学校教育でもこれまで主流だった読む・書くだけではなく、聞く・話すを含めた4技能が、受験のレベルでも注目されるようになってきた昨今。
大人が学ぶ英会話についても、若手世代のスキルアップに伴い更に上を目指す必要も出てきました。
これまでの対面型の英会話スクール以外にも、Skype英会話ではワンレッスン数分からの時間単位で受講できたりするなど、これまでより使いやすくなり広く普及しています。
参考 Skypeを使ったオンライン英会話スクールSKY TALK早朝から深夜までの隙間時間も利用しながら、効率よく学習をする人も増えています。
特に外国語学習では習得の過程において、テキストを読み上げること、聞いたものを耳から入ったまま繰り返し話すことなどが非常に重要とされています。
ですが、実は語学学習では読み聞きや音を使ったレッスンのない学習期間というのが、語学の完全な習得において非常に重要であるという説があることをご存知でしょうか?
目次
ただ英語の音を聞き流すだけで上達するって本当?
手軽に学べる英語教材として、インターネットなどで見かけることのできる広告の中には、ただ英語の音を聞き流しているだけでいつの間にか上達しているといった教材やサービス、アプリなどが散見されます。
ところが、説明や体験談などを読んでいると、思ったのとは違う、、、ということはありませんか?
例えば、「学校での英語教育で文法や作文などは十分に身に付いているが、口からは英語が出てこない……」という人を想定していたり、習得できるレベルが非常に初歩的で、最終的な到達点が低いケースなども目に付きます。
日本の学校における英語の学習方法は、英語と日本語の文法構造や発音の構造等がかなり違っていることもあり、教育の基本自体もかなり異なっています。
多くの場合、最初に座学で完成度の高い英文を使いながら、何年か先になって読み書きや会話をスタートできることを目標にし、ひたすら正しいルールから学び始めます。
一方海外において他の言語を学ぶときには、一般の英会話スクールと同じで、いきなり分かりやすい会話表現などから入っていきます。
そしてフランクなフレーズでもブロークンな文法や会話でも構わないので、どんどん周りの人と話すことで文章や発音などを体で覚えて蓄積していく、という方法が採られることが一般的です。
学習開始から1年後、2年後、3年後、10年後のように一定の間隔で、どちらの学習方法のほうがコミュニケーション能力が高いかを測ってみると、ネイティブスピーカーにとっては、後者のフランクな表現やブロークンな文法・会話から学習を開始した方が、レベルとしては高い位置にあると判定されることが多いようです。
日本での語学教育のワケ
では、何故日本では座学から語学学習を開始する教育体制が採られているのか、という疑問が発生するのですが、それには明確な理由があります。
まず英語を正しく聞くための音の領域・周波数は、日本語のそれと比べるとかなり特徴的です。
と言うよりも逆に、日本語の表音文字に対応した調音全体が、口腔内のどの位置で音を出しているのか、また発された音を聞き手が何の音として判別するかの基準が、欧米の一般的な言語等と比べてかなり特徴的と言われています。
だから日本人は英会話において、自分の知らない語句や言い回しが出てきた時に上手く聞き取れず、分からない音を文脈に沿って区切ることが上手にできないことが多くあります。
そのため日本人の場合は英語を学ぶ初期の段階で、それを聞き流すよりも、とりわけ基本的な発音の傾向や、文法から導かれる正しい区切り位置、音と音の繋がりなどを知識として頭に事前にインプットしておく必要があります。
日本においては学校教育の英語にしても、その他のあらゆる科目の学習にしても、またお稽古ごとの音楽や学校の部活等にしても、問題解決や演奏・試合等の実習・実用レベルに到達するまで、長くゆるゆると基礎を学ぶことだけになってしまう傾向があります。
それも手伝って、英語教育においても座学と一斉朗読などを中心に基礎をまず徹底的に学習し、それを経てからボトムアップ式に正しい音を予測して聞く、という事に注力する方が馴染みやすいと考えられています。
また身体の発達には、現在では教育学の中でも広く知られるようになっている、ある特徴があります。
それは、子供の感覚器や頭脳は、特に小学校高学年から中学校にかけて、自分が見聞きしない音の周波数を整理し、身近でない周波数や音に関しては詳細に聞き取れなくなっていく傾向が大きくなるというものです。
成長期において聞き慣れない周波数や音の情報は脳内で消去されてしまい、成人してからそれらを聞き取れるようになるには多くの時間や手間を要することが研究により明らかになっています。
そのため、敢えて英語の読み聞きのない期間というものを設けて文法等への理解を高め、聞き取る際の事前予測能力を身につけるというステップを踏むということも一つ有効と言えるのです。
英語の読み聞きのない時期を、学習期間のいつ設ければ良いのか?
