短期記憶から長期記憶に変える方法を知って効率的に勉強をしよう!

なんでこんなに物覚えが悪いのかと、テストの点数に落ち込んでいる方もいることでしょう。
一方で、短時間でスポンジのように知識を吸収してしまう人もいるから不思議です。

頭の良い人を横目に、才能の違いだと思ってしまうかもしれませんが、それは大きな誤解です。実は、記憶のコツを知っているかどうかが大きな違いを生んでいるのです。今回は、記憶のメカニズムをもとに効率的な勉強方法を紹介していきます。

そもそも人間は記憶力が低い?

一度見ただけで覚えられたらどんなに勉強がはかどることか、と誰しも考えたことはあるのではないでしょうか。ですが、それとは裏腹に人間は、本来物事を忘れるようにできています。その事実を明らかにしたのが、エビングハウスの忘却曲線です。

エビングハウスの忘却曲線とは?

エビングハウスの忘却曲線

ドイツの心理学者であるエビングハウスが、無意味なつづりを暗記した後の保持率を曲線に示したものです。

結果として、20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%、一週間後には77%、一か月後には79%を忘却し、最終的に21%しか記憶を保持できなかったとのことです。このように、特段の工夫をしない限り約5分の1しか覚えていられないことから、人間はそもそも記憶力がよいわけではないといえそうです。

ではなぜ、同じ人間でも勉強ができる人とできない人の差が生まれてしまうのでしょうか?それは記憶のメカニズムを理解しているかどうかに違いがあります。それを知るためにも、引き続き記憶の種類を学んでいくことにします。

記憶の種類

記憶のメカニズムを知るための最重要ワードが「短期記憶」と「長期記憶」です。なぜこの二つが大切なのか、それぞれの特徴を説明していきます。

短期記憶

短期記憶を理解するには、スポーツ試合の得点計算が丁度よい例となります。
試合中であれば得点を覚えていられますが、10年後まで覚えていられることは、余程特殊な試合でない限りあり得ないといえるでしょう。このように、短期記憶は必要なときに短い時間だけ保持できる記憶のことをいいます。

長期記憶

生年月日や住所を聞かれて応えられない人はそうそういません。それは長期記憶として脳に保存されているからです。このように、長い間ずっと保持される記憶が長期記憶です。

長期記憶にはさらに、陳述記憶と非陳述記憶に分かれます。
まず、陳述記憶は言葉にできる記憶のことです。旅行に行った思い出や、「方丈記を書いたのは鴨長明だ」などといった勉強の記憶もこれにあたります。
非陳述記憶は、文字通り言葉にはできない記憶です。手続き記憶などが含まれ、久しぶりにやったゲームがスムーズにできることなどがこれにあたります。

短期記憶から長期記憶に変える方法

短期記憶と長期記憶の種類をお伝えしましたが、どちらの記憶が勉強において大切かはもうお分かりいただけたことでしょう。もちろん、長期記憶です。
これを踏まえると、勉強ができない人は、学んだ知識が短期記憶にとどまり、長期記憶として定着していない可能性があります。

ここからは本記事で最もお伝えしたい短期記憶から長期記憶に変える勉強方法を紹介していきます。

最低でも1か月以内に復習を繰り返す

最も大切なのがインプットした知識を何度も復習することです。脳に刺激を加えることで脳がその知識が必要なものだと認識し始めます。すると、関係する脳神経が太くなっていき、記憶がスムーズに取り出せるようになります。

その点で、一番非効率な勉強方法は長時間参考書を眺めて勉強した気分になることだといえます。吸収された知識が分散されてしまうことにより、短期記憶として脳から消え去ってしまうのです。

ただ、一度学んだことは無意識な記憶として1か月程度保存されることが知られています。そのため、最低でも1か月以内に復習を心がけるようにすれば勉強をしたことを無駄にせずに済みます。

1か月以内に復習する回数は多ければ多いほどよいですが、記憶の定着には個人差もあります。どれくらいの頻度で復習すれば記憶が定着するかは、勉強をしながら体感していってください。

ドラマや漫画などで知識と感情を絡める

長期記憶に移行させる脳の部位は海馬であるとわかっています。海馬が必要な情報だと判断すれば短期記憶が長期記憶になるということです。

興味深いことに、海馬が情報を選択しているときに感情が揺さぶられると長期記憶になりやすいことも知られています。では、具体的にはどのように学習すれば記憶に残りやすいのでしょうか?

