英語を訳さず理解する力が身につく!洋書多読勉強法

読書

学校で学ぶ英語は、「日本語に訳した上で」英文を理解することが基本になっています。「英文は文末から訳せ」と指示されたり、長い文は主節と従属節にパート分けして訳すよう教えられたり…。しかし英文を読むために日本語を使うと理解に時間がかかってしまいます。模試で英語の長文を読んでいる時間が足りなくなってしまった経験はありませんか?

そんなあなたにお勧めしたいのが、英文を英語のまま理解する「洋書多読」勉強法。この勉強方法では、「辞書は引かない」「日本語訳ができなくてもOK」「分からないところはどんどん飛ばす」という今までの勉強の常識を覆すルールが登場します。「そんないい加減な勉強方法でいいの?」と思うなかれ。洋書多読をマスターすれば、英語の成績が上がるだけでなく、海外の小説を辞書なしで読むことも可能です。

洋書多読とは?

洋書多読とは、読んで字のごとく、洋書(外国語で書かれた本)をたくさん読むことです。ここでは、洋書=英語の本として解説をしていきますが、フランス語やドイツ語でも同じ方法で学習ができます。(ただ、英語以外の洋書は日本では手に入りにくいので、勉強がしづらい面はあります。)

私たちが日本語の言葉を読めるようになったのはどうしてでしょうか。それは日常でたくさんの日本語を読んできたからです。最初は簡単な絵本を読んでシンプルなストーリーやイラストとともに日本語の簡単な単語を学びました。そして、だんだんと複雑な本に進み、大人になるころには難しい専門書なども読むことができるようになったのです。

それと同様の過程を英語の本でも行います。始めは絵本など、簡単な英語でかかれた本から始め、徐々にレベルを上げていきます。ストーリーに夢中になって本を読み進むうち、気が付いたころには、英語圏で発売されている普通の大衆小説を辞書なしで読めるようになっているのです。

しかし、洋書多読を進めるためには、いくつかの大切なルールがあります。このルールに従わないと、何冊英語の本を読んでもリーディング力は身につきません。

洋書多読のルール

それでは、洋書多読の具体的なルールを説明します。

訳さない

洋書多読の最も基本的なルールは、「日本語に訳さない」ことです。「訳さず、どうやって英語を理解するんだ」と疑問に思われる方もいると思いますが、英語の本を早く読もうとすれば、自然と「訳さず」読めるようになってきます。後述しますが、洋書多読では読んだ時間を記録していきます。1分間に読むことができる単語数が一定のレベルを超えることで、次のレベルの本に進むことができますので、ある程度スピードを上げて読もうとする気持ちが働くのです。さらに言えば本のストーリーにのめりこめば、自然と訳すことを忘れてしまう瞬間が訪れるはずです。

簡単なレベルから始める

1つ目のルール、「訳さない」を守るためには、本の中に出てくる単語をある程度知っている必要があります。どんなに「早く読もう」としても、分からない単語が多ければ、早く読めるはずがありません。また、分からない単語が沢山ある本は、読んでいてとても苦痛です。すぐに投げ出してしまうことになるでしょう。

お勧めは自分の現在の英語レベルより、1~2段階ほど下のレベルから始めることです。例えば、あなたが今高校生なら中学校で習うレベルの英単語で書かれた本から始めるとよいでしょう。知っている単語ばかりですから、すらすら読む楽しさが味わえると思います。

簡単な英語の本を読むにあたっては、『Pearson Readers』と呼ばれるシリーズを利用するのが手っ取り早いです。

公式サイトURL:https://www.pearson.co.jp/catalog/pearsons-graded-readers.php

『Pearson Readers』はレベル別にたくさんの英語の本が用意されたシリーズです。一番下の『Easystarts level』は英検3級レベルで、使われている単語もわずか200語。ページ数も少ないです。とはいえ、ストーリーはバラエティに富んでいるので、好みのジャンルを選んで楽しく読み進めることができるでしょう。

