勉強における自己分析のポイントとその活かし方

自己分析

学校の受験勉強でも、資格試験の勉強でも、学ばなければならない科目・分野は複数に渡ることがほとんどです。

それらで扱う全てが得意、という方はあまり居ないのではないでしょうか。その中で、得意なもの・苦手なものがあって当たり前のはずです。

ではその時、苦手なものを克服すべきと考えるべきか、得意なものを得点源として伸ばしていくべきと考えるべきでしょうか?

今回は、その自分の苦手・得意を見つけるための自己分析のポイントと、その結果を如何に活かしていくべきかということについて、詳しく解説していきます。

なぜ自己分析が必要か

そもそも、なぜ勉強において自己分析が必要になってくるのでしょうか。

学校での試験や模試の成績・結果などが返ってきた際に、それが全く問題のないものであれば、自己分析の必要などあまりないかもしれません。
例えばそれが、何らかの目的を達成するために充分なものであれば、その結果をよくよく考慮して自己分析を行わずとも、基本的には目標達成の軌道に乗っていると言えるわけですから、現状維持・これまでの習慣の繰り返しをしていればいいわけです。

逆に言えば、成績・結果などに何かしらの問題や、必ずしも芳しくない点があれば、そのときには自己分析を行う必要性が生じているというわけです。
問題があれば、そこには何かの原因があり、そしてその原因の多くは一種の準備不足であると言うことができ、そしてその準備不足の原因は自己分析の不足に基づくと考えることもできるのです。

苦手を克服か、得意を伸ばすか

ここで、冒頭で述べた問題「苦手の克服か、得意を伸ばすか」ということに戻ってみたいと思います。

ここでご紹介したいのは、経済学の用語ですが「限界効用逓減の法則」というものです。

これは「財の消費量が増えるほど、さらに消費を増やしたときに得られるメリットが減っていく」ということを表しています。
具体的には、喉が渇いているときに飲む「一杯目の水」は価値が高くとも、その後何杯も水を飲んでいったあとの「十一杯目の水」は価値が相当に低くなっている、というようなことです。

これは勉強においても同様と言える部分があります。もし苦手な教科があるならば、苦手な教科については成績が低い状態ですから知識量も少なく、同じ量の勉強によって得られる成果は、得意教科よりも大きいはずです。

そのためこの観点に立つと、苦手な科目・分野があるならば、そこを重点的に勉強することで、より大きな成果が得られると言えるでしょう。

記憶の相乗効果

しかし、ご紹介した限界効用逓減の法則は、勉強に関しては一概には言い切れない、という点にも触れておきたいと思います。
これは「一芸に秀でる者は多芸に通ず」ということわざにも表されています。

これは脳科学的に見ると、記憶には相乗効果があり、何かの科目を高いレベルまで学習して知識を蓄えると、その記憶が他の科目・分野の理解も補助するという脳の働きによるものです。

例えば、国語の文章読解の技術を高めていけば、他の科目の文章題で問われている内容の把握や、正しい回答方法の理解にも繋がりますし、逆に数学の文字式の考え方を国語の読解問題に転用することもできるでしょう。
指示語や言い換え表現などの指す内容を探す問題などは、傍線部に解答を「代入」して意味が通じるか、などと考えることで、答えを導き出せます。

そのため「得意を伸ばす」ということにも、その意味で効率性があると言えます。

如何に自己分析をするか

では、その苦手や得意を明らかにするための自己分析は、一体どのようにして行っていけばいいでしょうか。

勉強に限らず、私が自己分析の際に重要だと考えていることは、必ず二つの対称的な観点を持ち、それらを往復しながら分析を進めることです。

ここでは二組の対称的観点の例を挙げたいと思います。

大きくと小さく

具体例の一つは、大きく捉えた分析と小さく捉えた分析です。

例えば、ある学生に「自分は歴史科目が苦手だ」という認識があったとします。これは大きく捉えたものに当たるでしょう。
その中でも具体的に苦手なのは何なのか、というのは小さく捉えることになります。ではそう考えてみると、「そう言えば、この間の世界史の試験でも、ローマ帝国の五賢帝が覚えられなくて大きく失点してしまったなぁ…」なんて思い当たったりします。

