【紙派 VS ネット・アプリ派】学習・記憶効果が高いのは? メリット・デメリットを比較

デジタルVSアナログ

通学通勤の電車内を見渡すと、最近は、ゲームではなく勉強用のアプリなどを使っている方も多く目にします。

ほんの20年ほど前には、混み合う電車の中でも新聞や書籍を広げている人が非常に多かったことを振り返ると随分対照的。

ですが、こうしてスマホやタブレット端末などを使って行う学習、例えばアプリやWebサービス、そして動画などがあり、この中でインプットから問題演習のアウトプット、そしてテスト成績の管理や、苦手分析等までを行えるものも登場しました。

しかし、「紙に印刷された書籍やテキスト、あるいは紙のノートを使った問題演習」に比べて、「各種ネットやアプリを使った学習」では、何かデメリットはないのでしょうか?

今回は「【紙派 VS ネット・アプリ派】学習・記憶効果が高いのは? メリット・デメリットを比較」と題して、紙を使用した学習とネット・アプリでの学習とについて、あれこれ比較してみました。

記憶は学習を繰り返すことで定着する!

まず、何かを理解して記憶にインプット、そして学習を繰り返しさらに問題演習などを通してアウトプットすることで、読み込むごとに情報量を増やし、さらに記憶として自己にプールされている状態を強め、思い出しやすくあらゆることに適用するために、最も効果的な方法であることは良く知られています。

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この「繰り返す学習方法」によって覚えたり取り組んだことが記憶に残り、使える状態になっていることを一般的には「学習定着効果」などと呼んでいます。

ウェブサービスによる学習や、アプリ、問題集による演習などは、この「繰り返すタイプの学習から得られる学習定着効果の面で、大きな影響を与えるもの」としてPRされているものが多いようです。

学習定着効果の度合いは、問題の正答率や単位時間内達成率――俗にいうミニテストや達成度テスト、一般の定期テスト他各種テストを通じてもある程度間接的に測ることができます。

ですが場合によっては、その紙面やアプリ、そこで掲載問題文を丸ごと覚えきるほど解ききってしまい「正直身についているのが理論や演習といった部分なのか、それとも解答丸ごとなのか分かりにくくて張り合いが少ない」といったこともありますよね。

神経レベルでのアプローチ

さて、それとは別に、単に「記憶と取り出し」という面に関して言えば、実は神経や記憶の連関レベル、脳の中の神経回路と分子経路の働きからも知ることができます。

2018年12月米国科学雑誌『Cell Reports』では、東京都医学総合研究所 学習・記憶プロジェクトによる研究成果による、「反復学習が記憶を蓄える、神経細胞集団をいかに形成するかのメカニズム」が紹介されています。

例えばショウジョウバエでは、「時間的な間隔を開けて反復学習を行うと長期記憶を形成」しますが、間隔を空けなければ長期記憶は形成されません。

長期記憶を蓄えるための神経細胞集団「エングラム細胞」を形成する際、覚えたい情報が入力された神経細胞だけで発生した酵素が転写サイクルを形成、活発化されることで、長期記憶の細胞が形成されていきます。

これ以外にも、脳の活動測定にはさまざまなアプローチ方法があり、医学系脳科学や製薬生命工学系、教育や児童心理学、情報工学をはじめ様々な分析や研究結果があります。

これらの本旨や切り口の違い、特性をより深く知ることで、反復学習のために最適な外部からの刺激~学習タイミング設定へのフィードバックも、将来的には行いやすくなるかもしれません。

忘却曲線の理論から考える 効果的な記憶方法と勉強術

「記憶」の性質や特徴からアプローチして記憶定着率を上げる!

