2020年度から実施!大学入学共通テストの違いと対策について

大学教室

センター試験が、2019年度実施のものを最後に廃止されることはみなさま御存知でしょうか?

現在進んでいる教育制度改革の一環として、大学入試の改革も行われる運びとなっているのです。
翌年、2020年度からはセンター試験に代わって「大学入学共通テスト」と呼ばれるテストがスタートします。
センター試験対策についてはこちら。

【2020年で最後!】センター試験の対策と模試について

もちろん、センター試験は廃止と言えど、新たに始まるこのテストの成績が大学受験において重要な意味を持ってくるわけです。

では、これは一体どのようなテストなのでしょうか?
センター試験との違いと、その対策について詳しく見ていきましょう。

大学入学共通テストの特徴

2021年から実施される大学入学共通テストの特徴は、大きく3つと言えるでしょう。

  1. 国語
    • 「国語総合」の範囲で記述問題が出題
  2. 数学
    • 「数学Ⅰ」の範囲で記述問題が出題
  3. 英語
    • 外部の民間試験結果を国が認定

次から、ひとつずつ詳しく見ていきますが、総じて言えるのは、単純な知識ではなく思考力や表現力を問われるような内容に変わるということです。

平成30年に試行されたプレテストの問題はこちらです。
参考 大学入学共通テスト 平成30年度試行調査

国語の記述問題

国語においては、「古文・漢文」を除いた「国語総合」の範囲で、記述問題が3問程度出題されるということです。

これまで、全問マーク式であったセンター試験との大きな違いと言えるでしょう。

文字数も、長いものでは80-120文字程度要求されるとのことなので、正しく文章を構成する能力が求められます。

また、平成29年に大学入試センターが試行した2つのモデル問題は、以下のようなものでした。

  1. 「駐車場の使用契約書」を読んで、借り手の立場から貸主への対応を問う問題
  2. 市の「景観ガイドライン」についての家族の会話文の読解問題

どちらも単なる文章読解というわけではなく、実社会と関わるような題材が選択されています。

いわゆる現代文の読解問題を多くこなしているだけでは対応できない、テクニックで乗り切るのではなく、その場でしっかり自分で思考して書く必要があると感じるような問題です。

翌年、平成30年に試行したプレテストにおいては、記述問題は契約書に関するようなものではなく、論説文を読んだ上で設問の要求する内容について記述するものでした。

また、多肢選択式問題においては著作権法についての出題がなされ、やはり29年度と同様にいわゆる現代文の読解問題とは趣を異にするタイプの文章となっています。

数学の記述問題

数学にも記述問題が出題されます。「数学Ⅰ」の範囲から、こちらも3問程度ということです。

とは言っても、国語の記述問題のように長い文章を要求するものではなく、数式の記述や簡単な説明を書くものです。

ただ、マークシートの多肢選択式問題においても、会話文などを含む、問題を解く過程・説明の穴埋め問題などが多く出題されています。

その結果、平成29・30年に試行されたプレテストにおいての平均正答率は低く、50%を目指して作られたものの、実際には平成30年の「数学Ⅰ・A」は34.54%という数字になってしまいました。

また、記述問題の正答率は確かに低いのですが、あくまで3問だけですので、単純にそれだけの問題と言うよりは全体的な出題傾向・形式の違いが原因となっているように思われます。

もちろん、これはプレテストであって2020年度に実施される試験そのものではないですが、全体の傾向としては大きくは変わらないことが考えられ、つまりは従来のセンター試験と比べたときに難化が予想されます。

ちなみに、理科・地理・歴史・公民においても2024年度実施のテストからは記述問題の導入が検討されています。

英語は民間試験を導入

英語に関しては、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を評価するために、民間試験の結果を国が認定し、それを入試の成績に反映させるという制度が導入されます。

認定される民間試験は以下の7種類です。

  1. ケンブリッジ英語検定
  2. 実用英語技能検定(英検)
  3. TOEFL
    TOEIC(※認定されていましたが、2019年7月2日に撤退を発表)
  4. GTEC
  5. TEAP
  6. TEAP CBT
  7. IELTS
高校3年生以降の4〜12月に受検した、上記の試験の結果が大学入試センターに送られ、それがまた大学に送られるシステムです。

従来のセンター試験では「読む」「聞く」の2技能の評価のみにとどまっていたところ、更に総合的な評価がされることになります。

また、センター試験よりも得点のレンジが広がることになります。センター試験の場合、成績上位者であれば満点をとることも十分可能ですが、上記の民間試験ではなかなかそうは行きません。

