何事にも「中だるみ」ってありますよね。
「今日は頑張って勉強するぞ!」とか、或いはもっと長いスパンで「今月は!」とか「今年は!」とかと思っても、なかなかその勢いを続けることは難しかったりします。
一方で、終わりが近づいてくると「終わりよければすべてよし」なんて言いますし、またちょっと頑張ってみたり……。
そういった「中だるみ」が、実は心理学的にも証明されたものだったことはご存知ですか?
このことは勉強にも活用することができ、正直知らないと損なものだとか?
今回はこの「中だるみ」について、掘り下げていきたいと思います。
「中だるみ」の反対は「初頭効果」と「新近効果」
最初に少し述べたように、最初は張り切ってみても、中だるみしてしまって、でも最後だけはまたもうちょっと頑張ってみる……。
そんなのが「中だるみ」です。みなさまもご経験があるのではないでしょうか?
そのため、例えば「中小企業診断士」という難関資格を教える、とある大手の資格予備校では、暗記すべき科目を一番最後に持ってきて教えています。
実は、これは記憶のシステムを逆手に取ったカリキュラムなのです。
記憶には「初頭効果」と「新近効果」という2つの心理作用があるのです。
初頭効果
何か、長いモノを覚えようとした時に、最初の方だけ覚えているけど……ということは、みなさまご経験があると思います。
極端な例で言えば「寿限無」でしょうか。
「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ かいじゃりすいぎょの すいぎょうまつ うんらいまつ ふうらいまつ くうねるところにすむところ やぶらこうじのぶらこうじ ぱいぽ ぱいぽ ぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんだい ぐーりんだいのぽんぽこぴーの ぽんぽこなーの ちょうきゅうめいのちょうすけ」
が、フルネーム(厳密には名字があるかもしれませんが)なわけですが、「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ」くらいまでは覚えていても、その後は覚えていない……という方も多いでしょう。
初頭効果とは、ある複数の事柄を一気に覚える時、初めに提示されたものほど覚えやすいという事象を指します。
例えばもし、何らかの授業や説明を受けたならば、最初の方に聞いた内容は覚えやすいということですね。
これは、1946年にポーランドの心理学者、ソロモン・アッシュ氏が行った実験をもとに提唱されたものです。
言ってみれば「第一印象が大事」ということですね。
誰か、自分の友人・知人を思い浮かべてみても、やはりその人の第一印象はしっかり記憶されていて、色々なことがあってもなかなかその印象は大きくは塗り変わらなかったりするものです。
新近効果
逆に新近効果とは、ある複数の事柄を一気に覚える時、最後に提示されたものほど覚えやすいという事象を指します。
さきほどの「じゅげむ」についても、序盤の「じゅげむ じゅげむ…」は覚えていても……ということを先程お伝えしましたが、一方で最後の「ちょうきゅうめいのちょうすけ」も覚えている、という方もいらっしゃいませんでしょうか?
これがまさに新近効果で、最後に提示されたものなので覚えやすいということなのです。
こちらは、1976年にアメリカの心理学者であるN.H.アンダーソン氏の実験に基づいて提唱されました。
冒頭にご紹介した資格予備校での授業でも、これが利用されていたということです。
最後に暗記項目を持ってくることで「新近効果」によって覚えやすく、試験本番でも覚えている可能性が高まることになります。
「初頭効果」と「新近効果」を利用した勉強法
では、この「初頭効果」と「新近効果」をどうやって勉強法に活かせばよいのでしょうか?
これには単純な方法があります。
「最初」と「最後」が覚えやすいならば、「最初」と「最後」を増やせばよいのです。
例えば、休みの日で6時間あるときに「早く勉強を終わらせてしまって、残った時間でやりたいことをしよう」と、最初の5時間を勉強に費して、1時間は余暇としてしまうと損だということです。
同じ時間の配分でも、例えば勉強の5時間を50分×6回に分けて、その合間に12分の休憩を5回挟んだほうが、それぞれの50分の勉強における「初頭効果」と「新近効果」を狙える機会が単純計算で6倍に増加するわけです。
休憩をこまめにすることは、単純に集中力の向上にも繋がります。
とは言え、あまりに細切れにしてしまっても逆に集中できないでしょうから、自分に合った時間を設定して、勉強時間を分けていくことをおすすめします。
この点については、こちらの記事において脳科学者の実験結果を踏まえた上で、より具体的な方法論をご説明しています。
まとめ
いかがでしたか?
「中だるみ」はタイムスパンが長いものでも短いものでも、何かの目標のために努力している方にとっては警戒しなければならないものですが、今回はそれを逆手に取った「初頭効果」と「新近効果」を利用した勉強法をご紹介しました。
今日からでも使える簡単な方法ですから、一度試してみてはいかがでしょうか?
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