最近、英語学習をはじめとする諸外国語学習において、各所でその効果が大評判、絶賛されている方法があります。
それがリピーティングによる学習法です。
耳で聞いた音を、自分の口ではっきりと発音して読み上げるリピーティングという方法(=リピートする)から、正確さやペースはともあれ大体ついていければいいというマンブリングや、できるだけ音が重なるように聞いた音にあわせて小さな声で発音するウィスパリング。
更には、耳で聞いた音ではなく、日本人にとってなじみが強いテキスト音読も最近はリピーティングの一種として、小さな子供から、受験英語もすっかり通り過ぎた大人たちにまで、また職業として英語を扱う通訳などのプロたちにも広く取り組まれています。
この流行は実は「自分の口から出せない英語や外国語は、聞き取ることも読んで理解することもできない」という考え方から来ているもの。
ですが本当なのでしょうか?
今回は、最近流行りの「リピーティング」について、その効果やおすすめポイントなどをまとめてご紹介させていただきます。
リピーティングは一体何を目的としているのか?
厳密にいえばリピーティングとは、流れてくる文の音声を丸ごと真似てしっかり発音する学習方法を指しています。
もともとの意味での「リピーティング」では、1語単位や1文単位から初めて、1会話、1スキット、中には教科書の1単元2~3ページ前後というケースのものなどもあります。
音を聴くだけでテキストを想像し、それを1文からかなり長い文章まで文法的にも復元し、しっかり発音まで行わなければならないため、かなりの緊張感のある練習方法。
英語でももちろんですが、その他の語学学校でも言語を問わず、またレベルを問わず広く用いられている方法です。
また、その中で
- 発音の仕方
- 音声やテキストなどをどんなふうに追いかけるか
ですが先ほど軽く触れたように、「リピーティング」とは従来分類されてこなかったものが、「リピーティングの一種やそのもの」とされて、学習方法やスクールなどによって呼ばれているケースもあり、多少意味や手法的な幅が生まれています。
語学学習におけるリピーティングとは?「発音の仕方」の違いによる分類
リピーティングそのものや、その過程の一種として紹介されることが多い「口で手本の音源などをほぼ真似て発音して習得する」方法の中では、「発音する方法」によって分類が分かれています。
今回は発音の仕方や目的の違った3つのリピーティング手法について説明していきます。
- マンブリング
- リピーティング
- シャドーイング
マンブリング
mumble = もごもご言う が由来で、音声を聞きながらそれをマネしてもごもごと不完全ながら小声で発音するもの。
重要なのは、大体ざっくりとしたところだけマネできればOKという点です。
そのため、後述するリピーティングやシャドーイングの前段階として、また子供の英語教育で最近流行りのフォニックス(音でだけ理解できている単語を、類推して綴れるようになるための学習法)の学習者でも勘が身につきやすいため、初期学習者に対しては広く推奨されています。
調べたところ、テキストを見たり聞いたりしたものを多少修正してつぶやくタイプと、全く見ないで集中しながら耳を慣らしていくタイプがあるようです。
リピーティング
通常は英文の音声を短めの1文や1フレーズ毎に区切って一時停止し、その間にそれまで聞いていた音声を丸ごとマネして丁寧かつ同じスタイルで発音することです。
ネイティブスピーカーの発音の抑揚や、どんな単語や熟語が使われているかなどまで神経を張り巡らして繰り返すことを数分間行うため、非常に集中力が上がり、スキルアップしやすい効果があることが知られています。
リピーティングにより発音矯正もできる他、大量の文章を意識して脳内で再構築するので、毎日続けることによりヒアリングの力も上がります。
毎日ネイティブと同じ発音と語法で真似ているだけで、知らない間に語のチャンク(=意味のまとまり、センスグループ)の分け方や成立、コロケーションなどを意味や成立、文法的に学んでこなくても英語の基礎が自然と頭に入ります。
日本では、一部の学校教育における英語の授業において、教師の後に生徒が復唱するタイプの学習法が取り入れられています。
昔の授業運営型での復唱は、この学習法の根本理論を広く展開したものであるとされています。
シャドーイング
上記のマンブリング、リピーティングの段階を経て、さらに1つ上の段階とされているのがシャドーイングです。
通常は音源だけを頼りに行いますが、1文ずつの間にブランクがなくニュースのような音声で、単に通常の速さで話されてくるものから少し遅れて、発話者と全く同じ発話速度や発音、そして文法的に正しいことまでを確認しながら、はっきりと発音します(学習法によっては、シャドーイングは小声で行うところもあります)。
このシャドーイングでは1文あたりの長さがリピーティングよりぐっと伸び、30秒程度からスタートします。
慣れてくると30分や1時間など時間が伸びるだけでなく、話者を1人ずつ増やしていったり、あるいは10人ほどが集まるフォーラムのようなケースにおいてもシャドーイングができるようになります。
筆者の知る通訳者やその学習中の方々では、若い内から早朝に放送されている英語のニュースを1時間映してシャドーイングを行い、英語と日本語のチェックを欠かさないことで、スキルを維持するといった方法を実践している方がいました。
この方法、もちろん英語以外の外国語の学習にも使えますが、日本語の長文ニュースや評論家が一人で話す番組などで、一度日本語のシャドーイングを実践してみるのも良いかもしれません。
それにより自らの日本語の鍛錬にもなる上、英語を理解するときの日本語での苦手面にも気づきやすくなるからです。
まとめ
ここでご紹介したような3つの方法が、発音の仕方による分類のリピーティングそのものやその一種とされる流行りです。
ちなみに英検1級を目指す方や、プロの通訳者を目指す方の学習法では、このさらに上位の方法でリピーティングよりも格段に長く、かつマルチタスクでシャドーイングしながら別回路でリピーティングも頭の中で行って、それぞれの記憶を多チャンネルで保持するといったトレーニング方法もあります。
通訳者を目指す人としては駆け出しの人でも、3分間に耳に入ってくる情報を多チャンネルでホールドしつつ筆記と口述で別々にアウトプットできることが求められますので、オススメの方法です。
また、ここまでの学習法で、しっかり自分が短期記憶や長期記憶を自在に操れるような脳や意識を作っておくことも大切となります。
記憶についてはこちらの記事をご覧ください。
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