実はその勉強法はNG!?本当に効率のいい勉強法の4つのポイント

効率性の三角形

あなたが学生でも社会人でも、何かを勉強したい/しなければならない時に、効率的に進めたいのは当たり前ですよね。

効率的でないということは、ムダがあるということです。
その勉強のために費やした、労力・お金・時間など、様々なリソースがムダになってしまうということで、いくら体力や気力に自信があって、金銭的にも余裕がある人でも、等しく時間は有限ですし、仮にそれらすべてが有り余っているとしても、わざわざそれをムダにしたい人はいないでしょう。

では、あなたが勉強する時に行っている勉強法には、本当にムダはないでしょうか?

勉強したはずなのに思い出せない……或いは、勉強した内容自体は覚えているけれど目の前の問題が解けない……そんなことはありませんか?

勉強しても、実際にそのことが試験や仕事などで使えなくては意味がありません。

意味がなければ、折角した勉強が結果的にムダになってしまったと言っても過言ではありません。

ではここで、一般的によく言われる勉強法を取り上げて、それらには本当にムダがないのか、考えていきたいと思います。

勉強はまず暗記?

勉強といえば暗記、というイメージはやはり根強いのではないでしょうか?

もちろん、記憶しないことには勉強は積み上がっていきませんから、記憶することは必ず必要なのですが、ここで言っているのは例えば有名な語呂合わせである「イイクニ(1192)作ろう鎌倉幕府」のようなものです。

もちろん「1192年に鎌倉幕府が成立した」ということをただ覚えたい、という時にはこの語呂合わせによる暗記も意味があるでしょう。
しかし、この例で言えば、鎌倉幕府の成立年には諸説あるとされていて、現在では最も有力で高校の教科書などにおいて記載されるのは1185年です。

そのため、新しい語呂合わせとして「イイハコ(1185)作ろう鎌倉幕府」が生まれることとなったわけです。

……でも、本当にそれでただ年号を暗記すればよいのでしょうか?

何故諸説あるのか

そもそも、何故鎌倉幕府の成立年度について諸説あるのでしょうか?

それは単純に、鎌倉幕府を開いたとされる源頼朝が「幕府の成立」を宣言した、という事実がないからです。

つまり何を以て「鎌倉幕府の成立」とするのかという点に、議論があるからです。

現在、鎌倉幕府の成立については6つの説がある状態です。

  • 1180年に、源頼朝が鎌倉に入り、侍所を設置し、武家政権の実態が形成された時
  • 1183年に、源頼朝が朝廷より、東国の支配を認められた時
  • 1184年に、主たる幕府機構である公文所・問注所が設置された時
  • 1185年に、源氏が平氏を滅ぼし、全国への守護と地頭の設置を朝廷に認めさせ、西国にも源頼朝の支配が及んだ時
  • 1190年に、源頼朝が右近衛大将に任命された時
  • 1192年に、源頼朝が征夷大将軍に任命された時
さて、ではこの時に私達が歴史を勉強する上でするべきことはなんでしょうか?
それぞれの年号に語呂合わせをして、6つの年号をすべて暗記することでしょうか?
それとも、鎌倉幕府の成立をこの内の一つと定義し、その一つの年号を語呂合わせで覚えることでしょうか?

暗記していても役に立つとは限らない

「イイクニ作ろう鎌倉幕府」あるいは「イイハコ作ろう……」でも他の年号でもいいですが、その暗記で正解できる問題のパターンは非常に限られます。
単純に年号を聞く問題、時代・出来事の並べ替え問題、などでしょうか。

つまり、そういった問題が出題されない限りは「イイクニ作ろう鎌倉幕府」を覚えてもムダになってしまうということです。

平成はもう終了!来るべき「令和」時代に主流になる勉強法3選!でも触れましたが、現在進められている教育制度改革において、暗記をすることは重要視されなくなってきています。
反面、記述問題や論理を考える問題・課題が多くなってくるでしょう。

そうでなくとも、ITの発展もあり、私達は何かの情報・知識を入手したいと思った時に、手元のスマートフォン等の端末ですぐに検索し、その情報に触れられる時代にいます。

そんな時代にあって、単純な暗記が求められる機会というのは減ってきていると言えるでしょう。

何を以て「勉強ができる」とするのか

先程の例であれば、そもそも何を以て「幕府の成立」とするのか、1180年〜1192年の流れ、当時の時代背景、などを理解している方が「歴史が分かっている」と言える状態ではないでしょうか?

