大学受験における学習のポイント【数学編】

大学受験_数学

大学受験における数学に関しては、学校により進度も様々。

中高一貫教育と一般の学校ではどうしても、進度ばかりか、学習内容、演習回数などにも差が出てしまいます。

そのため、塾などで小学校高学年から通して、学習内容などを別に管理してもらうといった受験生も少なくありません。

そんな大学受験の数学について、ポイントをご紹介します。

算数と数学教育は早い方がいい!?

算数と数学の教育については、子供の頃の早期教育が大切であることはよく知られています。

数学に限ったことではありませんが、各種の学習を通じた問題解決や証明ではインスピレーションを外から得るばかりではなく、自分なりのインスピレーションや、自分にマッチした情報分析分類方法なども、そのプロセスから自分で得ることができます。

若い世代では、学校を通じて毎日繰り返し学習を外から得る機会があることに加えて、自らもその毎日の学習の中で自己発見やフィードバック、修正などを長時間繰り返します。

より幼い世代の授業は学習のための訓練といった意味合いが強く、その後例示だけを受け、あとは自力で様々な問題にあたっていくスタイルが日本の学校教育です。

この学習スタイルは、進学校やその他の学校で、その割合の多少が違ってきます。

大学受験に積極的に当たっていきたい人にとっては、「単に問題から解釈、答え方の細部までを与えられ繰り返す経験」よりも「意識して早期から、他者の色のついた問題提示や解決の部分を少なくした中で問題を理解しといておく経験」を得ておく方が、個に備わる解決力が確かなものになります。

日本の義務教育から大学受験、算数から数学に至るカリキュラム自体は、算数から実は螺旋状に続き、学年が上がる毎に新たなタイプの問題が増え、全体的な難易度、問題を解くためのプロセス数など全体的に到達点が高くなります。

同じ命題への解き方でも、学年によってシンプルな想定や条件のものから始まり、徐々に深まっていくスタイルとなっています。

 

例えば中学1年生になる前、数はゼロまでしかありません。

その後学年が上がるにつれ、拡張された数、マイナスの概念やその他の概念も含めた範囲から解答や証明を作っていきます。

現在では、一部の大学で特色入試が導入されており、大学受験をどこまでを知っているかだけでなく、どのように表現することができるかといったポイントなどを見ている部分も多くあります。

数学は受験する先によっては、画一的で過不足のない解答を求めるところから、一人一人の思考のプロセスやオリジナリティに注目するところまで様々です。

こういった答案を書けるための教育として、早期に先の学年で習う数学の学習範囲を一通り終えてしまう学校が増えています。

こうした学校では、先ほどご紹介した螺旋状の単元と進度割り付けをさらに深めて、早期に数学の全体を見せておくだけでなく、インプット期とアウトプット期までを螺旋状に意識した独自カリキュラムなどを採用しています。

幾度も問題の深度を変えながら、問題文に対して様々な角度や同じパターンが応用できないかなど考えてあたっていくことで、自分の中に自分だけの数学の解法パターンを作るためにも早期教育は大切です。

また早期にある程度広く浅く数学を一望しておけると、自分の数学の答案作成における得意不得意、画一的・オリジナリティある答案のどちらの傾向が強いかを知ることができ、受験を成功に導くポイントになり得ます。

中高一貫校では、中学3年卒業時あるいは高校1年前半には高校3年までの数学の基礎部分は完了するところが散見されます。

その後は数学の総合問題や論述対策、特徴のある問題などに移行するケースが多いです。

こうした学習スケジュールを参考に、できるだけ早期に、自分が理解できる複雑さに合わせて数学の全体を一望します。

そして苦手な単元では解答形式を浅めにして慣らして学習…などと使い分けて、得意不得意部分に合わせた勉強期間配分と、それぞれの部分ごとの実力を伸ばすスタイルがおすすめです。

「学校の定期テスト数学」と「受験のための基礎力としての数学」は、分けて考えよう

先ほども簡単に触れましたが、日本の学校での定期テスト数学と受験の数学では、解答方法への制限が多少異なってきます。

もちろん学校によっても扱いは異なりますが、多くの学校では受験用には「ここまで授業で習ってきた範囲の解き方に絞り、それらを駆使して問題を解く チェックポイント型解答」が要求されます。

