憧れのフランス語、英語との違いと勉強法

フランス語

シャンソンやフランス映画を鑑賞すると「フランス語って素敵!」という気分になりますね。響きの美しいフランス語ですが、実は英語より少し難易度が高めな外国語です。フランス語と英語の違いや、フランス語の勉強方法についてご紹介します。

フランス語と英語の違い

男性名詞と女性名詞があり、冠詞も変化

フランス語の名詞には「性」があります。つまり名詞が「男」「女」の2つに分かれているということです。英語の勉強をしてきた人からすると、「性ってなに?」となりますよね。

例えば、filleは娘という単語で女性名詞、filsは息子という単語で男性名詞です。これはそれぞれの言葉自体に男女の別があるのでわかりやすいですね。

しかし海という単語merは女性名詞で、soleilは太陽という単語で男性名詞だといわれたら、どうでしょう。どうして海が女性で太陽が男性なのか戸惑ってしまいますが、ここは特に考えず丸暗記するしかありません。このようになぜこの単語が男性名詞なのかあるいは女性名詞なのか、わからない例はたくさんあります。

また、同じ意味を持つ単語でも指し示すものが男性か女性かで形を変える場合もあります。
「日本人」というフランス語を見てみましょう。日本人はJaponais(ジャポネ)という単語で表されます。ただしこれは男性日本人を表す場合です。女性の場合はJaponase(ジャポネ―ズ)となります(男性名詞にeをつけると女性名詞になるものが多いです)。
英語には単語が複数形になる場合はsをつけるという規則がありました。一方のフランス語は名詞が複数形になった時の変化に加え、指し示すものの性別が変わった時の変化についても知識が必要になるのです。

では何のために名詞の性を覚える必要があるのでしょうか。それは名詞の前に来る形容詞や冠詞が名詞の性によって変化するからです。

例えば、次の2文を比べてみましょう。

私には大きな息子がいます。J’ai un grand fils.    ※j’ai=私は持っている

私には大きな娘がいます。J’ai une grande fille.

冠詞がunからune、形容詞がgrandからgrandeに変わったのが分かるでしょうか。

英語でa,theの使い訳に混乱した人は多いはずですが、それに加えて名詞の性に対応し冠詞や形容詞を変化させる必要があるフランス語はやはり難易度が高いといえるかと思います。

時制が分かりづらい

英語で時制と言えば、現在形、過去形、未来形、完了形などですね。完了形は日本語にはなじみの薄い言い回しで、難しく感じてしまいます。

しかしフランス語の場合、時制の分け方がもっと面倒です。例えば、フランス語は過去形だけで

・複合過去(英語の過去形に近い)

・半過去(過去の習慣や状況などを表す)

・大過去(過去の完了行為を表す)

・単純過去(現在とつながりのない過去の行為)

の4種類があり、名前も使用方法もややこしいです。

動詞の変化が90通り

英語と同じく、フランス語の動詞は時制によって変化します。さらに変化するのは時制がらみだけではありません。主語の人称によっても動詞が変わってしまうのです。

フランス語の代名詞は以下6種類があります。

・Je(私)

・tu(あなた)

・il/elle(彼/彼女)

・nous(私たち)

・vous(あなたたち)

・ils/elles(彼ら/彼女ら)

この6種類に合わせて、動詞も変化します。avoirというのは英語で言うところのhaveですが、この動詞の変化を見てみましょう。

・je ai→(短縮して)j’ai

・tu as

・il a

・nous avons

・vous avez

・ils ont

avoirは非常に変化が激しい動詞なので、原形がほとんどなくなってしまっていますね。この人称による変化に加え、時制の変化、直接法、条件法、接続法による活用を考えると、結局90通り(分類の仕方によってはそれ以上)の動詞変化をすることになってしまいます。

代名詞の変化で大混乱

フランス語において、3人称の代名詞は代名詞が直接目的語と間接目的語のどちらに現れるかによって形が変わってしまいます。

さらに目的語が代名詞を取る場合、目的語は動詞の前に飛び出してしまうというルールがあります。以下の文では目的語の位置(お菓子をあげる人の位置)が変わってしまっていることが分かるかと思います。

Je(私は) donnerai(あげる) des bonbons(お菓子を) à Henri(アンリに).

Je(私は) lui(彼に) donne (あげる)des bonbons(お菓子を).

またilの直接目的語はleという形です。leは男性名詞の冠詞と同じ形をしているので、「ilの直接目的語変化か、冠詞のleなのか?」など混乱を招く一因ともなります。

フランス語の勉強法

日常会話から始める

これまで、フランス語が英語に比べてややこしい点が多々あることを見てきました。このややこしさの原因はフランス語文法にあると思われます。それならフランス語の入門は、あまり文法を気にせずにすむ日常会話から始めるのが正解です。

日常会話の勉強であれば、登場する人物は「あなた」と「私」が中心で、しゃべる内容も「現在のこと」が多くなります。複雑な時制・人称については深く考えず、フランス語の響きを楽しみながら、基本的な会話についてまずは身に着けていきましょう。

友達との挨拶やホテルのフロントでの会話はイメージがわきやすく、覚えておけばちょっとした海外旅行にも使えます。

NHKの語学番組は日常会話からフランス語に親しむことができるので、お勧めです。

完璧を捨てる

フランス語の文法は非常にややこしいものですが、すべてを完璧にこなそうとすることは止めてください。フランス語が大嫌いになってしまいます。そもそもすべての動詞の活用を覚えるなんてことは、フランス人でも難しいのです。よく使う動詞や活用形に絞って暗記をしていきましょう。

動詞の活用を覚えるときは、声に出して繰り返しいろいろな単語に応用が利く末尾er系動詞から覚えていくとよいですよ。

フランス語の絵本を読む

フランス語の単語をある程度覚えてきたら、教科書の文章から離れて生のフランス語に触れてみましょう。とはいえ、いきなりフランス語の小説を読むのは敷居が高いので、まずは絵本から読んでみるとよいでしょう。

フランス語の絵本は日本の書店ではなかなか手に入りにくいですが、洋書を専門に扱っているネットショップなら購入することができます。Amazonでも購入可能です。

お勧めは「リサとガスパール」シリーズです。とぼけた白黒の生き物リサとガスパールは日本でも大人気のキャラクターですよね。この絵本、原書はフランス語で書かれています。英語版も出回っていますので、購入の際はフランス語版と間違えないようにしましょう。

フランス語の歌を聴く

フランス語の歌は非常に響きが美しく、聞きごたえがあります。フランス語の歌を繰り返し聞いて、発音を確認してみましょう。語学学習はやはり楽しくなければ続きません。お気に入りの一曲を見つけ、勉強と肩をはらずに聞き続けてみてください。

柔軟な姿勢でフランス語を学ぼう

フランス語は各単語の変化が非常に複雑で、きちんと勉強しようとすればするほどしんどさを感じてしまう外国語です。しかし、私たちは子どものころ文法的な知識を正しく理解しながら日本語を覚えたでしょうか?きっと沢山の文法上の間違いをしながら、自然と日本語を学んできたはずです。完璧を目指さず柔軟な姿勢で楽しく勉強することが、フランス語学習継続への近道です。

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