あなたは教えることは好きですか?
「教えるのはハードルが高い…」「教えてもらうことはあるけど、教えることはしない」
勿体ない!人に教えることを避けるのは本当に勿体ないことなんです!
私は5年ほど塾講師をしていたのですが、そこで気付いたことがあります。
それは「友達に教えてる子は成績の伸びがいい」ということ。
「いやいや、人に教えることができるくらい勉強できるってことじゃないの?」という反論もあるでしょう。
しかし、直前のテストで平均点以下という生徒数名に「今日勉強したことを私に授業してみて」と指示してみたことがあるのですが、実行できる生徒はその後の学力の伸びがいいのです。
なぜ人に教えると成績が上がるのか?他の勉強法との違いってなんだろう?と不思議に感じ、「教える」ことについて調べていくと、「教える勉強法」がとても効果のある勉強法だということが分かりました。
今回はそんな素晴らしい「教える勉強法」について紹介していきます。
アウトプットの重要性
「アウトプットは大切だよ」と色々な方から聞きますし、書店でもアウトプット関連の書籍をよく見かけます。
アメリカ・パデュー大学のカーピック博士の研究で「インプットよりもアウトプットを繰り返すことの方が記憶が脳へ定着しやすい」ことが分かりました(サイエンス誌 2008年2月号)。
読む・聞くなどのインプットは学習する上でもちろん大切なのですが、知識の定着のためには覚えたことを脳から出力することが重要だということです。
テストや発表、ノートにまとめるなどの知識をアウトプットする勉強方法は多岐にわたります。
「人に教えること」も知識をアウトプットする方法の中に含まれ、「教える勉強法」はこの点からも効果的であると言えるでしょう。
「教える勉強法」の定着率は高い?
ラーニングピラミッドという各勉強法の定着率を示した図があります。
このサイトでも過去に紹介しましたね。
このラーニングピラミッドによると人に教える勉強法の定着率は90 %で、他の勉強法に比べ圧倒的に高いのです。
ちなみに、講義を聞くだけの勉強法の定着率は5%と示されています。
講義を聞くというのはインプット、人に教えるのはアウトプットの勉強法ですので、このことからも定着にはアウトプットが重要であることがわかりますね。
「人と議論する(50%)」「実践する(75%)」などの勉強法もアウトプットですが、人に教える勉強法は一番定着率が高いことが示されています。
では、なぜ人に教える勉強法はこれほど定着率がいいのでしょうか?
その理由を「教える勉強法」の特徴と併せて紹介していきます。
理解できていない曖昧な部分がわかる
勉強する上で敵になるのが「理解できていない部分がわからない」ということ。
理解できていない部分が分かっているなら、先生に聞く、教科書や参考書で調べる、最近ですとネットで質問する、なんて方法で解決することができますよね。
逆に理解できていない部分が分からないと、自分で調べるのは範囲が広くてとても大変ですし、質問しても返ってくる答えがピッタリこないこともあります。
そんな時こそ「教える勉強法」の出番です。
相手が理解できるように説明する時に、曖昧になっている部分はスムーズに教えることができません。
つまり人に教える時に上手く説明できない部分が、あなたの理解できていない部分ということです。
その部分を相手に上手く説明できるくらい勉強してみると、全体の理解度が上がりますよ。
ミスが減る
人に教えることでミスが減るようになります。
テストで「これはひっかけ問題だな」と気付いたことはありませんか?
こういうミスを誘発する問題は、多くの人が間違えやすい部分を理解できているかを確認する上で欠かせません。
教えることをしていくと間違えやすい部分に気付きやすくなって、その結果ミスが減るのです。
例えば四則混合計算で以下のような問題があったとしましょう。
- \(2+(-3)÷2×6-8\)
- \(2+(-3)÷2×(6-8)\)
このように並べてみると違いが分かりやすいのですが、バラバラに出題されると正解率が一気に下がります。
計算練習をしている時は似たような問題を連続で解くため正解できるけど、テストで色んな分野から少しずつ出てくると間違えてしまう、なんて経験あるのではないでしょうか?
