初挑戦・独学でも大丈夫!日商簿記2級取得を目指すための勉強法

簿記

事務系の仕事を目指すなら、取っておきたいのが簿記の資格。

日商簿記2級は3級に比べかなり難しいため、簿記初心者の人は3級を取得してから2級に挑戦するのが普通です。

しかし就職や転職においてアピールになるのは、簿記3級より圧倒的に簿記2級です。

時間がないから…受験費用を節約したいから…

簿記初挑戦・独学で2級を獲得したいという人の為の勉強法をご紹介します。

日商簿記2級についての予備知識

簿記の資格には複数の種類がありますが、メジャーなものといえば日本商工会議所の簿記検定ー通称「日商簿記」です。日商簿記には、

  • 1級(商業簿記+工業簿記+会計学+原価計算)
  • 2級(商業簿記+原価計算を含む工業簿記)
  • 3級(商業簿記)
  • 簿記初級(3級よりやや易しい)
  • 原価計算初級(2級に出題される工業簿記の入門)

の5種類の試験区分があります。

就職や転職目的で簿記の資格を取りたいけれど、簿記を勉強したことがないという人は3級からの受験がお勧めです。
3級試験範囲は狭く、その内容は初心者にもわかりやすいからです。

ただし、簿記3級は就職や転職のアピールポイントとしては弱くなります。簿記3級は初心者が取り組みやすい分、合格者も多く、「誰でも持っている資格」と思われる可能性が高くなるのです。

一方で簿記2級は企業が強く求める資格といえます。

転職エージェント大手のリクルートエージェントが行った「企業が求める資格トップ10」のランキングで一位に輝いた資格が日商簿記2級です。一方で簿記3級はランクインを逃しています。

※ちなみに簿記1級も7位に入っていますが、学ぶ範囲が大変広く初心者が挑戦するという意味では現実的ではありません。

もし時間とお金に余裕があるなら、簿記3級受験で商業簿記の基礎知識を養った後、簿記2級を受験するのがベストです。

しかし中には転職や就職までの時間的余裕がないなどの理由でいきなり日商簿記2級を受験したいという人もいるでしょう。

そんな人の為に3級を通さず日商簿記2級合格を実現した私の勉強方法をご紹介したいと思います。

いきなり日商簿記2級勉強法その1:3級向けの参考書で勉強する

簿記の素人ならいきなり2級の範囲を勉強しようとしてはいけません。最終目標は2級受験だとしても、最初に購入すべきは3級のテキストです。

3級のテキストでは2級商業簿記の元となる仕分けの基本について丁寧な解説がなされています。また簿記を全く知らない人向けに書かれているものが多いので、読みやすく、勉強のスタートダッシュに最適です。

しかし、3級のテキストをあまり深堀していると肝心の2級に向けた勉強時間が無くなります。

テキストと少量の問題が一緒になっている「テキスト+問題集型」の参考書を1冊だけ、2~3周読むだけにとどめましょう。
大切なのは2級簿記の基本イメージを作ることで、3級の練習問題に全問正解することではありません。

いきなり日商簿記2級勉強法その2:2級商業簿記編の参考書で勉強する

3級の参考書で簿記の概要がつかめたら、次に2級商業簿記編の参考書に進みましょう。

2級商業簿記は3級簿記の発展編ともいえる位置づけです。

2級では3級の範囲でカバーしきれなかった特殊な取引が出題されます。予約販売・受託販売・割賦販売などの様々な販売上のお金の流れを記帳したり、本店と支店がある場合の経理を学んだり…参考書に書かれた内容をじっくり理解する必要があります。

しかし簿記のルールは理論的に組み立てられているので「どうしてそうなるの?」をちゃんと理解することができれば問題を解くことができます。そして、理解を助けてくれるのは3級で学んだ基礎知識です。

2級の参考書はいろいろな出版社から発売されています。1つの取引でも解説者によって仕組みの説明方法が変わってくるものです。もし1冊の参考書で理解できない取引が出てきたら、他の参考書の解説にも目を通してみるとよいでしょう。

また、インターネット上にも簿記の取引の仕組みを解説しているサイトがたくさん存在しますので、そちらも参考にしてください。複雑な取引でも、調べることで自分の腑に落ちる解説が必ず見つかるはずです。

いきなり日商簿記2級勉強法その3:2級工業簿記編の参考書で勉強する

2級商業簿記の内容がある程度頭に入ったら、工業簿記編の参考書に進みましょう。

いままで商業簿記を勉強してきた人にとっては、工業簿記はかなり毛色が違って見えると思います。ザックリ言うと、以下のような違いがあります。

  • 商業簿記:小売業などで使われる簿記。基本は商品を他所から仕入れてきて、利益分を仕入れ値に付加し、顧客に売る流れ。
  • 工業簿記:工場経営で使われる簿記。原材料を仕入れて、自社で加工し、製品を作って売る流れ。製品を作る際にかかる様々な費用をもとに、製品の原価を計算する「原価計算」の仕組みを学ぶ必要がある。

つまり工業簿記は、商品の原価を自分で計算しなければならないのです。

この「原価計算」の仕組みは今までの商業簿記の内容とかけ離れて見えるため、初めは混乱するかもしれません。やや数学的な理解力が必要になる場面もあります。

とはいえ、商業簿記の勉強時間を削ってまで工業簿記に取り組むべきではありません。

簿記2級の配点は商業簿記60点、工業簿記40点となっています。
合格水準は正解率70%以上となっていますから、商業簿記が満点ならば、工業簿記は4分の1程度の正解率でもOKなのです。

