大学受験科目別対策法【英語編】

受験勉強

大学受験において、英語という教科の位置付けは非常に高いです。

特に近年のグローバル化の中で大学側も受験生に対してより高いレベルの英語を求めてきており、このことは複数の大学で英語の配点が上がったこと、英語検定やTOEICなどの外部試験を入試選考に取り入れるようになったこと、そして英文の長文化や要求語彙数の増加などが証明しています。

今後ますます重要視されるであろう英語を攻略することは、大学合格の必須事項です。

今回は大学受験における英語の勉強法をお伝えします。

語彙力について

英語において英単語が分かるというのは、いうまでもなく最低条件です。

試験に出てくる単語が全て分かる人間は難関大学入試となるとほぼいませんし、そのレベルを目指す必要はありません。

しかし、試験に出る単語の9割以上は理解できる必要があるでしょう。

(目安としては英語長文を読んで分からない単語が7~8行に1単語あっても推測できるのでほぼ問題ありません。)

ですから、単語帳を使って語彙力をつける必要があります。

大学によって要求される単語レベルは違うので、一概に「この単語帳がいい!」というのはありませんが、オススメできる単語帳をご紹介します。

ターゲットシリーズ

受験対策の単語帳の中では最も知名度が高く、オーソドックスなものです。

レベルごとにターゲット1200、1400、1900に3つに分かれていて、だいたいの目安は

  • 1200:中学生~センター試験レベル
  • 1400:センター試験~標準私立レベル
  • 1900:センター試験~難関大学レベル
となっています。

1200を使っても良いのですが、相当語彙力に不安を抱えていない限りまずは1400を、語彙力にある程度自信がある方は1900を使用すると良いでしょう。

参考 ターゲット 1400 参考 ターゲット 1900

鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁

東大入試対策塾の鉄緑会が出している単語帳で、東大受験生の中で非常に愛用されている一冊です。

参考 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁

東大入試対策向けだからといってやたらと難しい単語ばかりというわけではなく、入試で必須の単語が覚えやすくイラスト付きで並んでいるのが特徴です。

しかし、センターレベルの基本単語のカバー率は低いので、語彙力をつけたい全ての生徒というよりは難関大学を受験する生徒にお勧めです。

医学部志望者向け

医学部の試験では他の学部入試では見られない難単語が出ることが往々にしてあります。

puneumonia(肺炎)」や「atrium(心房)」といった単語が注釈なしで出ることがあります(例に挙げたのは私が実際に過去問で注釈なしで使われているのを見た単語です)。

これらの単語は知っていないと問題が解けないような単語ではありませんが、自分の知らない単語が多ければ多いほど文章は読みづらくなり、読んでいて不安になります。

ですから、特に難関大の医学部を受ける生徒は、こういった単語を医学部志望者向けの単語帳で対策しておくといいでしょう。

お勧めは河合塾SERIESの『医学部受験の単語』か『最新 医歯薬系入試によく出る英単語』です。

参考 医学部受験の単語 参考 最新 医歯薬系入試によく出る英単語

先ほどお伝えした通り、医学部向けの英単語は分かるに越したことはありませんが、優先度が高いのは全学部共通で出る基本単語の暗記です。

医学部系の単語の暗記は、基本単語を習得した上で余裕がある生徒のみ学習してください。

 

単語帳での学習において、「絶対にこれで勉強したほうが良い!」という単語帳は存在しません。

本屋に行けば何十種類の単語帳があるので、実際に手に取って自分に合いそうなものを選ぶと良いでしょう。

文法について

文法は単語の次いで、英語を読むのに必要なものです。

センター試験や一部大学の二次試験では文法について問われる出題が見られますが、それ以外にも英文解釈、長文読解、英作文、などほとんど全てにおいて文法の理解は必要になります。

ただ、なにも文法用語を理解している必要はありません。

実践の中で少しずつ文法的知識を身に付けられると効率が良いでしょう。

そこでお勧めの参考書は『Vintage』です。

参考 英文法・語法Vintage

文法関連の問題集の中では有名なものの一つで、センターレベルから二次試験まで対応できる優れものです。

これをやっておけば一通り文法事項は身につきますが、センター試験や二次試験(二次試験で文法問題が出題される大学を受験する場合のみ)の文法問題の過去問を解いて、更に実力を磨くといいでしょう。

