意外と知らない「ラインマーカー」の使い方

ラインマーカー

勉強するとき、ペンケースの中にラインマーカーを入れている人は多いのではないでしょうか。
中には何色ものラインマーカーを揃えている人もいるかもしれません。

しかしラインマーカーを上手に使うのはなかなか難しいのではないでしょうか。

「教科書のほとんどの箇所にラインマーカーを引いてしまった」

「ラインを引いて勉強している気になっていたが、結局は参考書を塗り絵していただけ」

という苦い経験を持つ人必見の「効果的なラインマーカーの使い方」を見てみましょう。

ラインマーカーの役割は「復習時間を節約すること」

ラインマーカーの役割は、「重要な個所を目立たせること」ですが、もっと本質的なことを言えば「復習時間を節約すること」です。

試験勉強のためには、教科書や参考書を何度も読んで試験に出そうなところを覚える必要があります。しかし、限られた勉強時間の中で、教科書や参考書の試験範囲を何度も読むことはかなり厳しいはずです。効率よく勉強をするためには、試験範囲の取捨選択、つまり「何度も読む部分」と「読み飛ばしてもいい部分」を分けることが必要になってきます。

ラインマーカーが使われるのはまさにこの時です。捨てるべき部分はマークせず、何度も読むべき部分をマークする――「ラインが引いてある部分を読んだだけで効率よく試験範囲の知識がつく」ことを目指してマークしていきましょう。

しかし、読むべき部分を目立たせただけで勉強は終わりではありません。目立たせた部分を何度も復習して初めてラインを引いた意味が生きてくるのです。

ラインを引く部分はできるだけ少なくなるようにしよう

ラインを引く目的が「学習時間の節約」だとすると、「教科書のほとんどにラインを引いてしまう」という行為が目的とは真逆のものであることが分かっていただけると思います(むしろ、ラインを引く手間がかかる分、学習時間を無駄にしているといってよいでしょう)。

そうはいっても「すべての部分が重要に見えて、ラインを引く場所が分からない」という人は、まずラインを引く回数を制限してみてください。まず、教科書1ページにラインを引けるのは3回までとルールを決めてラインを引いてみます。
重要な個所を自分で見分ける訓練になるはずです。

その後ラインを引いた部分だけを復習します。勉強時間が余ったら、もう少しラインを増やしても(復習する場所を増やしても)大丈夫です。

ラインマーカーの種類は1色~2色で十分

ラインマーカーをたくさん使い分けるのは時間がもったいない

綺麗な色のラインマーカーを文房具屋さんで見ていると、ついつい欲しくなってしまいますよね。しかし、たくさんのラインマーカーを使い分けるのはなかなか手間がかかります。

例えば色を分ける際「赤は重要語句、青は先生がテストに出るといったところ、黄色はこの前テストで間違えたところ」などとすると、ルールが煩雑すぎて使い分けが難しくなってしまいます。複数のラインマーカーをペンケースから取り出したりしまったりするのも面倒です。

さらに問題なのは、綺麗なラインマーカーで教科書を塗り分けていると内容が頭に入っていなくても「さも勉強したような気分」になってしまうことです。

ラインマーカーを引く目的は、あくまでマーク後の「効率よい復習のため」です。ラインを引いた場所さえわかれば、見た目はどうでもよいのです。ラインマーカーは1色でも十分です。目的と手段を混同しないように注意しましょう。

ラインマーカーを2色使うなら

ラインマーカーは1色でも十分役割を果たしますが、もし2色使うなら、以下のような使い方がお勧めです。

1色目は文章に引く

1色目は文章に引きます。記述式のテストで問われそうな部分や、重要語句の説明などに線を引いていきます。

ただし文章の頭から句点まで引く必要はありません。ラインを引く場所はできるだけ少なくしたいのですから、文章の途中から引いても大丈夫です。教科書では重要語句は太字になっていることが多いと思いますが、語句だけ読んでも意味が分かりづらいことがあります。重要語句周辺の文章も一緒にマークすることで、意味を把握しやすくなるのです。

2色目は語句に引く

2色目は重要語句に引きます。初めて聞く言葉、印象的な言葉など太字以外の部分も気になるところはマークしましょう。

学習の段階によって1色目を見るか、2色目を見るか決める

テストまで時間の余裕がある場合は、文章に引いた1色目のライン部分を復習します。

テスト前の休み時間など時間がない場合は2色目の語句部分を見返して、頭の中を整理します。

色によって読まなければならない量が変わるので、学習時間に合わせた調整ができます。

へえ!と思ったところにはマークしておこう

暗記や記憶に「人の感情」は重要です。
つまらないと思った授業は昨日のことでも全く覚えていないのに、感動した映画のストーリーは数年たっても思い出せる、そんなことはありませんか。これと同じことをラインマーカーでも再現してみましょう。

例えば普通は暗記の必要がないたとえ話や余談などはラインマーカーを引く必要がありませんが、「この例えがあるから分かりやすくなった」「この部分のおかげで面白く感じた」というような自分の心が動いた場所にはラインを引いておきましょう。

その科目、その単元を思い出すときの手がかりになってくれることがあります。

実践 ラインマーカーを引いてみよう

では実際にラインマーカーの引き方を実践してみましょう。以下はWikipedia「徳川吉宗」の記事の概略部分です。どこにラインマーカーを引いたら復習するとき分かりやすくなるでしょう?