基本的には、英語の読み聞きのない時期というのは、学習のステップごとに設けるべきものとされています。
例えば、一定程度文法事項の基本が身についた時点で、例えば時制で切り分けて現在形、過去形、完了形など、いくつかの単元毎のまとまりで区切ったり、あるいは成人の語学学習においては、基本会話が身に付いた時点、ビジネス会話が身に付いた時点、自分で語彙を使いこなしてオリジナル文で会話ができるようになり始めた時点、などの区切りでこの期間を設けることが多いようです。
学習の定着に関しては、子供の場合短期間しか振り返れない傾向が大きく、大人の場合はより以前に学習したものまで振り返れる事はよく知られています。そのため、その年齢や、個人の特性等に応じて、例えば短い単元ごとの区切り、初級・中級・上級といったレベルでの区切りなどを選択すれば良いでしょう。
「別に毎日の学習時間の中に、こういった時間を継続的に設けておけばいいじゃないか」と思われることもあるかもしれません。
ですが、個々人に応じた、長期的に、あるいは自然に身に付いてしまった癖を認識して修正をするためには、前のこの読み聞きのない期間からカウントを開始して、情報がある程度蓄積された時期が最適だと考えられています。
確かに言われてみれば、自分の癖というのは毎日の練習の中で探し出すといったものではないように思えます。
目指すスタイルやお手本と比較して、エラーや自分のクセが強く出る方が、自分自身でも気づきやすくなります。そのためには普段と変わらない学習方法をとって過ごす時間の経過もある程度あったほうが、自分の思い込みなどを反映したクセが出やすくなります。
英語の読み聞きのない時期には何をすればいいのか
さて、英語にかぎらず他の外国語でもそうですが、読み聞きのない時期には一体どんな勉強すればよいのでしょうか。
諸説ありますが、筆者が学んだいくつかのスクールでは、
- ここまでに学んできた発音を、理論や図表として座学で理解する
- 今までに学んできた文法や作文演習などだけに集中する
- 声を出すことなく、あるいは頭で音声に置き換えることなく、他言語の文章を読んで理解するために、ペーパーバックなどの速読に集中する
全く音を聞かないことで、書くことや黙読したことが文法的に正しいか、音に頼らずに自分で判断する事をより深く追求できるのです。
この期間、自分で詳細な学習経過や分析を記録し、この期間どんなテーマに集中して学習するべきかを第三者目線で客観的に確認分析してもらう方が、効果は上がりやすいと言われています。
期間ですが、学生など比較的短期間で1日あたりの学習時間が多いタイプでは1日から3日程度。社会人などで、記憶のバッファや期間も長く、細切れ型学習が中心の場合、1週間から1ヵ月未満程度のスケジュールを組むこともあります。
しかし学習者の習熟度レベルによっては、完全に音読による読みとヒアリングがない場合、極端にその他の実力も下がるケースなどもあります。
そのため、スクールや学習法によってはこういった期間にだけ用いる、普段よりも負担の少ない語彙や長さや文章構造を持ったテキストによる、音読やヒアリングの教材が提供されることもあります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、語学学習では読み聞きのない学習期間が重要なポイント!?という考え方と学習法についてご紹介しました。
特に語学学校の中でも「より上級で品位のある言葉遣いを学べるスクール」などでは、この自らの音読による読み聞きが存在しない時期を、かなり長く設けているところもあります。
こういったところでは、言葉を使う前に、さらに正しい文法規則や語の選び方、マナーで言葉を選んで文章が作れるように、より深い語彙のレクチャーや、添削型指導なども取り入れています。また、現在のレベルよりも多少難しい購読指導などを設けているところもあります。
言葉を使うときには多くの方が、テレビの話を見聞きしたり、会話で使うといった量が必然的に最も多くなりますが、これを禁止することで、自分の言葉としっかり向き合う、言葉を作り出すための準備を集中して仕上げると言う事ですね。
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