しかし、Vintageは問題演習中心の参考書です。

よって基礎がおぼつかない生徒には『安河内の英語をはじめからていねいに』をおすすめします。

参考 安河内の英語をはじめからていねいに

高校で学習する一通りの文法事項を語り調で、時々イラストを織り交ぜながら説明している参考書ですので、他の格式ばった参考書よりもずっと英文法の基礎を身につけやすいと思います。

英文解釈

英文解釈(英文和訳)は直接入試に出ることもありますが、長文読解をする上で必須のスキルです。

英文解釈の学習法には大きく二通りありますので、それぞれ紹介します。

普段読んでいる長文で学ぶ

普通長文問題を解くときは、下線部の引かれている部分だけを和訳、読解すると思いますが、これを全文訳する事で英文解釈の力は大いに伸びます。

全て日本語にして書くと時間がかかるので、この作業は英文を見て頭の中で和訳して、解答の日本語訳と見比べるという具合に基本的に頭の中で行うと良いでしょう。

この際に、どんなに簡単な文章でも必ず和訳する事を心がけてください。

例えば、「my loving grandmother」という節が出てきたときに、「私が愛するおばあちゃん」と解釈する生徒がほとんどですし、恐らく多くの生徒は中学レベルの単語だけで構成されているこの節に下線が引かれていなければ気にも留めないでしょう。

しかし、これは「私を愛するおばあちゃん」または「私をかわいがっているおばちゃん」と解釈するのが正解です。

この場合、動詞lovegrandmotherにかかっていることは明らかですが、loveが能動態になっているためにloveという動作を行っているのはおばあちゃんということになります。
ちなみに、「私が愛しているおばあちゃん」は「my loved grandmother」となります。

このように、普段適当に流して読んでいる英文の中にも学ぶべきことがいっぱいありますから、学校の教科書や演習時に使った長文については頭の中で全て和訳して、どの程度正確に訳せているか確認してみましょう。

参考書で系統的に学習する

上記の勉強法で十分に力は付くのですが、系統立てて学習したいという生徒には参考書での学習をおすすめします。

英文解釈の参考書は数多く出版されていますが、ここではそのうちの3種類をご紹介します。

 

  • 英文解釈の技術シリーズ

 

 

現在、英文解釈に特化した参考書の中では一番人気のあるものです。

魅力は難易度によって3冊に分かれている点と、問題数が多い点です。

難易度の低い順に『入門英文解釈の技術70』、『基礎英文解釈の技術100』、『英文解釈の技術100』の3冊があります。

『入門英文解釈の技術70』は現状センター試験の英語の得点率が6割に届かない生徒におすすめします。

この参考書を完璧にすれば、センターレベルの英語長文は難なく読めるようになります。

しかし、問題演習が中心の参考書ですので、センター試験英語の得点率が4割を切る生徒には次の項でおすすめする『英文読解入門 基本はここだ!』を先に着手すると良いでしょう。

『基礎英文解釈の技術100』はセンター試験英語の得点率が7割以上ある生徒が更に力を伸ばすための参考書です。

難易度も少し高いので、これを解いていて全然分からないという生徒は、『入門英文解釈の技術70』で基礎を固めましょう。

この参考書を完璧にすれば中堅の国立大学、私立大学の英文には対応できるようになります。

『英文解釈の技術100』はこれまでに紹介した2冊とは難易度が段違いに高いので、いわゆる難関大学を受験する生徒にのみ着手しましょう。

しかし、難関大学を受験する生徒にとってはかなりの良問集になることと思います。

参考 入門英文解釈の技術70 参考 基礎英文解釈の技術100 参考 英文解釈の技術100

 

 

  • 英文読解入門 基本はここだ!

