1日で3分の2も忘却?復習の最適なタイミングを示す「間隔反復」

復習のスケジューリング

「エビングハウスの忘却曲線はご存知でしょうか?
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスによって発見されたもので、心理学などに明るくない方でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

これを見て「1日経ったら67%も忘れてしまうのだから、1日ごとに復習しないと!」と考えてしまう人も多いかもしれません。

しかし、当然ながらそれでは復習の手間が多すぎて勉強が間に合いません。

かと言って、期間を開けすぎてしまってはすっかり忘れてしまって復習にならず、最初に勉強したことが無駄になってしまうかもしれません。

では、どのくらいのスパンで復習をしていくべきなのでしょうか。
今回は、復習の最適なタイミングについてご紹介していきます。

エビングハウスの忘却曲線について

忘却曲線

そもそも、エビングハウスの忘却曲線とは、人間の記憶が忘れられていく時間経過を描いたものではありません。
思い出すのに必要な学習時間に関するデータを曲線として表したものです。

ここがよく勘違いされていますがこの曲線は、忘れていく過程を表したデータではなく「思い出すのに必要な復習回数をデータ化したもの」なのです。

つまり、20分後には記憶した58%しか残っていない(=42%を忘れてしまう)ということでは流石になく、20分後にもう一度同じことを完全に思い出そうとした場合に、当初の42%の復習回数で思い出せる(=節約率が58%である)、ということです。

また、エビングハウスは何度も復習を行えば行うほど、完全に思い出すために必要な復習の回数が減っていくことに気が付きます。
つまり、反復すればするほど記憶は定着していくというわけです。

では、具体的にはどのように復習をしていけばよいのでしょうか?

間隔反復

ここでご紹介するのは、復習の頻度についての研究者ピョートル・ウォズニアックによって研究された「間隔反復」というメソッドです。

彼は長年に渡る実験の中で、期間を等間隔に開けた復習などと比較しながら、課題の難易度に対応した変数を導入したりなどしながらアルゴリズムを改良していきました。
彼は、その中で用いた様々なアルゴリズムで、”SuperMemo”というサービスを作り上げています。

最初は学習の翌日、その後は一週間後……など、段々と復習と復習の間隔を伸ばしていくという学習法です。ここには心理学上の「間隔効果」も利用されており、第二言語の語彙の習得など大量の事柄を長期間記憶する必要があるようなケースにおいて、非常に有用な学習方法とされています。

個別的な期間の空け方については、”SuperMemo”などのソフトウェアを利用する必要があるようですが、”SuperMemo” においては一般に、最初の学習から以下のようなスパンで復習をすることを推奨しているようです。

  1. 翌日 or 翌々日
  2. 一週間後
  3. 一ヶ月後

また、学習した内容を忘れておらず、しっかり覚えているその日のうちに復習をしてしまうと、効率が悪く逆に成績が悪くなってしまう、というような研究データもあり、段々と忘れてきた、くらいのタイミングでの復習が必要、という見方もあります。

そのため、毎日復習をして常に忘れないようにする、というのは労力もかかりますし、効果も薄いため非効率的ということになります。

忘却曲線を逆手に取って記憶を自在に操ろう

記憶は何もしなければどんどん忘却されていきます。しかし述べたように闇雲に毎日復習すればよいというわけではありません。

10個程度の英単語であれば比較的簡単に覚えられるでしょうが、例えば大学受験では2,000個以上の単語を覚えなくてはなりません。更に、こうした大量の暗記が必要になる場面は、社会人になるとかなり増えてきます。

時間の捻出が難しい受験生・社会人こそ効率的にサクッと暗記ができるように、勉強法を勉強することや記憶に関して勉強することが重要だと言えるでしょう。

エビングハウスの理論において重要となるのは節約率であるのはもちろん、今回述べたように復習の必要性について述べられている点です。

どれだけ気合を入れて勉強して覚えたとしても人間の記憶は消去されていきますから、復習が必要なのです。
それも何度も、何度もです。
何度必要なのかは個人差がありますが、複数回の復習を経て、ようやく記憶は定着していきます。

その重要性を提唱したのがエビングハウスなのです。

まとめ

忘却曲線をはじめとしたエビングハウスの理論が示すように、記憶の定着のためには復習が必ず必要です。

その復習のタイミングについて、ピョートル・ウォズニアックに研究された「間隔反復」をご紹介しました。

とは言え、往々にして覚えることが多岐にわたる学習において、すべての事柄について、覚えた日と復習のスケジュールを個別に管理するのは難しいでしょうから、模試や過去問など、総合的・広範な問題を学習に利用していくのが良いのではないでしょうか。

(参考)
SuperMemo.com ”The true history of spaced repetition” | https://www.supermemo.com/en/articles/history

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