1192年説については「征夷大将軍」とは幕府の長を示す地位であることを根拠にしていますが、初代「征夷大将軍」である坂上田村麻呂の時代には「幕府」などという概念は存在すらしていないため、本来「征夷大将軍」は幕府の長を意味していないことになり、一方で1185年説については、それ以前に頼朝は東国に守護・地頭を設置していて、この時新たに認められたのは西国だけのことであること、では翻って1180年説はというとこの当時の頼朝の支配域は南関東のみであって、流石にそれでは「政権」と呼べないのでは、という批判もあり、では1183年については……

などと、それぞれについて調べたり考えたりしてみれば、単に鎌倉幕府の成立に関してだけではない、広範で普遍的な日本史の知識を学ぶことができるでしょう。
そして、そもそも「鎌倉幕府は何年に成立したか」という問い自体がナンセンスなものであるということも分かります。

暗記能力と年齢

脳科学的に、人間の単純な暗記能力である「意味記憶」の能力は、年齢とともに低下していきます。一方で、「エピソード記憶」などの複雑な記憶の能力は年齢とともに優位になってゆきます。

かけ算の九九も、最初こそ仕組みや意味を説明はされますが、実際に9×9まで足し算していったり絵を描いたりオハジキを並べて数えたりした人はあまりいないと思います。
これも言ってみれば丸暗記で、それを小学生の早い段階で覚えるのも、まだ意味記憶の能力が優位だからです。

意味記憶のピークは10歳前後ですから、それ以降は暗記に頼った学習方法はどんどん難しくなってくることが分かります。

そこで逆に、複雑な記憶能力が向上していることを利用して、先程のように論理や流れ・物語などを理解することで、年齢的に優位な記憶能力を活かすことが出来ます。

丸暗記は小学生まで!自分の記憶能力を適正に活かすための、理解のすゝめ

テキストはじっくり熟読してマスター?

教科書や参考書の解説文には、もちろん重要な内容がぎっしり詰め込んであるでしょう。
そのため、じっくり読んでその意味を考えながら取りこぼしのないようにしなくては……と思う方もいるでしょうが、これはNGです。

これは勉強法のみならず、試験問題などを解いている時にも活かすことのできる考え方です。

例えば英語でも国語でも、何らかの文章読解問題があった場合に、アタマからその文章をじっくり読んで、よくよく内容を把握してから問題を解く、というやり方はあまり望ましくないとされていることは、多くの方がご存知ではないでしょうか?

読解問題であれば、本文よりも先に問題文を読み、その上でその解答に必要な部分を探し、必要に応じてその前後もさっと読み……といった流れで解いていくのが効率的です。

しかし、テキストについてもその読み方で、果たしてしっかり頭に入るのでしょうか。

熟読しても一回でマスターはできない

まず、何故読解問題において本文をアタマからじっくり読むことがNGなのかと言えば、一つは、そうしたところで本文の内容がしっかり頭に入るわけではないからです。

例えば、そうやった後に問題文を読んだ時に、瞬時に「答えはさっき読んだあそこに書いてあることだな」と分かるケースは、問題の難易度が低いか、文章が短いか、たまたま本文の後ろの方に答えがあるか、など限られてきます。
或いは、本当に一度読んだだけで内容を完全に理解し、記憶していれば別ですが、それができる方はごく一部でしょう……。

そのため、もう一度答えを探して本文を読むことになり、一度目に読んだことが完全にムダになるとまでは言いませんが、二度手間になる部分は確実に出てしまうでしょう。

それよりは、先に問題文を読んでおけば、何を聞かれるかが分かった状態で読むため、解答に必要な部分に注目して読むことができます。
その分、時間の節約をすることができます。