まだ習っていない項目で解答を作成すると、減点対象になってしまったという経験がある方はいらっしゃるかもしれません。

一方で、受験の数学では、「画一的にその問題パターンのポイントとなる部分を書きながら過不足なくシンプルな解答」を求めるタイプの設問や学校、さらに学校によっては「当該学年の参考書などにはほとんど例がない独自の発想とアプローチでの解答」などを高く評価するところもあります。

受験期は11月から3月まで続きますが、受験に力を入れている学校では、この受験シーズンに合わせて定期テスト自体も高校3年生前半まではシンプルなチェックポイント型解答を採用し、その後の定期テストでは受験問題と解答校正レベルやトーンを合わせた問題を出題しているところもあります。

「過不足なくシンプルな解答タイプ」の受験数学問題は、受験対策としては各校で一般的に使われている数研出版の『実戦数学重要問題集』などをベースに、まずは基本の「答案中に記載しておくべきポイント」を網羅した解答をマスターします。

参考 実戦数学重要問題集ー数学1・2・3・A・B(理系)

無駄なく過不足もなく解答例が書かれている参考書なので、これを基準にして学習を進めていけば大概の高校での定期テストにおいて減点されることはないでしょう。

受験対策用の学習としては、自分の受験する先の学校の答案レベルにあわせて、省略可能な部分やより細かいアプローチなどを付記し解答に肉付けしていきます。

この最後の自分らしいアレンジをマスターするのには、高校数学の一般的な応用問題までをマスターしておくことは不可欠で、そのレベルには受験日から逆算して5~6ヶ月前に到達できているとよいでしょう。

このあたりの時期を目安の一つとして、学習を進めておきたいです。

良質な参考書や問題集を真似ることで正しく無駄なく、省略もしやすい解答力が身につく

勉強方法
先述のように、「受験用数学」の学習においては、暗記しておかなければならない事柄よりも「たくさんの問題に着手することで解法や解答の仕方を使い分けられるようになること」が学習の多くの部分を占めます。

学習全体を俯瞰すれば、まずは解答までの正しいアプローチの仕方や正しい答え方を漏れなくインプットし、それを駆使して様々な問題を解く流れになります。

個々の問題に解く際にも、この全体像を俯瞰してデザインするように問題を解いていくためには、勉強のベースが大切です。

美しく、かつ論理性に富んだ解答作成は、その上に成り立ちます。

学校などのレベルによっても異なりますが、定期テスト、模試、大学受験といった解答を作成するケースによって、通常は「数研出版」のチャート式などの参考書に記載されている解答の作成ポイントをそのまま再現できれば、テストではほぼ減点がありません。

一方で、解答を省略し過ぎたり、逆に解答を書き込み過ぎたりすると、模試では大幅に減点を受けることもありますので注意が必要です。

例えば青色チャートや黄色チャートでは解答にあまり癖もなく、ほぼどこの大学や高校でもOKとされる解答ばかりが記載されています。

赤チャートの中にはちょっと古いタイプの解き方なども入っていて省略気味な解答が記載されているケースもありますが、難関大学の受験のためには覚えておきたいです。

黄色チャートは難関大志望者であれば文系であってもある程度の把握が必要になりますし、青色チャートは国公立理系受験者なら大方の問題をマスターしておけると心強いでしょう。

本腰を入れれば毎日数時間でも1ヶ月ほどで1冊終えることができる方もいるでしょう。

夏休み前から実力テスト期などに集中して、1回転してみるのと良いでしょう。

私も現役時代、苦手としていた分野を2週間ほどかけてじっくり1冊取り組みましたが、その分野では非常に実力がUPし、偏差値では10前後も差が出てくるほど急成長できました。

 

大方の問題が解けるようになるともう少し手を広げたいと欲が出て、「大学1年生で学習する数学の範囲を網羅」するか「大学受験用の数学問題集の中で難しいものや複合問題に着手」するか、を悩む方もいます。