反復学習による学習定着効果~記憶とその応用を考える時、忘れてはいけないポイントがあります。

それがよく聞く「短期記憶」や「長期記憶」といった、「記憶」そのものの種類です。

見たもの、聴いたもの、書いたもの……また時には実技で必要な動きの連関や身体のポジションなど、「何かの情報が記憶に残り使える状態になる」には、その記憶が意識のどのあたりに残っていて、どんな意識レベルや手続きで取り出せるのかといったことを知ることも重要なポイントです。

記憶の種類

その瞬間だけのものか、ある程度の短期間残るか、長期間いつまでも残るかといった違いによって「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」などと、さまざまな分野や学派により呼び方が分かれます。
長期記憶に残るものは、必ずしも反復学習や思い出しがなければならないというわけではありません。

ですが、感覚記憶を思い出すか読み込み直すなどで反復強化すれば、短期記憶として保持され、さらに続けていくと長期記憶として残りやすくなるといった研究成果は、「エビングハウスの忘却曲線」といった事実とともに一般的に広く知られています。

記憶を長持ちさせるために

参考書など基本書を繰り返し読んで覚え、ノートに書き、問題演習をその日1日繰り返して定着したと思ったら、また数日後(A日間)に定着確認。
よくできていれば、その日数の数倍(A日間×倍)、できていなければまた同じ程度の期間をあえて定着確認日を設定し、次の復習サイクルと、別の新たなインプットとアウトプット日をプラスしていくとよいでしょう。

また、感覚記憶や短期記憶については、即時に強い衝撃や入出力エネルギーに相当する刺激を与えたりすることで、情報が錯綜したり消されたりして記憶に残らなくなることや、記憶の中身が差し替わりやすいことなどはよく知られています。

ですが、一方で、記憶に残すために精神的あるいは外的な振動や電気刺激を上回る刺激を与えること、活動変位が大きな刺激を送ることで、より記憶に残したいものだけを効率的に覚えさせる方法などもあることは、現代では広くよく知られるところです。

例えば以下のようなことが挙げられます。

記憶している本人の身体に対して、情報やエネルギーの活動変化、刺激量が多い皮膚などへの接触による刺激を与えるもの

  1. 赤ちゃんの喜怒哀楽による学習
  2. 人へのボディタッチ
  3. 暗記時の指回しや頭の皮膚への指での刺激など
  4. キーボード入力
  5. 機器の操作
  6. 踊りの振り付けなど

1〜3は、痛みや接触などによる危険性を意識下に刷り込むときにも使われます。

3のように、思い出しやすくなるといった特性を利用して、記憶としてあまり呼び出しにくいものを優先的に覚えて呼び出すきっかけとして、特定の部位や方法で刺激を与えることによる記憶法なども存在します。

4〜6は、何かをしていると自然に全体の意識や思い出す順、動作の順などを体に叩き込ませることで、自然と思い出して動作までを行わせるもの。
また、もう一つ効果があります。

身体の他の部位連関などで覚えることから、一般のテキストなどによる暗記とは、脳の中で利用されている部位も異なります。

そのため徐々に脳を使って逐次判断する部分を縮小させていき、記憶を整理することで新たに意識して記憶する領域を増やす時にもよく利用します。

こういった特性を活かして自分の体に対して、例えば暗記中に指を押す、ガムを噛む、割り箸を噛む、足の側面を圧すなどしながら記憶させることで、意識的に自分の脳のどの部位がどの程度働き、さらにはどんな風に情報が整理されているかを知ることもできます。

暗記に疲れてこれ以上覚えられないという時、またどの科目の問題を解いても同じ脳の部分だけが働くように感じられて、脳や神経がショートしたイメージになったり、あるいは頭痛や激しい疲労を感じられるという方では、こういった「体への刺激を使いながら暗記」といった方法も良いかもしれません。

「紙を使用した学習」と「ネット・アプリ学習」の特徴は?

さて、「紙」を使用した学習も、「ネット・アプリ」での学習も様々な方法があり一概には言えませんが、代表的なところでは下記の様な特徴があります。

紙を使用した学習のメリット・デメリット

メリット
  1. 教材の種類が豊富
  2. 電源のないところでもその本1冊さえあれば学習できる
  3. 一度書き込みなどで記録したものは長い間消えずに残り、付箋紙を貼ってもページを捲る度にレイアウトが変化することもないため、蓄積型タイプの学習や暗記傾向の人に向く
  4. 多くのテストは紙ベースのため、そのテストの雰囲気をそのまま印刷紙面に再現することで、テスト慣れにも繋がりやすい。
  5. 手を動かしてノートや紙に書くことで、記憶の定着や問題演習を行うため、複合的に脳に記憶が残りやすい。
デメリット
  1. 科目によっては学習時に複数冊が必要となり、荷物の重量が気になる
  2. 書籍の紛失などに際して、バックアップがない
  3. 書き込み量が多くなると見づらい
  4. 手を動かして解答を書くなどの演習ケースでは、ノートづくりや演習時に、文字を書く分時間と手間がかかる
  5. 復習管理や誤答問題管理がしづらいため、繰り返し学習管理にムラができやすい

