【図書館活用の裏技】レファレンスサービスとその活用方法とは?

図書館

レポート課題の書き方が分からない、資格の勉強で役立つ本が知りたい、勉強中に分からないところが出てきた……。

誰かに学習上の相談をしたいときって結構ありますよね。

学生の間は先生に聞くこともできますが、社会人になってからはなかなか相談相手が見つからないということも。
そんなときに、思い出してほしいサービスがあります。それが、図書館のレファレンスサービスです。

レファレンスサービスとは?

図書館は本の貸し出しをするだけの場所ではありません。

図書館に来る人の中には娯楽で小説を借りたいという人
学習のための参考書を探している人
研究や調査の為の裏付け資料を探している人

こうした、本を探す人たちのサポートをするのが図書館の役割なのです。

自分で本棚を探すのが一般的ではありますが、それだけでは目的の本にたどり着けないという利用者も多いでしょうし、
何より時間がかかってしまうと仕事や勉強に割ける時間も減ってしまいます

そんなときに利用できるのがレファレンスサービスです。

レファレンスサービスというのは図書館用語なので、あまり馴染みが単語かと思います。
簡単に説明すると「図書館職員に、求める情報やその情報について書かれた本を利用者に代わって探してもらうサービス」のことです。

つまり図書館職員の業務には、読書相談図書館カウンセラーの役割が含まれているのです。

このレファレンスサービスを上手に利用すれば、自分で探すよりずっと早く、学習に役立つ適切な資料にたどり着けるというわけです。

実はレファレンスサービスの業務内容はかなり幅広いです。
以下のようなものはすべてレファレンスサービスといえます。

  • 相談に対して、図書館職員が図書館資料の中から答えを見つけ、答えを教えてくれる
  • 相談に対して、答えが書かれている文献の紹介をしてくれる
  • その図書館にない資料を別の図書館から取り寄せたり、コピーしてくれる
  • データベースの提供をしてくれる
  • 法律相談、医療相談、職業訓練などの専門機関を紹介してくれる

相談の例としては、
「小学校での読み聞かせに向いている本が読みたい」
「昆虫食についての知識を身に着けるためにはどんな本を読めばよいか」
など、難しい読書相談でも相談に乗ってもらえます。

繰り返しますが、これらはすべて図書館のサービスに含まれているのです。

レファレンスサービスの利用例

では具体的にどんなレファレンスサービスが行われているかをネット上で体験してみましょう。

国立国会図書館では全国の図書館と連携してレファレンス事例や調べ方マニュアルを集約した「レファレンス協同データベース」事業を展開しています。

このデータベースは普通のパソコンからもアクセスできます。
参考 レファレンス協同データベース

このデータベースを見れば、どのような事例でレファレンスサービスが利用されているのかを体験することができるのです。

例えば、以下のような質問に対する回答が載っています。

2次以上の方程式をExcelを使って解く方法を知りたい。

引用元:https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000057881

カルダノの公式・フェラーリの公式が書かれている本はないか。

引用元:https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000203972

香川県職員採用試験の過去の問題を見たい。

引用元:https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000057042

大学入試の小論文の書き方の参考になる資料はあるか?

引用元:https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000031123

レファレンスサービス勉強活用事例

学習に役立つ資料を探してもらう

「○○の学習に役立つ資料を紹介してほしい」と頼んで、参考書を図書館で探してもらいます。
ただ「国語の勉強に役立つ本」と相談するよりも、「国語の文法」「古典の勉強」など、ある程度範囲を絞り込んで聞いた方が必要としている資料に出会える確率が高まるでしょう。

ただし、図書館においてある資料の中には古いものもあるので、
現在の教育課程や試験範囲と合わない場合があります。なるべく新しいものを紹介してもらいましょう。

学習上で分からない事柄を調べてもらう

レファレンスサービスでは資料を紹介してもらう以外にも、回答そのものを教えてもらえる場合もあります。レファレンス協同データベースにはつぎのような事例が紹介されています。

初夢とはいつみる夢の事か。

初夢をいつ見る夢とするかは一様ではありません。室町以降、京阪地方では節分から立春の明け方の夢をいったのに対し、江戸では古くは大晦日の夢を指したようです。一方、年越しの夜は寝ない習慣があることから、天明頃より元日から2日の朝の夢となり、その後、2日の夜に見る夢を初夢とするのが一般的になってきたといいます。さまざまな事柄をはじめる「事始め」の日として、2日の夜に見る夢を初夢とするようになった、という説もあります。

引用:https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000013905

とはいえ、宿題の答えを教えてもらい、丸写しにするような使い方はできません。レファレンスサービスの理想は情報提供を行ったうえで、「利用者が後で自力で答えを得られるための手段を教えること」です。どのような資料から答えを見つけてくれたのかもちゃんと頭に入れて、今後に役立てましょう。

試験対策について相談する

高卒消防士の試験を受けるため、具体的な試験問題や、試験・面接のコツなどが知りたい。

引用:https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000194364

レファレンス協同データベースの上記質問の回答には、実際に公務員試験を受験した利用者の声を参考にしたうえで、適切と思われる過去問集や予想問題集を紹介している図書館職員の真摯な姿勢が伺えます。予備校や塾に通っていない人にとって、このように試験について相談できるところがあるというのは大変ありがたいことです。

過去問を探してもらう

試験の過去問が地元の図書館に置いていない、あったとしても古くて使えないという場合がありあります。そんな時はレファレンスサービスを利用して、別のアクセス方法がないか調べてみましょう。相互貸借という形で別の図書館から借りてもらえたり、インターネット上のサイトを紹介してくれることもあります。

レポートの根拠を探してもらう

大学では課題としてレポートの提出を求められることが多いです。特に社会人が資格取得のため通信制大学で単位を取ろうとする場合、レポート課題は非常に難関です。大学図書館が近くにないので、地元の図書館を利用して資料を集めをしなくてはなりません。しかし、専門図書が少ない地元の図書館ではレポートに役立つ資料がなかなか手に入りにくいのが現状です。

そんな時はレファレンスサービスを利用して、レポートに役立つ参考図書や、自分の主張を裏付ける根拠となる資料を取り寄せてもらいましょう。地元の大学図書館から資料を取り寄せてくれることもありますよ。

※通信制大学の場合、郵送という形で大学図書館の本を貸し出してもらえることがあります。利用できないか大学図書館の規約を見てみましょう。

図書館を味方につけよう

図書館には生涯学習を支えるという役割があります。図書館を味方に着ければあなたの学習も孤独ではありません。必要な情報を得るためにはもちろん、ときには学習上の気軽な相談相手として図書館のサービスを使ってみてはいかがでしょうか。

(参考文献)
毛利和弘『情報サービス論』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です