例えば難関大学の一部では、二次試験の数学の解き方の中で、既に大学の教養時代に習う解答方法かどうかなどを見ているところがあり、受験に強い高校の中では、高校2年時までに大学の教養で習う範囲の数学の基本問題を解けるレベルに仕上げてくるところもあるからです。

特に前者のような、試験時に広い数学的な理解や先行した理解を踏まえた上で、解き方の癖や着眼点など「数学的センス」までを判断してくれる大学で、数学が得点源という方は、少しゆとりをもって学校数学とは別に、大学教養範囲の数学も取り組んでみるのがおすすめです。

最近は書店で、漫画やこれ1冊でといった復習型のカジュアルな参考書も多く発売されています。

『キャンパスゼミ』シリーズ各種や『大学1・2年生のためのすぐわかる数学』など、高校数学の全体がざっと理解できた時点でスタートしても、余裕で理解が進む書籍も豊富です。

参考 キャンパスゼミシリーズ 参考 大学1・2年生のためのすぐわかる数学

難易度が高い受験問題に移行するには、昔も今も『大学への数学 1対1対応の演習』に始まり『大学への数学 新数学演習』などの大学への数学の書籍各種や、Z会の数学科目による添削などが、クラシカルなタイプの大学にも対応できおすすめです。

参考 大学への数学 1対1対応の演習 参考 大学への数学 新数学演習

模試などの中でも特にゆとりを持って取り組めており、さらに美しい答案の書き方も含めて極めたいのなら、評判の『文系/理系数学の良問プラチカ(河合塾)』もおすすめです。

この十数年は特に、東大京大向けの問題分析や現役生指導に力を入れていることもあり、これらの大学受験生には無理なく理解・表現できる良問も多い良本です。

参考 文系 / 理系数学の良問プラチカ(河合塾)

解答は行ごとに情報を色分けして、パターンや解法を視覚的にも頭に叩き込む

数学の解答をノートに書いて覚える時、見易さと得点UPのため、解答内部でインデントや太字にするなどは一般的に用いる手法です。

ですが学習当初はこの構成全体、例えば条件分けや検討のための例示などが、問題文全体のどの位置に入っていれば、答案としての心証が良いかどうかは分かり難いものです。

数学学習初期には、ほとんど参考書にある解答例を転記する方もいますが、このタイミングから、

  • 問題文を解く際の方針
  • 場合分けや条件分け
  • 検討結果
  • 最終の解答部分に繋がるキーの記載位置
などにラインマーカーで色分けをして、視覚的に頭に叩き込んでおくのが良いでしょう。

これを繰り返すことで、「この単元や分野の数学ではこのくらいの行数で書いて、どのくらいの位置に追加のコメントを入れたほうが心象や見栄えが良い」といったことにも気づきやすくなります。

単元間の説明量の配分の差もしっかり身につくことで、複合問題で解答が2ページ強と長くなるような問題でも、問題文を一瞥しただけで「どのくらいの配分量で各問題を解いていけばよい」といった目安がすっと頭に浮かんでくることがあります。

数学の解法カードなどを使っている方でも、その解答例面では、この方法で上から自分で色分けをしておけば自然と頭に入るので、おすすめです。

まとめ

今回は大学受験数学学習のポイントの中で、特に効果が実感できるものを中心に、簡単にご紹介しました。

技術系職種に進んだとしても、常に数学の書式を弄ってシンプルな式化するといった業務は、今はほとんど少なくなっています。

定義書作成などに際して算定の基礎や、かつてあった理論などを最近の理論やデータから順に辿っていったところにある、現代各分野理論の基礎となる論文から引用するため、式が正しいかどうかを評価や校正するといった時に使う程度に留まることすら少なくありません。

それでも数学的センスが備わっていれば、こういった業務でも無理なく目星をつけて、論文や各種技術などに着手することができます。

よく「数学は社会に出て無駄だ」などと言われることもありますが、決してそんなことはありません。

人が直接行うことを代理させたり、あるいは数式の中で処理させるといった部分で非常に有用。

こういった理解を大学や社会に出てから深めるためのベースとしても、大学受験の数学は文系理系ともにしっかり押さえておいた方が良いと言えます。

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