理の場合は解答の数値的偏りや、途中記述で、問題文の不足や間違いに作成者が気づくことがあります。けれど、生物では選択肢問題のことが物理より多いので、不適切問題であると答案で伝える術もありません

問題作成者の作成意図を汲み取るしか、不適切問題に対抗できず、正解かは運次第のところがあるのは、不条理な部分でしょう。

満点を取るのはほぼ不可能

前述の通り、運悪く不適切問題に出会ってしまうことも理由の一つではありますが、知識を問うという形式上の理由があります。

生物の問題レベルを上げる方法は大きく二つあります。一つは考察問題をつくることです。これは初めて見る実験にパニックにならずに、冷静に読む訓練をすればいいのですが、厄介なのはもう一つの方法です。それはマニアックな知識が必要な問題をつくることです。

マニアックな知識が前提となるものは、単語をそのまま聞く問題、選択肢問題、考察問題といったように、どんな形式の問題でも出会う可能性があります。これは専門の先生が、その専門の問題作成を担当した際に、出題される傾向があります。教科書の範囲は容易に逸脱するものの、その専門の世界では常識であるようなものが問われることになり、正答率はかなり低くなります。

そういった専門範囲を完璧にして満点を狙うより、他の教科の勉強に時間を使う方が、最終的なコストパフォーマンスが高いので、マニアックな知識にこだわらないことをおすすめします。

 

覚えることは多い

物理のように、一つの公式から他の式を導出し、それを使って問題が解けるといったような問題は生物にはありません。考察問題は知識がそこまでなくても解けるものがあるのは事実ですが、他に関してはないと言っていいでしょう。大半の問題が、「A(ある単語)といえばB(単語Aの説明)だ。」を覚えることでしか解けない問題です。

また、説明や概念を覚えていても、肝心のAという単語名を正確に覚えていなければ点数につながらないと言った点も物理とは違います。物理で公式名を覚えていないと困る場面は少ないです。しかし、生物では正しい単語を答えとして求められているので、単語を覚えていなければ大変なことになります。

 

結局、生物選択と物理選択のどちらが良いのか

ここまで、生物選択のメリットとデメリットを詳しく説明してきました。やっぱり生物向きだと思った人もいれば、生物は難しそうと思った人もいるでしょう。

そもそも、生物と物理では問題スタイルが異なります。そのため、同じ尺度での比較はできないのです。それぞれにメリットとデメリットがあり、それに対する適応力も人それぞれです。

つまり、各々が自分の性質を知ったうえで、どちらの科目なら点数を効率的に得ることができるのか考えるしかありません。

広く覚える記憶力に自信がなく、計算分野が得意で理系を目指す人にとっては、生物は明らかに足枷となります。けれど、理系に行きたい学部があるが、本来は文系科目が得意といった人には生物は合格への大きなアドバンテージになることでしょう。

生物の勉強については下記の記事をご参照下さい。

大学受験における学習のポイント【生物編】

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