高校数学最初の難関 ― 2次関数の攻略法

数学

高校数学で最初に出会う難関といえば、2次関数です。2次関数はその後の三角関数や微分積分にもつながる重要な単元で、ここで躓くと高校数学全般が理解困難になってしまう可能性もあります。そんな大切な2次関数の攻略法を見てみましょう。

2次関数攻略のカギは正確なグラフ

2次関数の攻略のカギを一言で言うと、正確なグラフを書く」ことです。

2次関数は変数xの動きに対する変数yの変化の仕方が一定ではありません。1次関数ならば、xが増加する動きに対し、yは一定の割合で増えるか、あるいは減るかのどちらかでした。しかし、2次関数ではxが増加すると、yは増えたり減ったりします。この複雑な動きを頭の中だけでとらえるのは非常に困難です。そこで、xとyの動き方を視覚で簡単にとらえることができるグラフがとても大切になるのです。

正確なグラフ≠綺麗なグラフ

「正確なグラフをかきましょう」というと、グラフを美しくかこうとするあまり、テスト時間内に問題を解ききれなくなる人もいるかもしれません。

しかし、正確なグラフというのは、たくさんの座標をとり、座標線をまっすぐに引き、できるだけ美しい放物線を描いた綺麗なグラフのことではありません。

グラフが曲がっていようが、放物線の形がつぶれていようが、問題に答えるための大切な要素がそろっていれば問題ありません。テストの時間は有限ですから、むしろ、できるだけ早く、正確な走り書きグラフを書けるようになった方が良いのです。

それでは、正確なグラフのための大切な4つの要素を教えます。この4つがそろっていれば、グラフはある程度汚くても大丈夫です。

正確なグラフのための要素1 上に凸か下に凸か

2次関数のグラフは放物線で描かれます。ただ、放物線は上に突き出ているもの(帽子型)と下に突き出ているもの(バケツ型)の2種類があります。上に突き出ているものを上に凸のグラフ、下に突き出ているものを下に凸のグラフと呼びます。

2次関数の式を見た時点で、このグラフがどちらなのかはすぐ分かります。見るべきは \(x^2\) の係数です。係数が正の値ならグラフは下に凸、係数が負の値ならグラフは上に凸の形になります。例えば \(y=2x^2+3x+1\) という式のグラフは \(x^2\) の係数が2という正の数なので下に凸のグラフになります。

正確なグラフのための要素2 頂点の座標

放物線には、必ず、頂点があります。頂点というのは上に凸のグラフでいう、y座標が一番大きくなる部分のことです。下に凸のグラフではy座標が一番小さくなる部分です。

2次関数のグラフで頂点を求めるためには、グラフの元となる式を「平方完成」しなければなりません。

平方完成とは?

平方完成とはなにか?まず、例をお見せしましょう。

\(y=2x^2+12x+10\) を平方完成します。

\(y=2(x^2+6x)+10\)

\(y=2\{(x+3)^2-9\}+10\)

\(y=2(x+3)^2-8\) ←平方完成終了です。

元の式の形を変えず、 \(x^2\)と\(x\) 、2カ所にあったxの要素を、1カ所にまとめていることがわかりますか?

たとえば \(x=2\) としたとき元の式では \(2x^2\) と \(12x\) の2カ所に代入する必要がありましたが、平方完成した場合は \((x+3)^2\) の1カ所にのみ代入すればよくなります。こうすることでxに対応したy値の変化の仕方が見やすくなります。

頂点とは、グラフのy座標が最も大きくなるときか、最も小さくなるときでした。 \(y=2x^2+12x+10\) は \(x^2\) の係数が正の値なので、グラフの形は下に凸ですからyの値が最も小さくなるとき、頂点があらわれます。

では \(y=2x^2+12x+10=2(x+3)^2-8\) が最も小さくなるのは?

答えは \((x+3)^2\) の値が最も小さくなる時です。2乗された式は0以上の値しか取れませんから、 \((x+3)^2=0\) の時、式は最も小さい値を取ります。 \((x+3)^2=0\) ならば、xは-3になります。また、yの値は-8になります。

よって、 \(y=2x^2+12x+10\) の頂点は \((-3,-8)\) となります。頂点が分かったら、x軸、y軸をとり、頂点の座標(大雑把でOK)をかき込みましょう。

正確なグラフのための要素3 x、y軸と交わる座標

グラフの形、頂点が分かりましたが、頂点の座標1つではグラフをかくことができません。とはいえ、 \(x=1、x=2\) …といくつもの座標を取っていくのは非常に手間です。そこでx軸、y軸と交わる座標を求め、頂点と結んでいくことにします。この2つの座標は問題を解く上でも重要です。

x軸と交わる座標はy=0を式に代入することで求めることができます。また、y軸と交わる座標はx=0を式に代入することで求めることができます。

先の例題を使うと、x軸と交わる座標は \(0=2x^2+12x+10\) を解くことで求めることができます。式を解くには因数分解や解の公式の知識が必要になります。例題の式は \(0=2(x+5)(x+1)\) と因数分解できますので、解は \(x=-5,-1\) 。x軸と交わる座標は \((-5,0) (-1,0)\) の2つになります。一方でy軸と交わる座標は \(x=0\) を式に代入するだけで求められます。 \((0,10)\) ですね。

頂点の座標と \((-5,0) (-1,0) (0,10)\) を結ぶと、正確なグラフの形がかけます。

x軸と交わる座標がない時は?

xの2次式=0には実数の範囲では解が存在しないことがあります。判別式が0になる場合ですね。この時、グラフはx軸から浮いた状態になっています。解が存在しない場合は、グラフをx軸から浮かせて、頂点とy軸との交点をヒントにグラフをかきましょう。

正確なグラフのための要素4 定義域の把握

正確なグラフのための最後の要素は定義域です。定義域とは(高校の2次関数という単元で言えば)xの取りうる値の範囲のことです。これはグラフの端を表すための重要な情報です。

ただの \(y=2x^2+12x+10\) という式であれば、xは様々な範囲を取りえますから、グラフの端はないことになります。しかし \(y=2x^2+12x+10  (0≦x≦5)\) という式であれば、 \(x=0\) より小さい時と、 \(x=5\) より大きい時のグラフは存在しないことになります。くれぐれも定義域が決まっているのに、それを考慮しないようなグラフをかいてしまわないようにしましょう。

定義域が決まっている2次関数でよく問われるのは、「2次関数の最大値、最小値」を求める問題です。

グラフは関数の値の変化を視覚的によく表してくれる便利な道具です。定義域をちゃんと取れば、この最大値・最小値の問題もグラフを見ることで解けるようになってきます。

そのためには、定義域の端の座標をきちんと出しておくことが大切です。上の例で行けば\(x=0\)の時の座標と\(y=5\)の時の座標を出し、グラフの端にかきこむようにします。

注意したいのは「隠れた定義域の条件」です。たとえば、文章題でxが物の値段だった場合。xは必ず0以上になり、負の値を取ることはありません。文章題を2次関数に置き換え、グラフで解くような場合は隠れた定義域の条件に気を付けてください。

正確なグラフで視覚的に問題を解こう

2次関数の攻略には、正確なグラフをかくことが不可欠です。正確なグラフとは、グラフの形・頂点・x軸、y軸との交点、定義域によってきまっているグラフの端がかかれているグラフです。グラフを使いこなせば、2次関数の問題を視覚的に解くことができるでしょう。

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