最近は入試や資格試験、検定試験など試験の種類を問わず、マークシート試験が非常に多くなっています。つまり、マークシート試験を制する者が試験を制するのです。逆に言えば、試験で落ちてしまうのは正しいマークシート試験対策をしていないことが大きな原因です。ここではその効率的勉強法を解説します。
◆マークシート試験で失敗する原因は邪魔者の存在◆
マークシート試験でなぜ間違えるのか、その最大の原因は邪魔者です。だいたいの人は試験勉強を多少はしていますから、それなりに知識はインプットされています。ただ、試験中に迷ってしまいます。正確にアウトプットできないのです。それは邪魔者に惑わされるからです。
邪魔者にはいくつもありますが、まず大きな2点を見てみましょう。それは
(b) 記憶における邪魔者
です。以下、それぞれについて説明します。なお、センター試験の日本史Bを題材にしますが、これは誰でも一応なじみがある内容だからで、マークシート試験であれば、他の試験や科目でも同じです。
★試験問題に邪魔者が潜(ひそ)んでいる★
今年のセンター試験の日本史Bの問4、問5は太田南畝についての文章を読ませて問題に答えさせるものでした。その前段は以下の通りです。
(大学入試センター 平成31年度本試験「日本史B」より)
後段は太田南畝の後半生についてさらに詳しい説明をしています。しかし、この問題、実は、太田南畝は邪魔者なのです。例えば、問4は空欄アとイの下記選択肢からの穴埋めです。
もちろん、太田南畝が狂歌集を出していることを知っていれば回答は楽ですが(また、この問題に関してはそれが出題意図だとは思いますが)、川柳と言えば柄井川柳や柳樽です。別に太田南畝と狂歌の関連を知らなくても、
川柳と言えば「柳」
という知識だけで、本来、消去法により1と2は簡単に消せるのです。しかし、問題文が「太田南畝がいかに文才に優れていたか」という内容なので、「ひょっとしたら太田南畝は川柳も書いていたのではないか?」と迷ってしまう人も出てくるわけです。これが邪魔者効果です。余計な詮索(せんさく)をして間違ってしまうのです。この「ひょっとしたら」という詮索がマークシート試験での問題文邪魔者効果です。
ちなみにこのような、ある種の認識が記憶間違いを引き起こすことは、日常生活でも珍しくないことが知られています。
例えば、ある話を田中さんから聞いたのに、それを言った人が佐藤さんだと記憶違いしていることがあります。これは「佐藤さんなら言いそうなことだ」という認識が記憶違いを招くのです。ソース(出典・情報元)記憶の誤りとして知られています。
マークシート試験では、問題文がある種の認識を刷り込み、それによって誤回答を誘導するという手法がよく採られています。
★記憶にも邪魔者が潜んでいる★
だいたいマークシート試験では受験者の記憶間違いを突いてきます。上の問題で言えば、川柳と狂歌のイメージはなんとなく似ています。また、井原西鶴と山東京伝では生きた年代も作風も違いますが、取り敢えず作家という程度にボーっと覚えていると混同してしまいます。
問4程度であれば簡単ですが(ちなみに正解は④)、問5はどうでしょう。問5は下線部dの寛政の改革でないものを選べという問題です。
こうなってくると単に、名前や人物の混同ではありません。江戸の三大改革の内容の混同です。ちなみにこうした選択肢ではキーワードが重要であることは言うまでもありません。選択肢①は社倉や義倉、②は江戸町会所、③は上知令(じょうちれい)、④は石川島の忍足寄場です。
この場合、正解は③で、上知令は天保の改革です。
要するにマークシート試験における最大の問題は、記憶の混同です。いろいろな知識が混ざってしまうのです。
よく教科書や参考書などにマーカーで色を塗って勉強したつもりになっている人がいますが、マークシート試験に関してはそうした勉強法がいかに間違っているかがわかるでしょう。
マークシート試験は、名前や項目だけを訊いてくるのでありません。むしろ、それらを混同していないかを訊いてくるのです。名前や項目をいくら覚えても、あるいはそれを目的と関連付けても、混同するおそれがあったら、勉強して知識を増やすほど混同のネタを増やしていることになります。
なお、よく見ると、上のどの選択肢もこうしたキーワードを前段で挙げ、後段でその目的を挙げる構造になっていることがわかります。
後段の目的は、似たような制度があった場合に対して限定する意味もありますが(例えば、上地令は明治にもありました)、「飢饉に備えて米穀を蓄え」などの邪魔者で他の時代と混同させる意図もあります。キーワードだけで絞れるのであれば余計な情報はシャットアウトしましょう。
まとめ
今回はマークシート試験で失敗してしまう原因について解説しました。要するにマークシート試験では邪魔者が混同を招くように問題が設計されています。したがって、こうした邪魔者を排除する勉強法が重要なのです。
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