さらに工業簿記には、仕分けの仕組みや財務諸表の作成など商業簿記をベースにした部分がたくさんあります。

商業簿記の勉強をおろそかにしては、工業簿記を理解することはできないでしょう。2級商業簿記の基礎が3級商業簿記にあったように、2級工業簿記の基礎は2級商業簿記にあるのです。だから、勉強する順番は

3級商業簿記 → 2級商業簿記 → 2級工業簿記

で正解。たっぷり時間をかけて商業簿記を理解してから、工業簿記の勉強に取り組むようにしましょう。

いきなり日商簿記2級勉強法その4:勉強内容をアプリで再確認

テキスト勉強で基礎知識が固まったら、隙間時間にはアプリでの知識確認がお勧めです。

最近では、日商簿記に対応した良質な勉強アプリがたくさんあります。
有料版のアプリでも数百円単位で手に入るので、新しく問題集を購入するよりも安く済みますね。

アプリでの勉強は正解率が分かりやすくゲーム感覚で取り組めるので、机に向っての勉強の息抜きにも最適です。

ここで、お勧めのアプリを2点紹介します。

「パブロフ簿記 2級」

かわいいキャラクターが目を引くアプリです。商業簿記・工業簿記編ともに発売されています。

パブロフ簿記アプリの特徴は、取扱う金額が少額だということです。
本当の簿記試験では数十万単位の非常にややこしい数字を扱いますが、出先でのちょっとした学習には大きな数字は負担です。

パブロフ簿記では200円や40円といった計算しやすい金額を仕分けするので、どのように計算しているのか理解がしやすいのです。

さらにアプリ購入者には実践問題6回分の特典が付いてくるのでコストパフォーマンスは非常に高いです。

パブロフ簿記はアプリだけにとどまらず、独自ブログでの解説やテキスト発売も展開しています。イラストを多用しているので初心者にもとっつきやすく、初めて簿記試験を受験するという人にはお勧めです。

「簿記2級 商業 1000回解ける問題集」

こちらは解くたびに金額が変わるので、「丸覚え」による正解を防ぐことができるアプリです。何度でも繰り返し問題を解きたいという人に最適な、まさに1000回解ける問題集となっています。

このアプリはパブロフ簿記と違い、大きな金額を扱っており実践的な内容となっています。

ただし問題文の下に簡易計算機が備わっているので、起算自体は楽です。出先で計算機が手元になくてもスルスルと学習することができるでしょう。

解答後の画面では用語や出題の狙いをしっかり解説してくれるので、あやふやだった知識を固めてくれます。すっきりとしたシンプルな画面も勉強がしやすく感じます。

いきなり日商簿記2級勉強法その5:2級過去問を解いてみる

日商簿記2級全範囲のテキスト勉強を終え、勉強アプリでの正解率が上がってきたらいよいよ過去問に取り組みます。

過去問を解くときは本番と同じ時間を測って、ペース配分をつかめるようにしましょう。
簿記の試験を時間内に解くためには、問題を見た時点で反射的に仕分けを始める必要があります。理解はしていても時間内に解ききれないなら、まだこの反射力が足りません。

簿記の過去問はインターネット上で無料配布されていることがあるので、費用を抑えたいという人は「簿記 過去問」で検索してみてください。
もちろん簿記の過去問集を書店で購入することもできます。詳しい解説や解き方のコツを知りたいという人は無料配布版ではなく、書籍版の過去問を購入しましょう。

過去問は時間がある限り、繰り返し解いてください。最低でも合格基準の70%を超えるまでは解くべきです。何度も解いているうちに問題の解答パターンを覚えることができます。

いきなり日商簿記2級勉強法その6:2級模試を解いてみる

最後に日商簿記2級向けに各業者が独自に製作した模試を解きます。簿記の模試本には2のパターンがあります。

「第〇回予想模試」

簿記の試験にはある程度傾向があり、「○○は今回出なかったから、次の回では出題されるかもしれない」という予想をすることができます。

そのため受験回を指定した予想模試を販売する業者がいるのです。予想模試は含まれている模擬試験の回数が少ないのでやや割高になる傾向があります。試験までの時間が残り少ない場合には、こちらの問題集をお勧めします。

「網羅型模試」

出題予想ではなく、出る可能性のある問題を網羅的に扱っている模試です。

予想模試だからといって実際の問題を的中させることはなかなか難しいもの。その分、網羅型なら取りこぼしがなく、安心です。

含まれている模擬試験の回数が多いので、模擬試験1回当たりの単価は安め。ボリュームが多いので受験までの時間にある程度余裕がある人向けです。

1つだけ注意点があります。模試はあくまで業者が独自に作ったものですので、本試とは若干解き心地が違います。
業者独自の癖のようなものがあるのです。模試は時間配分の練習や実力の推定には役立ちますが最終確認には不向きです。

そのため、本番直前には模試ではなく本試験の過去問を見直すようにしましょう。

まとめ

今回は、日商簿記試験を2級から受験するという人に向けた独学勉強法をご紹介しました。

簿記2級を手にすれば応募できる企業の幅がぐっと広がります。

ぜひ、合格に向けて頑張ってください。

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