速く読んだ方が流れが分かりやすい

しかし、読解問題で言えば、最後の方の問題で文章全体の要旨や結論を聞かれることがあり、各問題の答えばかり探していたら文章全体を通読していないから答えられないのでは?という弱点があるようにも思われます。

これに関してはむしろ逆で、アタマからじっくりと熟読していると時間がかかり、文章全体の流れが分かりにくくなります。

これが教科書や参考書に関してもじっくり熟読すべきではない一つの理由で、流れが分かりにくいと、先述のような、年齢を重ねたことによって優位になってきた記憶力を活かすことができません。

じっくり読んでいると時間がかかるため、文章のあとの方に進むに連れて最初の方の内容が頭から抜けていってしまいます。そうなってくると、流れを理解することは難しくなっていきます。

そしてもちろん「時間がかかる」ということ自体も問題です。時間はかからないに越したことはありません。

「速読」なんて可能なの?

確かに、世の中に「速読術」と呼ばれるものは多く存在しますし、時に超人的なスピードで本を読む人も中にはいますが、本当に理解できているのか、と怪しく思っている方もいるかとは思いますし、仮にできているとしても、そんな技術が自分にも使えるのか、と思う方も多いでしょう。

ただ、ここでは「速読術」を強く推すことはしません。が、「速読術」のレベルでなくとも気軽に「飛ばし読み」をすることはおすすめします。

新聞、雑誌や漫画などを読む時にするような「飛ばし読み」を連想してもらえれば結構です。
単語やフレーズごとに視点をスキップさせたり、興味のあることや気になる部分だけを読むような、読み方です。

しかし、それでは読むことが雑になってしまって、頭に入らないのではないか、理解がついてこないのでは、というのは当然の疑問でしょう。

飛ばし読みで理解できるの?

飛ばし読みでは、一文一文に止まって読まない分スピードは上がりますが、やはり一回読んだときの理解度は少し低いものになることは避けられないでしょう。

ではどうすべきなのかと言えば、もう一度読み返せば良いのです。一度読むのに時間がかからない分、何度も何度も読み返すことができます。

さらに、飛ばし読みとは言え、一度読んだ文章であれば、二回目に読む時にはかかる時間はもっと短くなります。三回目であればなおさらです。これを利用すれば一つの文章を何周も何周もすることができます。

勉強の基本は反復ですから、素早く何周もできることはとても有用です。

学習スピードを高める速読とその方法

参考書をたくさん揃えて知識を網羅?

さて、では「流し読み」或いは「速読」を用いて、文章を読むスピードを向上させたとして、その分多くの文章を読めるようになったわけですから、参考書も人気・有名なものをたくさん揃えて目を通していけば、知識を網羅できて良いと考えるかもしれません。

しかし、それはNGです。参考書の冊数は可能な限り少ないほうが良いのです。

知識が足りなくならないか?

例えば、参考書を一冊だけにした時に、それによって買わないことになった参考書に記載されている知識については触れることができなくなりますから、当然インプットできる知識が減ってしまって、足りなくなってしまうのではないか、という懸念もあるかもしれません。

しかし、実際は逆です。

新たに参考書を買うことによって、当然読まなければならない文章の量は増えます。二冊買えば単純計算で二倍、三冊買えば三倍です。

ではインプットできる知識も二倍、三倍になるでしょうか?

恐らく、そうはならないでしょう。同じジャンル・分野の参考書を何冊も買っても、主要な部分については全く同じとまで言わずとも同様の内容が書いてあるでしょうし、そうでない部分に関しても違う角度から書いてあったり、違う表現を使ったりしているだけかもしれません。

いくら速く読めるとしても、文章量が増えていることは間違いがないのですから、かかる時間・労力は確実に増えるのに、知識量は同じ割合で増えるわけではない、ということになり、確実に非効率と言えるでしょう。

記憶の定着・検索性にもマイナス

もちろん、一冊だけで一面的な捉え方でいいのか、という考えもあるでしょうが、逆に、同じ事柄について様々な書き方で書いてあるのを目にしてしまうと、記憶に残りづらくなりますし、混乱を招きます。