ネット・アプリでの学習のメリット・デメリット

メリット
  1. 間違った問題だけを、文字を書いたりする時間を省いて繰り返せるので、繰り返し学習が高効率化しやすい
  2. 間違った問題や正答率変遷が見やすいため、忘却曲線を活かしたアプローチや学習モチベーションに繋がりやすく、特に学習初期のINPUT学習を効率良く行える。
  3. 同じ目標を持った人や同じ科目利用者の間での、相対性評価や傾向などを共有することができるツールやサービスもある
  4. 教室などで講義を受けているのと同じ感覚で習得や問題演習が行えるものもあり、ノート作り自体の省力化などを行うこともできる。
  5. マークシート型、選択肢型問題演習のほか、ものによっては手書き記述対応などもある
  6. 持ち運びが軽量。またEbook型教科書の場合、データが消えてしまっても契約期間などの間は代替データでの復旧利用が可能
デメリット
  1. 1画面当たりの文字数や画質などに制約があり、見づらく、ページごとの変化がつけにくいため、記憶に残りにくいという人もいる
  2. 難問を扱ったツールやサービスは乏しいため、入門初期の利用に限られることも多い
  3. レイアウトが比較的画一的で、問題傾向や選択肢の提示選択方法が十分でないものが多いため、その問題の解答としてセットで覚えてしまい、他の問題に応用が利きにくい
  4. 成績や進度などが外部の人にも知られることもあり、個人情報の保護が心配
  5. ゲーム感覚で取り組める、マークシートや短答記述が多いため手に取る機会が多く、手を動かして対策すべきテストなどの時間制限や時間の読みなどへの対応に出遅れがち
  6. 電源が切れてしまったり電波が悪かったりすると利用できないことがある
  7. サービス終了やデバイス(利用者端末)の不調などにより、学習履歴や問題の確認などが行えなくなることもある

両者を比較

ざっと「紙を使用した学習」「ネット・アプリでの学習」のメリットとデメリットを見てみると、双方ともに得手不得手があり、その学習でのインプットやアウトプットの内容やレベルも個人によって様々なことから、一概にどちらが効率が良いとは言えないようです。

基本的には、「紙を使用した学習」では、全体を通して全体を一元的に学ぶこともでき、入門初心者から高度な専門領域でも書籍が豊富。

一方で科目数などが多ければ、紙ゆえに重量もなかなかあります。
また問題演習やノート作りでは手書きになる部分も多いため、時間もかかります。

しかし、先ほどの記憶の項目で触れたような「外的な刺激」も得られることで、記憶の定着に寄与し、さらには問題演習時の時間の読みや適正な利用なども含めた練習が図れます。

他方「ネット・アプリ学習」は特に入門初心者向け、選択肢択一タイプや短答式記述、語句だけといった短めの記述問題に対応しており、インプットからアウトプットまでを短時間で効率良く身に付けながら、記憶の定着を図るのに便利そうです。

ただ、記憶への残りやすさや、応用の利きにくさは問題があるように思われ、またテスト本番での対応力・再現性を培うためには別のアプローチが必要なようです。

それぞれの違いを良く理解して生かしたうえで学習することが、学習定着効果の違いに繋がってきそうです。

まとめ

「紙」を使用した学習と「ネット・アプリ」を使用した学習についていろいろご紹介しましたが、いかがでしたか?

ここで挙げた特徴を良く理解して、学習内容やレベルに合わせて選びましょう。

また現時点で使える時間、科目数や、テスト本番での出題形式に合わせたり、あるいは自分の覚え方の特徴などに合わせて両者を使い分けたりするのも効率が良さそうです。

学習の効率を上げることについては、こちらに詳しく掲載されています。

効果的な勉強に欠かせない!記憶に残る学習方法

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