 

こちらは、高校基本レベルから英文解釈を確認できます。

問題数も50題と取り組みやすく、入門基本というだけあって、解説もほかの参考書より詳しく書かれています。

しかし、この参考書は受験を突破する準備段階の参考書です。

これをできるだけ早くマスターし、他の参考書に進みましょう。

参考 英文読解入門 基本はここだ!

 

  • ポレポレ英文解釈プロセス50

 

この本は先程ご紹介した『英文解釈の技術100』とほぼ同レベルの参考書になります。

中堅大学入試では必要ないレベルの英文を扱っているので、難関大学を受験する生徒にのみ着手するようにしましょう。

この本の特徴として、難問にはライオンのマークが付いています。

一通り英単語や文法を学習したら、ライオンマークの付いていない問題に取り組み、それ後でライオンマーク付きの問題に取り組むと良いでしょう。

参考 ポレポレ英文読解プロセス50

長文読解について

英文解釈まで確認できたら、次はいよいよ長文読解です。

長文読解にはこれまでに確認した語彙力、文法力、英文解釈力のすべてを必要とします。

それ故、良質な長文にたくさん触れることは英語力全般の養成に役立つのです。

長文を読むときに意識すべきことは、読むべきところに集中して読むことです。

英語長文は読むだけで時間がかかります。

全ての文章を集中して読むと疲れるどころか、英文を一通り読んで、いざ問題を解こうとしたときに後ろ1/3の内容しか覚えておらず、最初から読み直す羽目になったりもします。

そこで、長文を読む際は力を入れて読むべきところのみに力を入れて読む力が必要になります。

 

例えば下記に具体例を挙げてみます。

イルカは多くの人々に愛されている。

イルカが生き生きと水面を飛ぶ姿は多くの人に好まれており、近年ではイルカに餌をあげたり、イルカと一緒に泳いだりするプログラムが組まれるほどである。

しかし、東京大学の田中太郎教授によれば、イルカは自分の子供を食べてしまうほど残虐な一面も持ち、実際に海で人間がイルカにかまれるなどの事件も起きているため、私たちはイルカを大きく危ない野生生物だと捉え直す必要がある。

例えば、アメリカ政府はリゾート地でのイルカとの触れ合いを規制する声明を出した。

という文章があった時、私たちが読むべき部分は

「イルカは多くの人々に愛されている。

しかし、イルカは自分の子供を食べてしまうほど残虐な一面も持ち、実際に海で人間がイルカにかまれるなどの事件も起きているため、私たちはイルカを大きく危ない野生生物だと捉え直す必要がある。」

のみで、ほかの部分は下線が引かれていなければほとんど読み飛ばしても構いません。

具体的には、主文の補足(上の例では「イルカが生き生きと水面を飛ぶ姿は多くの人に好まれており・・・」がそれに当たります)や個人名(東京大学の田中太郎教授)具体例(例えばアメリカ政府は・・・)は基本的に力を抜いて読みましょう。

そうすることで読むべき部分のみに集中することができます。

しかし口で言うのは簡単ですが、いざとなるとつい力をいれて全文を読んでしまうものです。

たくさんの長文に触れる中で、自分の読み方を洗練してください。

 

この章におけるおすすめの参考書は特にありません。

なぜなら、英語長文の参考書は非常に多くのレベルのものがあり、一概にどれが良いとは伝え辛いからです。

一応、個人的に使ったことのある参考書を紹介します。

 

  • やっておきたい英語長文シリーズ

英語長文問題集の中では最も有名なものです。
やっておきたい英語長文300,500,700,1000があり、それぞれセンターレベル、中堅大学レベル、MARCHレベル、難関大学レベルとなっています。

自分の受験校に合ったものを選ぶと良いでしょう。

参考 やっておきたい英語長文500 (河合塾SERIES)

 

  • 関正生の英語長文ポラリス

こちらは、解説が他の参考書よりかなり詳しいです。

選択肢問題では「なぜ他の選択肢が×なのか」まで解説してくれますし、すべての文章の和訳と解説が掲載されています。

また、問題が新しく、近年の入試傾向を反映していることもおすすめポイントです。

参考 関正生の英語長文ポラリス

 

 