当然ながら、その同じ事柄について違う表現で書いてあるのを、そのまま記憶するのでは労力・負担だけ倍になってしまうわけですからNGです。

加えて、読んだ中で何か特定の事柄についてもう一度確認したいという時に、その内容を探す時にも余計な労力がかかることになるでしょう。データベースはなるべく一元化するべきです。

問題集も同様

また、このことは問題集に関しても言えます。

何冊も何冊も買えば、それだけ様々なパターンの出題に対応できるようになるかと言うと、確かにそこに一理はあるのですが、二冊目を買う時に一冊目の問題をすべて解けるようになっていることが条件です。
(これは勿論、単に「その問題集を一周した」ということではありません)

難易度の問題はありますから、極めて簡単なレベルの問題集一冊を何周もしたところで、それで東大に入れるかと言うと難しいかもしれません。
(とは言え、初級・基礎的な内容であっても、それが本当に深く理解できていて腑に落ちているならば、応用や発展もできる可能性は十分ありますが)

が、基本的には一冊を何周もすることによって、その内容を確実に頭に入れるということが重要です。
その内容が完璧になって、それでもやはり別のものも必要、という場合にのみ、二冊目に手を出しましょう。

忘れないように頻繁に復習?

忘却曲線

上図は有名な「エビングハウスの忘却曲線」です。

これを見て「1日経ったら67%も忘れてしまうのだから、1日ごとに復習しないと!」と考えてしまう人も多いかもしれません。

しかし、当然ながらそれでは復習の手間が多すぎて勉強が間に合いません。

かと言って、期間を空けすぎてしまってはすっかり忘れてしまって復習にならず、最初に勉強したことが無駄になってしまうかもしれません。

では、どのくらいのスパンで復習をしていくべきなのでしょうか。

間隔反復

ここでご紹介するのは、復習の頻度についての研究者ピョートル・ウォズニアックによって研究された「間隔反復」というメソッドです。

彼は長年に渡る実験の中で、期間を等間隔に開けた復習などと比較しながら、課題の難易度に対応した変数を導入したりなどしながらアルゴリズムを改良していきました。
彼は、その中で用いた様々なアルゴリズムで、”SuperMemo”というサービスを作り上げています。

最初は学習の翌日、その後は一週間後……など、段々と復習と復習の間隔を伸ばしていくという学習法です。ここには心理学上の「間隔効果」も利用されており、第二言語の語彙の習得など大量の事柄を長期間記憶する必要があるようなケースにおいて、非常に有用な学習方法とされています。

個別的な期間の空け方については、”SuperMemo”などのソフトウェアを利用する必要があるようですが、”SuperMemo” においては一般に、最初の学習から以下のようなスパンで復習をすることを推奨しているようです。

  1. 翌日 or 翌々日
  2. 一週間後
  3. 一ヶ月後

また、学習した内容を忘れておらず、しっかり覚えているその日のうちに復習をしてしまうと、逆に成績が悪くなってしまう、というような研究データもあり、段々と忘れてきた、くらいのタイミングでの復習が必要、という見方もあります。

そのため、毎日復習をして常に忘れないようにする、というのは労力もかかりますし、効果も薄いため非効率的ということになります。

一日経ったら三分の二も忘れている?復習の最適なタイミングを示す「間隔反復」とは?

まとめ

いかがでしたか?

今回の記事のまとめは以下のポイントとなります。

ポイント
  1. 「勉強はまず暗記」はNG!
    →論理や流れを理解してしっかりと覚えよう!
  2. 「テキストはじっくり熟読」はNG!
    →飛ばし読みで何周もして記憶を定着させよう!
  3. 「参考書はいっぱい揃えて知識を網羅」はNG!
    →参考書・問題集の購入は最小限にして、それぞれを反復してマスターしよう!
  4. 「忘れないように毎日復習」はNG!
    →「間隔反復」の原理を利用して、段々と期間を伸ばして復習しよう!

みなさんがより効率的に勉強を進め、有意義な時間を過ごされることを願っております!

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