みなさん、楽しく勉強できていますか?
迷わずに首を縦に振れる方は充実した勉強生活を送れているでしょうし、その勉強の先にある目標も、きっと達成できることでしょうが、「やらなきゃいけないからやってるだけで楽しくはない…」という方も少なからずいるでしょう。
楽しく勉強をするためには、やはり興味を持たないとできません。
それに実は、興味を持って勉強すると楽しいだけでなく、勉強の成果にもプラスがあり、メリットが多いのです。
今回は、興味を持って勉強するとどんなメリットがあるのか、そしてそのためのコツとは何か、ということについて、脳科学的な知見も交えてご紹介していきたいと思います。
興味があれば覚えも早い
人間誰しも、自分の興味のあることや好きなことについては、知識などの吸収が早く、いつまでもよく覚えているものです。
僕がかつて塾講師として教えていた生徒たちの中にも、全体的な成績はあまり振るわないのに、興味のあることだけは非常に詳しい知識を持っていたり、好きな教科だけは偏差値で言えば30くらいの差で突出して成績が良かったり、という生徒もいました。
かく言う僕も、学生のころ基本的に暗記科目は嫌いだと言っていながらも、円周率200ケタ以上だったり、バンコクの儀式的正式名称(クルンテープマーハーナコーンアモーンラッタナコーシンマヒンタラーユッタヤーマハーディロックポップノッパラットラーチャターニーブリーロムウドムラーチャニウェートマハーサターンアモーンピマーンアワターンサティットサッカタッティヤウィッサヌカムプラシット)であったり、といった役に立たないくだらないことは暗記していたりしました。
これは、単にそのこと・その教科ばかり勉強しているというだけでなく、脳科学的にも根拠があります。
扁桃体を活性化
脳には「扁桃体」という部位があります。
扁桃体は「快・不快」や「好き・嫌い」を判断する働きをしていますが、これはなんと海馬の隣にあります。
そして、扁桃体が活性化することにより海馬も一緒に活性化します。
海馬は短期記憶を貯蔵し、その後に大脳新皮質へ送って長期記憶とするかを判断する場所です。
そのため感情を伴った出来事は、長期にわたって記憶に留められることになります。
興味や熱意を持って自発的に取り組むことで扁桃体が活性化し、同時に海馬も活性化するので記憶が定着しやすくなるのです。
学習意欲の向上
これは当たり前だと思われるかもしれませんが、詳しく脳科学的観点から考えてみましょう。
まず、脳はそもそも学習することに喜びを感じるようにプログラムされています 。
それも難易度の高い事象を習得すればするほど、ドーパミンが大量に分泌され、脳は快感を覚えます。
勿論、あまりに難易度の高い課題を課しても、そもそもクリアできませんから自分にとって少し難しい、程度のレベルが程よいのでしょう。
ドーパミンによって脳が快感を覚えれば、経験的にも学習意欲が向上するのは然ることながら、脳内でも「強化学習」と呼ばれる事象が起き、ドーパミンが出る前に行われた行動を強化するのです。
この場合の「強化」とは、よりその行動を行いたくなる、ということです。この場合ではまさに学習意欲が増すというわけですね。
さて、とは言ったものの、そもそも興味なんてものは自発的に持つものというよりも、自然にわいて出るものであってコントロールできる類のものではないとお思いの方もいるでしょう。
そんな方のために、興味を持って勉強をするコツをご紹介します。
外発的動機づけ
まず大切なのは「そのことを学んで自分はどうなりたいか/どうしたいか」という目標を想起することです。
元々その事柄に興味があるならば、どうやって興味を持つか、などということは考える必要がないわけですが、そうではないということは、何か理由・目標があってそのことを学んでいるということだと思います。
そのため、そのことを意識する必要があります。
心理学においてはこれを「外発的動機づけ」といいます。
逆に「内発的動機づけ」はその事柄自体に興味がある、それを学ぶこと自体が目的となっている場合です。
外発的動機づけには、自分が何のためにそのことを学んでいるのか、ということを思い出すのはもちろん、目標を達成した先にある自分の姿や周囲の環境などを具体的に想像してみる、といったことが有効と言えるでしょう。
ハードルを低くする
誰にでも、どうしても興味が湧きにくい対象があります。例えば文系の方であれば理系科目だったり、計算が好きな方であれば社会科目が苦手でなかなか興味が湧かないけれど、目標達成のために覚えなければならないことがあります。
そんなときは、記憶する量と時間をグッと減らしてみましょう。
最初は、「参考書を開くだけでいい!」という気持ちで大丈夫です。
実は脳の真ん中に「側坐核」と呼ばれる器官があり、この器官がやる気スイッチの役割を果たしています。この側坐核が活性化することにより、やる気が出るようになるのです。
そして側坐核が活性化した状態を作り出すためには、最低10分間の継続した脳への刺激が必要と言われています。覚える量も覚える時間も少なくして記憶してみることで、側坐核はだんだん活性化してくるので、まずは10分間を目標に取り組んでみてください。
具体的には、その10分間が終わったら5分の休憩時間を設け、休憩時間が終わった後は再度10分間の記憶作業を行うサイクルを作ります。それを繰り返すと気分が乗ってくるので、自分に負担がかからない範囲で覚える量を少しずつ増やしていくと良いでしょう。
こちらの記事では集中力を高めるための方法として、15分勉強→5分休憩を繰り返すという「インターバル式勉強法」をご紹介しています。
基礎知識をつける
ハードルを低くしながらの一旦の目標は「基礎知識をつけること」です。
そもそも興味や好奇心というものを持つのは、自分の持っている知識と新しく触れたものとにギャップを感じる時です。
つまり、そのためには比べる対象となる「基礎知識」を持っている必要があります。
一説では、ある事柄に関しての理解度が0%であれば、まだ不安感が高く興味もわかないのですが、学習を進めて次第に理解度が高まってくると興味も増してきます。
理解度が60%程度のときに、興味は最大化されるという考え方もあります。
ハードルを低くして、少しずつでも学習を進めているうちに基礎知識と言えるものは備わってきます。
それが備わってくれば、それから更に進んだ内容を学んでいくうちに、段々と好奇心が刺激され、次第に「内発的動機づけ」もできるようになってくるので、意欲を長く持続できるようになるでしょう。
まとめ
今回は、興味を持って勉強することのメリットとコツをご紹介しました。
まとめると以下のようになります。
- 扁桃体が活性化、隣にある海馬も活性化
→記憶が定着しやすく! - 難しいことを習得すればドーパミンが分泌
→勉強が快感に!学習意欲が向上!
- 目標を想起・達成後の未来を想像
→「外発的動機づけ」で興味を下支え! - ハードルを低くして少しずつ勉強
→「やる気スイッチ」側坐核が活性化! - まずは基礎知識を習得
→新しい知識とのギャップで好奇心が刺激、「内発的動機づけ」へ!
以上のように、興味を持って勉強ができれば楽しく、そして効果的に学習を進めることができます。
僕も学生の頃、先ほど嫌いだったと告白した暗記科目の一つである歴史を学習する際には、教科書や授業には登場しないようなマメ知識的な部分を多く調べることで、自らの興味を喚起して楽しく勉強を進められているときが一番成績も良かったように思います。
みなさまも、勉強内容に興味を持って、より一層勉学に励まれることを応援しております!
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