  • 英語長文レベル別問題集シリーズ

こちらは問題レベルが1~6に分かれているのが良い点です。

センターレベルは3で、1(超基礎編)、2(基礎編)では中学レベルから扱っているので、英語に苦手意識を持つ生徒はこれを使って徐々に実力を養うのも良いでしょう。
参考 英語長文レベル別問題集 (3) 標準編 (東進ブックス―レベル別問題集シリーズ)

過去問演習・個別分野対策について

長文演習まで終わったら、いよいよ大学別対策に入ります。

過去問演習はもちろん、大学によっては英作文やリスニングも課されます。

基本的には過去問で対応するのが良いと思いますが、不安のある生徒のために英作文、リスニングの勉強についても少しだけ触れておきます。

リスニング

近年では二次試験で課す大学も多いですが、センター試験にもリスニングがあるので、リスニングの練習は必須です。

基本的には問題集、過去問のリスニングを実際にすれば良いのですが、更に力を付けたい生徒にはそれらの教材を使ったシャドーイングをおすすめします。

シャドーイングとは、英語の音声を聞きながらそのすぐ後ろを追いかけるようにして自分でも発音するリスニング練習法で、翻訳者なども練習に取り入れてる練習法です。

何も見ずに行うのが理想ですが、そうとは言っても実際にするのは難しいので、最初は英語のスクリプトを見ながら挑戦してみると良いでしょう。

リスニング対策におすすめの参考書も少しだけ紹介します

 

  • センター試験のツボ 英語リスニング

 

センター試験レベルのリスニングをじっくりと練習できます。

自分がこれを使ってリスニングで満点を取れたのでこれをおすすめしておきますが、他にもセンターレベルの参考書はたくさんあるので、正直どれを選んでもあまり変わりません。

本屋で手に取って自分に合いそうなものを選んでください。

参考 センター試験のツボ 英語リスニング 新装版

 

 

  • 大学入試パーフェクトリスニング

問題数が比較的多いのが特徴で、volume1では聞き取りにくい母音の聞き取りの練習などもあるので、良い参考書だと思います。

しかし、大学入試全般を対象としていることもあり、センター試験のみの生徒にはスピードが速すぎるように、一方難関大学を目指す生徒には遅すぎるように聞こえる可能性があります。

参考 大学入試パーフェクトリスニング (Volume2) (駿台受験シリーズ)

以上をおすすめしますが、やはり目指す大学の過去問を繰り返すのが一番良いと思います。

大学によってスピードも出題形式も異なるからです。

大学によっては、駿台や河合塾などの各予備校から大学別模試問題集が出版されており、あくまで予想問題ですが、各大学レベルのリスニング問題もあるので、それに挑戦するのも良いでしょう。

英作文

英作文も大学によってレベルや出題形式が大きく違うので、一概にどうするのが良いということは言えません。

しかし、共通して言えるのは自分が知っている表現を使うことが重要だということです。

例えば「彼は餓死した」と英語で書かなければならない時、皆さんはどう書きますか?

英単語の学習が十分な生徒は「starve」という表現を知っているでしょう。

しかしHe starved.と書いたとしても正解にはなりません。

正確にはHe starved to death.と書いて初めて正解です。

ところが、starveという単語を知らなくても、

He died because he couldn’t eat enough food.と中学レベルの単語で書くことができます。

ですから、英作文では自分の単語力を存分に発揮してやろうという気持ちをグッとこらえて、できるだけ平易な表現に徹しましょう。

学習法は、正確に英語の表現を使える教師や講師に添削をお願いするべきです。

いくら書いてみても他者のチェックを受けなければあまり力は伸びません。

ですから、できれば自力で過去問を解いて、学校の英語の先生に確認してもらいましょう。

それができないようなら、各種予備校やネットの添削サービスを受けると良いでしょう。

いずれも有料になりますが、英作文は他者の添削を受けて初めて力が付くのです。

まとめ

とにかく、過去問に触れることが大事です。

大学別の対策になるのはもちろんですが、大学の教授が長い時間をかけて作った入試問題は、他のどの参考書よりも良問が揃っていて、どんな参考書を解くのよりも良い実力養成になります。

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