大学受験を少しでも考えている方なら誰しもが一度は気になったことのあるのが東京大学だと思います。
一方で、日本最高峰の大学ということで、「どうせ、自分には無理だから。」と東京大学の入試の実態を把握することすらしないであきらめてしまう人がほとんどだと思います。しかし、問題の内容等も知らずにあきらめてしまうのは非常にもったいないことです。
そこで今回は、そんな人のために東京大学の文科の入試問題の形式・傾向と、過去問を解く以外の対策法を簡単に説明していきたいと思います。
英語
形式・特徴
東京大学の英語は120点満点で120分となっています。
問題の内容としては、英文の要約、英作文、リスニング、文法問題、英文和訳、文章問題などが中心になります。
ただし、毎年微妙に問題の形式を変えてくることも特徴として挙げられます。
過去の一例としては、リスニングの答えの選択肢が四択から五択に変わるなど。
ちょっとした変化に戸惑わないよう心構えをしておくと良いでしょう。
傾向・対策
それでは、以下具体的な対策を各問題ごとに述べていきます。
要約問題
要約問題は英文を読んで内容を100字程度の日本語に要約するというものです。
東大の要約問題は二項対立がテーマになっていることが多いです。
例えば、Aは〇〇である一方、Bは△△であるというような感じです。
したがって、この二項対立を意識して、普段から答案を作成していくことが必要です。
また日本の英語教材は難易度の低い教材が多いので、難しい英文になれるために、下記のような難易度の高い英文集に日常的に触れておくのが効果的です。
英作文
英作文は写真やお題に沿って、受験生が感じたことや考えたことを解答させるといったものが多いです。
東大の英作文は減点方式であると言われていて、内容や表現が素晴らしいから加点ということはありません。
したがって、できるだけ簡単な単語や熟語を用いて文法上のミスをなくし、内容も平易なものにするのが賢いといえるでしょう。
普段から基本的な語彙の完璧な習得を意識しておくことが重要です。
リスニング
リスニングは長文を3つほど聞いて、あらかじめ用意されている設問に答えるという形式が多いです。
問題の放送は二回繰り返されます。 東大のリスニングは長文を3つ聞かなければならないため集中力を要します。
そのため、普段から英文に耳と口を使い親しむとよいでしょう。具体的には耳で聞いた音声を追うように繰り返ししゃべるシャドーイングという勉強法がオススメです。
はじめは、全くついていくことができないでしょうが、繰り返し行うことで、東大のリスニングにも対応できるようになります。
シャドーイングは「リピーティング」という手法の一つですので、こちらの記事もご参照下さい。
文法問題
英文の下線部の文法的誤りを直すという形式が一般的です。
東大の英語の問題としては平易なレベルであることが多いです。センター対策の文法書を完璧に習得すれば十分です。
ただ、この部分にかけられる時間は多くないのでスピーディーに解く練習は普段から必要でしょう。
ちょうどよい教材としては、文法・語法を広く網羅しており、わかりやすさにも定評のある 「Next Stage」 がおすすめです。
英文和訳
長文の数か所に下線が引かれ、その部分を和訳するという形式です。
文法問題と同様にそれほど難易度が高いわけではありません。しかし、単語レベルの誤訳や文法事項のヌケが減点につながっていきます。
英作文や文法問題で習得した知識をフルに生かすことを解答の際に意識しましょう。
訓練方法は「要約問題」と同様で良く、より多くの英文を正確に読み解けるよう普段から多くの文章に触れておきましょう。
文章問題
一つの長文が出題され、それに関する設問を解いていく形式です。
他大学の長文と比して、物語文が出題されることが多いです。
設問や語彙自体は難易度が高いわけではないですが、物語文独特の表現がミスリードを誘発することがしばしばあります。
これに関しては、過去問や類似した他大学の長文に多く当たり慣れていくしかありません。
国語
形式
次に国語をみていきましょう。東京大学の国語は120点満点で150分となっています。
問題の内容としては、文系は評論文、古文、漢文、エッセイまたは小説の四つの大問からなるのが通例となっています。
現段階でこの形式はほとんど変化することはないといえるでしょう。
傾向・対策
現代文(評論文)
一つの評論文を読み、各設問に答えていく形式です。
漢字の書き取りと、内容の要約問題があるのが特徴です。
東大の現代文は例年二題出題されますが、評論文では問われた事柄に対して素直に答えていけば確実に点につながっていくと言われています。
特に要約問題は数をこなすほど上達していくので、多くの問題にあたり、先生などに必ず添削をしてもらうようにしましょう。
また、三題ほど出題される漢字問題は平易なものなので、漢字に自信のない方は普段から分からない漢字をチェックしてストックしておくようにしておきましょう。
現代文(小説・エッセイ)
一つのエッセイを読み、各設問に答えていく形式です。
二題ある現代文のうち、比較的得点が伸び悩むといわれているのがエッセイなどを取り扱ったこちらの問題です。
抽象的な内容を取り扱った文章が出題されることが多く、設問で問われている事項も他の大問を比べて分かりづらいものが多いです。
基本的には評論と同様に設問に素直に答えていくことになりますが、答え合わせの際はいくつかの出版社の解答と解説を読み比べることをオススメします。
なぜなら、出版社によってもこの設問は解答が大きく異なることがあり、秀逸な解答もあればイマイチな解答もあります。
これらを自分の解答と見比べながら、それぞれの解答を批評していくことで本質的な理解を深めることにつながります。
古文
一つの古文を読み、各設問に答えていく形式です。東大の古文は比較的内容を把握しやすい平易なものが多いです。