ここで、また大きな視点に戻ってみます。「五賢帝が覚えられなかった」ということを大きく捉えるとどうなるか、と言うと、「ローマ帝国の歴史に弱い」ということかも知れませんし「世界史のカタカナの長い名前が覚えられない」ということか、或いはもっと大きく「どんな科目でも固有名詞が覚えられない」ということかも知れません。

これによって、自分の課題がいくつか分かってきます。「ローマ帝国の歴史に弱い」のだとすれば、そこを重点的に勉強することが必要になりますし「カタカナの長い名前や固有名詞が覚えられない」ならば、そういったことを覚えるための暗記法が必要になります。そして、後者に関しては元々の「歴史科目が苦手」から派生して、その他の科目についても言えることでしょう。

国語の文学史についても覚えられていないかも知れませんし、固有名詞を覚えるのが苦手ということは、数学の公式などにも記憶に抜けがある可能性がありますから、確認したほうが良いかも知れません。

先天性と後天性

これは「自分というものの特性には、先天性のものと後天性のものしかない」ということに基づいた分析です。
「先天性」とは生まれ持ったもの「後天性」とは生まれたのちに経験の中で獲得していったもの、という意味です。

「先天性」のもの、自分が生まれつきどういったことに向いているか、或いは向いていないか、ということに関しては、これまでを振り返ればおおよそのことは分かると思います。シンプルには理系・文系といった分類でも、自分はどちらに向いているか、どちらの志向が強いか、ということは多くの方が自覚していることでしょう。

逆に「後天性」のものに関しては、自分がこれまでどのようなことをしてきたか、どういった経験を積んできたか、ということに注目して振り返ってみれば分かります。
本を読むことが好きで、本を休みの日や空き時間には本ばかり読んでいた、なんていう人であれば、文章読解が比較的人よりも得意な可能性がありますし、理科の実験の時間が大好きだった、なんて人もいるでしょう。

例えば私の場合は、歴史の成績があまり良くなかったのですが、振り返ってみると自分の興味のあることを覚えたりすることは得意で、友人から驚かれたりすることも多かったため、「暗記する」ということが苦手だった(先天性)、のではなく「歴史の暗記事項を覚える」という時間をあまり持っていなかった(後天性)のだ、ということに気付かされました。

そうなると、つまり単に「歴史の不勉強」が問題であったわけですが、それであれば

  • なぜ歴史をあまり勉強しないのか
  • 歴史の勉強に興味を持つにはどうすればよいか
  • 何か歴史に関する本を一冊手に入れてみようか

などと対策が考えられました。

このように、自分の先天的な性質と後天的な性質という観点で自己分析をしてみると、単に自分の成績の現状だけでない、もっと大きく捉えた自分の姿が見えてきます。

自己分析の結果どうするか

では、自己分析を行った結果、どうすればいいのでしょうか。

自己分析の結果は人それぞれでしょうから、その対処というのも一概には言えないわけですが、前半で述べたように、成績・結果が芳しくない時、その原因の多くは一種の準備不足と言うことができます。

ではその準備不足についてどうするか、ということに関して、またその原因を考える必要があります。

そもそも、勉強に集中できず、準備のための勉強の時間が不足していたならば、如何に勉強に集中するか、という集中法について、調べたり考えたりすることが必要になるでしょうし、

勉強の時間はしっかり取っていたにも関わらず、思ったよりも成果が出ていないのであれば、その勉強法が本当に自分に合っているのか、効率的なものなのかを考えるべきでしょうし、

勉強法も自分には合っていて、効率的に進められているはず、と思えるのならば、使用している参考書などの問題があるのかも知れません。

それら原因が分かれば、あとは実際に対策をしていくだけです!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

自己分析について、今回は詳しく解説いたしました。

自己分析が充分にできていなければ、勉強法や集中法、良質な参考書が手元に揃っていても、それらは空回りしてしまったり、効率的な運用ができないかもしれません。

そのため、まず充分な自己分析を行った上で、自分の課題と対策をしっかりと洗い出し、勉強を行っていくことが目標達成への最短距離であると言うことができるでしょう。

勉強法や集中法、参考書等については、StudyGeekでたくさん紹介していますので、ぜひご参考になさってください。

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