続くレベルは1~6段階に分かれています。徐々に難しくなり、レベル6で使われている単語は3,000語に達します。有名な文学作品からオリジナルのストーリーまで、様々な話が楽しめるので、夢中になりながら学習を進めることができるでしょう。同じようなレベル別のシリーズとしては、『ラダーシリーズ』(http://www.ibcpub.co.jp/ladder/)などがあります。

辞書を引かない・わからないところは飛ばす

洋書多読では、基本的に辞書は引きません。「分からない単語はちゃんと辞書を引いて確かめましょう」という英語の授業とは真逆ですね。

多読で大切なのは「英語で読書を楽しむこと」。分からない単語に出会うたび、辞書を引いていたのでは、せっかくのわくわくした心が冷めてしまいます。あなたは子どものころの読書でそんなに頻繁に辞書を引いていたでしょうか?国語の授業の時間以外に、辞書なんてめったに使わなかったのではないですか?

それでは、分からない単語はどうすればよいのかというと、読み飛ばせばよいのです。1ページのうちに1語ぐらいわからない言葉があっても、ストーリーの大筋を理解するのには困りません。また、前後の単語の意味を知っていれば、分からない言葉の意味を推測をすることも可能です。多読では、この知っている単語から分からない単語の意味を瞬時に推測していくことが非常に多くなります。

英語のテストに辞書を持ち込むことはできませんから、「辞書を引かずに意味を推察する訓練」になる洋書多読はとても有効な勉強方法になることがお分かりいただけると思います。

読んだ時間を意識する

洋書多読は簡単な本から始め、徐々にレベルアップをしていきます。もうそろそろ、一段階上の本を読んでも良いかな、という判断の目安になるのが、読書にかかった時間です。日本語で本を読むスピードとあまり変わらなくなってきたら、次の段階に進んでも良いでしょう。

このような判断をするためにも、多読においては読書中にどれだけ時間がかかったかを意識し、記録することが大切になります。Pearsonのカタログにはそれぞれの本の総語数が書かれていますので、読んだ時間と語数をもとに、一分間にどれだけの文字を読めたかを計算し、読書スピード向上の目安にしてみるとよいでしょう。

自分が興味ない本は読まない・つまらなくなったらすぐやめる

洋書多読で大切なのは、「読書を楽しむこと」です。『Pearson Readers』や『ラダーシリーズ』では多くの作者による多様なジャンルの本を読むことができます。しかし、読書の楽しみは個人の好みに左右されるもの。なかには、「このジャンルは嫌い」という本や、「面白そうだと読んでみたけれど案外つまらなかった」という本もあるはずです。

自分に合わない本を苦労して読んでも身につくものは少ないです。指定された学校の教科書とは違うのですから、自分が面白くないと感じたら、読書を中止して次の本に移ってOK。無理をして多読が嫌いにならないようにすることが一番大切なことです。

最近では多読用のガイド本が沢山出版されているので、これらの本を参考に自分に合う本を探してみてください。

最終的に読みたい本を作るとGOOD

多読で身についたリーディング能力は、テストで点数を上げるためにのみ使うのはもったいないです。多読を始める際は、ぜひ「この本を原書で読みたい!」という目標を作ってほしいと思います。分厚い洋書を、辞書を引かずに読む快感はどんな読書にも勝ります。

『ハリーポッター』でも、『ダヴィンチ・コード』でも、『そして誰もいなくなった』でも何でも構いません。「いつか読みたい1冊」を作っておくと、多読の励みになるでしょう。

洋書多読で本当の英語力を身に着けよう

洋書多読は辞書を引かずに英語を読む力を身に着けるのに最適です。また多読で得たリーディング力は、英語を訳さず、その場で理解できる力なので、リーディングのみならず、リスニングにも通じる「本物の英語の力」になります。

洋書多読を通じて、本当の英語力を手に入れましょう。

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