しかし、現代語訳を作成する問題で単語や文法事項のケアレスミスで部分的に減点される人が多いのも事実です。
したがって、普段の学習では、基本的な古文単語と文法事項の確認を徹底していれば十分でしょう。
漢文
一つの漢文を読み、各設問に答えていく形式です。
東大の漢文は古文と同様に内容把握がしやすく平易です。
古文同様やはり、現代語訳で細かい得点の差がでますので、普段から基本的な漢字の持つ意味、重要句形などはチェックしておくようにしましょう。
数学
形式
続いて数学です。東京大学の数学は文系の場合、80点満点で100分となっています。
問題の内容としては、毎年四つの大問が出題されます。特定の分野が出題されることが多く、具体的には微分・積分、確率、整数などが頻出と言えます。
傾向・対策
微分・積分
文系数学において最も出題され、難易度も最も易しい分野です。
問題としては直線と三次関数に囲まれた面積を求める問題などが多いです。東大の文系数学で毎年と言っていいほど出題される分野になります。
また、難易度も易しいのでとりこぼしのないようにしたい分野ですが、計算が多く熟練者でもミスをする可能性は十分あります。
したがって、基本的な参考書で典型問題を繰り返し解き、計算ミスを減らすため面積を求める公式を適切に使えるようにしておきましょう。
確率
問題の内容はバラエティに富んでいますが、単純な確率の問題と確率漸化式の問題、その融合といったパターンがあります。
確率も微分・積分同様に頻出の分野です。確率のみの問題の対策ならば、基本的な参考書のみで足りますが、確率漸化式は一般的な参考書にそれほど多く問題が掲載されていません。
したがって、文系の他大学の過去問で演習をしておきましょう。
具体的には、一橋大学や京都大学などの問題を参照するとよいでしょう。
整数
出題される年度によって、難易度の差が激しく、問題の内容がバラエティに富んでいるという特徴があります。
整数はその分野の性質上、対策も難しいです。しかし、他の分野と同様、典型問題の考え方を利用するということが多々あります。
東大の整数問題対策は基本的な参考書を網羅した後『マスター・オブ・整数』という整数に特化した参考書で多くの問題にあたることをオススメします。
社会
形式
最後に社会です。東京大学の社会は文系のみの科目で、科目は、世界史、日本史、地理の3つの中から2つを選んで解答するという方式になっています。
1科目は60点満点ずつ、2科目合わせて120点満点で、試験時間は2科目合わせて150分というのも特徴の一つです。
傾向・対策
以下、各科目について見ていきます。
世界史
世界史は400字程度の大論述一題、60字程度の中論述数題、短答問題(一問一答形式)が例年の問題構成になっています。
以下、各大問別にみていきます。
大論述
400字という字数ですので、答案の構成を意識しないと支離滅裂な内容になってしまいます。
そこで、普段の学習から必ず構成メモや下書きをするようにしましょう。メモには論述中で用いられるキーワードや因果関係などを残すようにすると、時間もセーブできます。
普段の学習方法については中論述にて述べます。
中論述
60字程度の中論述ですが、字数制限が厳しく簡潔にまとめることが求められます。
対策としては、教科書レベルの知識を確実かつ簡潔に説明できるようにするため、普段から用語集を用いて重要語句の説明を確認しておきましょう。
短答問題
10題程度出題されますが、これも中論述の対策同様、普段から基本知識の整理を行うようにしましょう。
また、世界史でより確実に点を稼ぐという方は、重要な歴史上の出来事の年代を暗記しておくようにしましょう。
年代暗記は、市販の参考書でゴロ暗記をするのがオススメです。
地理
地理は大問が3つあり、それに付随する小問に解答するという形式です。
しかし、問題内容は最新の国際的な時事ネタなどからとられることが多く、受動的な学習のみでは合格点は厳しいでしょう。
対策としては、気候や地形ごとの特色など、不変の知識を先に一般的な参考書で取り込み、その後、ニュースや新聞など普段の生活から地理的な話題(貿易問題や貧困問題、難民問題など)に目を向け、先に習得した知識とリンクさせ何が問題なのか、といったことを自分の頭で考えることが重要です。
これを過去問演習と並行して行うことで他の受験生に差をつけることができます。
日本史
日本史は大問が4つあり、問題文に資料などが与えられ、それに関する記述を求められます。
対象の時代はそれぞれ古代、中世、近世、近代というのが一般的です。
対策としては、他大学の問題と異なり、問題文で与えられている資料の精読を普段から心がけましょう。
この資料を分析することができなければ、出題者の意図をくみ取ることができず、いくら知識をたくさん書いても最悪0点となる可能性もあります。
具体的には過去問を解いて、与えられた資料やその資料に関する事項を用語集を用いて理解するようにしてください。
さらに、解答に際して特に重要なのが教科書の内容・記述にしっかりと準拠するということです。
ですので、普段の学習では用語集に加えて、歴史事項に対する評価の教科書の言い回しを覚えるようにしましょう。
オススメは山川出版社の教科書です。
まとめ
以上が東京大学の文系入試の大まかな全体像です。
各科目の詳細に関しては割愛させていただきましたが、東京大学だからといって、いたずらに難解な問題ばかりではないということが全体に共通していることでしょう。
むしろ、教科書レベルの知識を利用して、基本的な事柄が理解できているか、その基本的な事柄の応用ができるか、という問題が中心と言えるでしょう。
ぜひ、これから大学受験をする方は東京大学という選択肢を志望校の中に入れてみてはいかがでしょうか。
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