もちろん、英語のレンジが広がったことで、他科目と比べた際の英語への比重があからさまに大きくなる、ということは考えにくいですが、冒頭で述べた教育制度改革の一つの柱として、政府主導の「グローバル人材育成」への対応というものもあります。
教育制度改革の一環として大学入試の改革が行われる以上、今回の英語に関するシステムの変更によって英語の比重が大きくなる可能性は十分あります。

ただ、急なテスト形式の変更は影響が大きすぎると考えられ、移行措置として2020年度から2023年度までは、大学入試センターが実施する共通テストも並行して行われ、各大学はそのどちらか或いは両方を選択し、選考に利用できるということになります。

傾向と対策

さて、ここまで大学入学共通テストの特徴、センター試験との大きな違いを見てきましたが、冒頭で述べた「単純な知識ではなく思考力や表現力を問われるような内容に変わる」ということはご理解いただけたでしょうか?

英語の民間試験に関しては勿論ですが、国語や数学に関しても、これまでのセンター試験対策のようなやり方は難しくなってくると言えるでしょう。
それが一因となって、大学付属校の人気が高まっている現状もあるくらいです。

では、その対策はどのように考えていけばよいでしょうか。
ポイントは主に以下の三点です。

  1. 暗記に依存しない
  2. ちゃんと理解する
  3. 日頃から思考するクセをつける

暗記に依存しない

従来のセンター試験は、出題傾向やパターンが一定で対策がしやすく、九割以上の得点を狙うことも可能な試験でした。

過去問の研究をして傾向・パターンを把握し、重要な必要事項を一通り暗記していれば、形式がマークシートのみだったこともあり、充分な得点を取ることが可能でした。

しかし、今後の「共通テスト」において、あまりそれは通用しないと思っておいたほうが良いでしょう。

記述問題が顕著な例ですが、それ以外の問題も答えを導くまでのプロセスにフォーカスを当てたものであったり、本当に理解できているのかを問う問題が増えているのが特徴の一つです。

ちゃんと理解する

前項に付随してとなりますが、このような試験において警戒すべきは「分かった気になってしまうこと」です。

こちらの記事でも触れていますが、アインシュタインの「6才児に説明できなければ、理解したとはいえない」という言葉の通り、誰にでも分かるように噛み砕いた説明の言語化ができれば、ちゃんと理解ができていると言えるでしょう。

ちゃんと理解ができていれば、センター試験と異なる出題形式・内容であっても、また記述問題であっても得点を獲得することができるでしょう。

では、どうやって「ちゃんと理解」ができているかを確認すべきなのでしょうか?
こちらの記事で述べている内容ですが、「人に教えることが最強のアウトプット」です。

勿論、6才児が周りにいればベストですが、、そこまで高望みをせずとも、同級生・家族など誰か周りの人間を捕まえて説明することができれば「ちゃんと理解」ができていると考えてよいでしょう。

日頃から思考するクセをつける

少し抽象的な言い方に感じてしまうかもしれませんが、しかし、つまりこういうことです。

プレテストにおいて、国語の記述問題で法律や政策に関連するものが出たり、数学で銅像の全長を一望できる位置を考える問題が出たり、ということから考えてみましょう。

大学や或いは大学入試センター側が受験生に対して「法律や政治についての見識を期待している」とか「日頃から物事を三角関数で計算しながら見てほしい」ということでしょうか?

……恐らく、そういうことではないでしょう。

「日常の様々な物事を考えること」や、逆に「教科書等で勉強したことを日常に適用・応用して考えてみること」など、そういったことが求められているのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか?

記事中でも少し触れたように今回の大学入試改革は、「大学受験というリスクを回避するために大学付属校に入っておく」という選択肢の選好度を高めるほどに、大学受験というものを難しくさせています。

しかし、対策の項目でご紹介した「暗記に依存せず」、「ちゃんと理解して」、「日頃から思考をする」ということですが、こうして書いて見てると当たり前に大切なことではないでしょうか?

文部科学省も、大学入試センターも各大学も、当然ながら受験生たちに理不尽を押し付けたいわけではなく、そういった当たり前のことをしっかりと行っていることが、正当に評価されるような制度にシフトしてきているということでしょう。

受験生のみなさまが、しっかりと勉強して大学受験を勝ち抜き、それぞれの志望校に合格されることを祈っております。

よろしければ、下記の記事もご参考になさってください。

【大学受験!】第一志望合格に向けた勉強法

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