円周率10万桁暗記!?記憶の達人たちも活用する「物語法」とは?

物語

突然ですが、みなさんは暗記が好きですか?

恐らく、あまり暗記が好きという人は多くないのではないでしょうか。
わざわざ何かを覚える作業は苦痛で、できることならばやりたくはない……というのが普通の感覚であるような気がします。

しかし、一方で自分の好きなことや興味のあることであれば覚えられたり、或いは覚えようとしなくても自然と覚えていたり、ということは誰しもよくあることだと思います。

勉強においてもその記憶力が使えれば、苦もなく暗記ができて目標を達成するのがぐっと楽になるでしょう。

今回はそんなことを可能にする「物語法」についてご説明します。

記憶の種類について

記憶には大きく分けて短期記憶長期記憶の2種類があります。

短期記憶は、研究によっても数字は異なりますが、秒単位の短い期間しか保持されない記憶とされており、その容量も小さく限られたものです。
短期記憶はその後、脳内の海馬と呼ばれている部分に送られます。

短期記憶は海馬に送られてから、その内容の中でとりわけ印象が強いものや何度もインプット・アウトプットを繰り返した知識については大脳へ移され、長期記憶として保持され、思い出そうとすれば思い出せる状態となります。

好きなものや興味のあることに関しては、この期間の間に海馬によって「必要な知識である」と判断されて、長期記憶として大脳に蓄えられる状態になっているものと思われます。

学業について考えると、成績の上位者ほど普段から短期記憶に頼り過ぎることなく、何度も知識の出し入れを繰り返すことで、学んだことを大脳に蓄えて長期記憶にしていることが伺えます。

物語法

物語法においては、勉強をする際に単純に覚えようとすることはせずに、その知識に意味を持たせて物語仕立てにすることで他の知識と関連付けて記憶しやすくさせます。
そのことによって、記憶する内容の印象を強め、長期記憶として保存されやすくするというわけです。

例えば記憶を競う世界大会では、無秩序に出て来る動物の絵柄を順番に記憶をするという競技があります。

猫や犬、猿や鳥が様々な順番でできるのですが、これらを順番通りに記憶してゆき、どれだけ覚えられるのかを競います。

この時、出場選手は単に絵柄を覚えるのではなく、その絵柄に物語性を持たせて覚えています。

例えば、猫が犬に追いかけられていた所、猿に出会った拍子に近くにいた鳥が飛び去った、というような物語を考えているのです。

このように、力技で記憶するのではなく、物語性を伴いながら他に記憶したものと関連付けられると、少ない労力で多くのことを記憶できるようになります。

イメージを利用して記憶する

ただその意味で覚えるのではなく、イメージを利用する。

これには普段より特別な想像力が必要になります。
普段と違う脳の動きに最初はすぐ疲れてしまったり、あらぬ方向に思考がそれてしまったりするかもしれません。

慣れてくると想像の世界が広がってくる上に、勉強した事が記憶に残って楽しく覚えられるのですが、最初はどうしても苦労するかもしれません。

それに、記憶の世界大会に出ようという方もあまりいないでしょうから、もっと身近な、日常で覚えたいことを覚えるために物語法を活用してみたいものです。

例えば英単語のような簡単なものから取り入れてトレーニングしてみて、色々なものに応用していくのも一つの手です。単語単体で暗記するのではなく主語や述語も含んだ一つの文を作成して、その風景を頭に思い浮かべてみるのです。

例えば、approach (=近づく、接近する)を覚えるために

Someone was approaching from behind.
(誰かが後ろから近づいてきた)

といった文章を作成、頭の中あるいはまっさらな紙に「見るからに怪しい男が後ろから近づいてくる光景」を描いて見ましょう。最後に描いたイメージの中に、覚えたい単語を配置しましょう。怪しい男と自分の間に“He was approaching…”と書いてみるとか、自分に“What is approaching…??”と言わせてみるとか、自分なりにやりやすい方法で試してみると良いと思います。

イメージから物語を作ってみる

右脳を利用して記憶に残りやすい暗記ができてもこれに満足してはなりません。覚えたことを長期記憶にとどめるためには繰り返し思い出す必要があります。

ここで、先にご紹介した物語法を取り入れてみましょう。

先程の例「Someone was approaching from behind.」に適用してみましょう。

Someone was approaching from behind.
(誰かが後ろから近づいてきた)
I felt so scared that I run away.
(私は怖かったので逃げた)
Then there was a ramen shop that looked nice, so I entered breathlessly.
(逃げた先に美味しそうなラーメン屋があったので、息を切らしながら入店した)

といったストーリーを作っておきます。そして、次に覚えたいことが出てきたときに、そのストーリーを再開するようにしていきます。

覚える項目を追加する時は

さて、今度は nevertheless (=にもかかわらず、それでも)を覚えてみましょう。「ラーメン屋に入店するシーン」からスタートしましょう。
nevertheless は 逆説なので、本来の目的と結果が異なったような状況を思い浮かべたい場面です。

では実際にイメージしてみましょう。

 

・  ・  ・  ・

 

いかがでしょうか、おそらくあなたは「nevertheless」を使った状況を描写するために、「approach」の描写から再生する必要があったのではないでしょうか?
今回の例だと、前の場面からの一連のストーリーとして描いた場合、

The shop looked so nice that I entered.
(美味しそうなので入店した)
Nevertheless, it didn’t taste good.
(けれども、あまり美味しくなかった)
The shop looked so nice that I entered.
(美味しそうなので入店した)
Nevertheless, feeling a sign of a suspicious man, I decided to get out and hurry along home instead of eating ramen.
(けれども、怪しい男の気配がしたので、すぐ店を出てラーメンより帰宅を急ぐことにした)

など、主人公の心情的に正しい形で時系列をつなぐには前のストーリーをよく思い出す必要があります。 その思い出す行為が、 “approach”の記憶をより強固にして行くのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

記憶力の世界大会に参加するような人々も利用する、物語法についてご紹介しました。

ちなみに、これは円周率のような単なる数字の羅列を覚える時にも利用可能で、円周率を10万ケタ暗唱していると言われる原口證氏も、数字の中に物語を見出すことによって暗記しているといいます。

つまり、やり方は自分次第なので、様々なことに物語法を活用し、楽しく暗記をしていきましょう!

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