徳川 吉宗(とくがわ よしむね)は、江戸幕府第8代将軍。将軍就任以前は越前国葛野藩主、紀州藩第5代藩主を務めた。

徳川御三家の紀州藩第2代藩主・徳川光貞の四男として生まれる。初代将軍・徳川家康の曾孫に当たる。父と2人の兄の死後、紀州藩主を継ぎ藩財政の再建に努め、成果を挙げた。第7代将軍・徳川家継の死により秀忠の男系子孫である徳川将軍家の血脈が途絶えると、6代将軍家宣の正室・天英院の指名により御三家出身では初の養子として宗家を相続し、江戸幕府の第8代将軍に就任した。紀州藩主時代の藩政を幕政に反映させ、将軍家宣時代の正徳の治を改める幕政改革を実施。幕府権力の再興に務め、増税と質素倹約による幕政改革、新田開発など公共政策、公事方御定書の制定、市民の意見を取り入れるための目安箱の設置などの享保の改革を実行した。徳川家重に将軍の座を譲った後も大御所として権力を維持し、財政に直結する米相場を中心に改革を続行していたことから米将軍(八十八将軍)と呼ばれた。

この幕府改革で破綻しかけていた財政の復興などをしたことから中興の祖と呼ばれる。年貢率を引き上げるなど農民を苦しめた上で成り立った改革だったため、百姓一揆の頻発を招いた。また、庶民にも倹約を強いたため、景気は悪化し、文化は停滞した。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E5%B7%9D%E5%90%89%E5%AE%97

考えていただけたでしょうか。筆者がもしラインを引くとしたら次のように引きます(文字色を変えたところに引く想定です)。

徳川 吉宗(とくがわ よしむね)は、江戸幕府第8代将軍。将軍就任以前は越前国葛野藩主、紀州藩第5代藩主を務めた。

徳川御三家の紀州藩第2代藩主・徳川光貞の四男として生まれる。初代将軍・徳川家康の曾孫に当たる。父と2人の兄の死後、紀州藩主を継ぎ藩財政の再建に努め、成果を挙げた。第7代将軍・徳川家継の死により秀忠の男系子孫である徳川将軍家の血脈が途絶えると、6代将軍家宣の正室・天英院の指名により御三家出身では初の養子として宗家を相続し、江戸幕府の第8代将軍に就任した。紀州藩主時代の藩政を幕政に反映させ、将軍家宣時代の正徳の治を改める幕政改革を実施。幕府権力の再興に務め、増税と質素倹約による幕政改革、新田開発など公共政策、公事方御定書の制定、市民の意見を取り入れるための目安箱の設置などの享保の改革を実行した。徳川家重に将軍の座を譲った後も大御所として権力を維持し、財政に直結する米相場を中心に改革を続行していたことから米将軍(八十八将軍)と呼ばれた

この幕府改革で破綻しかけていた財政の復興などをしたことから中興の祖と呼ばれる年貢率を引き上げるなど農民を苦しめた上で成り立った改革だったため、百姓一揆の頻発を招いた。また、庶民にも倹約を強いたため、景気は悪化し、文化は停滞した

ラインを引いた部分だけ読めば、吉宗の全体像がある程度分かりますね。さらに、テスト前など時間がない時は青い部分(用語)の部分だけを読むことで、「徳川吉宗」についてのキーワードを拾えるはずです。

「御三家出身では初の養子として宗家を相続し」の箇所は重要部分(いわいるテストに出そうなところ)ではないかもしれませんが、筆者自身が「へえ!そうなんだ」と印象に残った部分なのでラインを引いています。心が動いた箇所をマークしておくことで、「徳川吉宗」全体のイメージを強く印象付けてくれるのです。

ラインの引き方は自分が既に持っている知識や気になるポイントによって個人差が出てくるので、今示した引き方が絶対的に正しいわけではありませんが、今後ラインマーカーを使う際に参考にしていただければ幸いです。

勉強効率化の強い味方にラインマーカーを

ただ「先生がテストに出るといったところ」を受動的にマークしていくだけでは、気持ちの入らない線が教科書に増えるだけです。
「ここにラインを引けば後で復習しやすくなるだろう」と自分で考え、能動的に線を引いてこそ、ラインマーカーは真価を発揮します。

どこにラインを引くか、いかにラインの数を少なくするか、どの部分が自分にとって重要か、さまざまな思考とともに線を引くことで勉強への集中力もぐっと高まります。ラインマーカーを使いこなして、勉強の効率化を図りましょう。

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