なんとなく覚えている理解が浅い部分は、ひっかけ問題や紛らわしい問題に引っ掛かってしまう確率が高くなります。
よく間違えてしまう部分は「教える勉強法」で理解を深めていくといいでしょう。
表現力、語彙力が上がる
私は理系で、現役時代は国語が得意ではありませんでした。
読書は好きだけど、使える言葉があまり多くなかったんですね。
これは読書で言葉をインプットしてるけど、話す・書くなどのアウトプットが出来ていないから言葉がうまく使えないということの表れだと思います。
それが塾講師を始めてから語彙力がグッとあがり、現役時代より国語の点数が上がりました。
人に教える時は複雑な言葉や専門用語を、簡単な言葉や分かりやすい表現に言い換えする必要がありますし、人によって響く言葉が違うので、言葉のバリエーションが増えていきます。
これが、人に教えることで自分の語彙力・表現力が上がるメカニズムです。
文系教科はもちろんですが、理系教科でも応用問題を解く上で語彙力はとても重要です。
また、人に教える勉強法で使える語彙・表現を増やしておくと、大学生・社会人で欠かせないプレゼンや面接でも役に立って便利ですよ。
「教える勉強法」を実践してみよう!
「教える勉強法」で問題なのは、誰を相手に教えるかということではないでしょうか?
一般的には友達同士・家族・学校や塾の先生あたりが教える相手になることが多いと思います。
友達同士はお互い分からないところを教え合えるのでオススメですが、勉強以外の話をしてしまう(しかも盛り上がって脱線してしまう)という難点が。
学校や塾の先生相手だと曖昧な部分や引っかかりやすいところを説明するように誘導してくれますが、教える勉強法に付き合ってもらう時間を確保するのが難しいでしょう。
教える相手がいるのがベストですが、「教える勉強法」は一人でも出来ます。
ロンドン大学の研究によると「勉強後にテストする」と言われたグループより「勉強後に人に教えてもらう」と言われたグループの方が点数が高いことが分かりました。
このように実際に人に教えることをしなくても、人に教えるつもりで勉強するだけで効果があるようです。
それ以外にも、「教える勉強法」には一人で模擬授業をしてみる、ツイッターやブログを有効活用する、解説プリントやテストを作るなどの方法もあります。
学習した部分を自分で授業することで、理解できていない部分を見つけることができ、おまけに覚えている部分は復習することになるので効率的に学習範囲が定着していきます。
模擬授業は恥ずかしいという方なら、解説プリントや模擬テストを作ってみてはいかがでしょうか?
私は高校時代に解説プリントを作って友人と交換していましたが、とても効果があったと感じています。
問題のポイントや使う公式、問題文の読み取り方、暗記すべきこと、紛らわしい部分をこまめに書きこんで、参考書よりも詳しくなるように解説プリントを作成していくのがポイントです。
解説プリントを作るだけでもいいのですが、人に渡して分からないと言われた部分をプラスで解説するとより効果的です。
テストを作る勉強法では、出題者の意図が分かるようになって、ひっかけ問題に強くなります。
「教える勉強法」のデメリット
恥ずかしさとの戦い
教える勉強法はとても効果のある勉強法なのですが、中には人に教えるのは恥ずかしいと感じる方も。
教えるのが恥ずかしいと感じるなら、テスト作成からスタートしてみてはいかがでしょうか?
テストを作成して解いてもらい、その後に解説という自然な流れになるので、教える勉強法の初心者さんでも実践しやすいです。
人に教える機会は大人になってからも多いですので、今のうちから少しずつ慣れていくといいですね。
時間がかかる
人に教える勉強法は時間の余裕が必要になります。
自分だけでなく相手の都合もありますので、お互いのスケジュールを確認しながら教える時間を確保しなくてはいけません。
スケジュールが合わない時は、「教えるつもり勉強法」でスムーズに解説できるように勉強しておくといいでしょう。
相手の都合が合えば実際に教えるといいですし、都合が合わない時でも勉強の効果が上がります。
あとは、ネットなどで時間が合う相手を見つけるなんて方法もありますね。
自分に合った「教える勉強法」を見つけてみましょう。
まとめ
今回は「教える勉強法」について紹介していきましたが、いかがだったでしょうか?
「教える勉強法」はアウトプットする勉強法の中でも効果が高いことが分かりました。
色々な手法がありますので、出来そうな「教える勉強法」から実践してみて下さいね。
この記事があなたのお役に立てば幸いです。
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