社会科目であれば大河ドラマなどで歴史を学ぶという方法があります。登場人物たちのユーモアあふれるやり取りや、派手なアクションシーンなどを見て、感情を高めながら効率的に学べます。

最近では社会科だけでなくそのほかの科目や資格の参考書なども漫画形式のものが多くなっています。積極的に取り入れてみるとよいでしょう。

インプットよりアウトプット

脳にインプットした知識の重要性を伝えるために必要なのがアウトプットです。「出力しない記憶」=「忘れてもよい記憶」と判断されてしまうからです。

このことは現実世界でも同様といえます。普段使わない物を押し入れに入れておくと、必要なときに取り出せませんよね。したがって、短期記憶を長期記憶に変えるためには、インプットよりもアウトプットを意識することが大切です。

では、具体的にどのようにアウトプットすればよいのでしょうか?代表的なのが問題を解くことです。問題を解くには、公式や単語など学んだ知識を必然的にアウトプットしなければなりません。シンプルな方法ですが、無意識にアウトプットできる点は非常に効率的です。

同じくらいおすすめの方法が学んだ内容を人に説明することです。人に説明するときには記憶を文字にしたり言葉にしたりする必要があります。つまり、説明とは、アウトプットなしでは行えない作業であり、インプットした記憶を長期記憶にするのにうってつけの方法なのです。

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知識の必要性を意識する

学校の授業を聞いていて科目に関わる雑談が面白く、あっというまに時間が過ぎてしまったという経験はだれしもあるのではないでしょうか?これは脳が一見無味乾燥な知識について身近で役立つと判断しているからこそ、もっと聞きたいという気持ちが生じていると考えられます。

そのため、こんなこと覚えて何になるの?・・・と思っているときは残念ながら記憶に残りません。今勉強していることが何かに役に立つと思えてこそ、脳が記憶にとどめようとするからです。

その点で、目の前の知識が生活でどのように役立つのかを意識して勉強することが重要になります。例えば、栄養素についての学習であれば、体にどのようなメリットがあるのかを考えたり、身近なドリンクに含まれていないかを確認したりすれば、興味が出て記憶に残りやすくなります。

社会人であればなおさらです。資格で学んだ言葉を仕事で使うなどすれば知識の必要性が実感でき、自然と定着力が上がります。

記憶を呼び出すスイッチを作る

記憶は脳に無意識に保存されていることを前述しました。しかし、意識しないとそのまま消え去ってしまうため、呼び起こすコツを抑えておく必要があります。そこでぜひ取り入れてほしい方法が、記憶を呼び出すスイッチを作ることです。

詳しく納得していただくために、例を挙げてみます。例えば、ため息をつくと欝々とした気分になるし、笑顔を作ると明るい気持ちなりますよね。これらは、それぞれの動作がきっかけとなり、それぞれに対応した気分を生じさせているのです。

このことを応用すれば、記憶にもスイッチを作れば呼び出しがスムーズになるといえます。では、どのようにスイッチを作ればよいのでしょうか。本記事で学んだ、「エビングハウス」というワードを試しに記憶してみましょう。

まず、人差し指をじっと見つめてください。その後エビングハウスを連想してください(このとき忘却曲線の内容も思い出すとベスト)。この作業を複数回繰り返します。

効果が現れるか確認してみましょう。それでは、人差し指を見てください。先ほど覚えたエビングハウスという言葉が自然と浮かんで来れば成功です。もちろん、スイッチは人差し指でなく、中指でもよいし、腕にあるホクロでもよいです。が、特に筆箱の文房具がおすすめです。それぞれをスイッチにすれば、学校の試験中や資格の試験中でも記憶を呼び起こせます。

このように、スイッチを作れば記憶の呼び出し回数も増加させやすく、短期記憶を長期記憶へと変えやすくなるのはいうまでもありません。

まとめ

以上、長期記憶から短期記憶に変える方法について紹介しました。勉強が苦手だと感じているかたは、記憶力が悪いのではなく、長期記憶に変化させる方法を知らなかっただけであることが実感していただけたのではないでしょうか。

ちなみに、長期記憶に変える方法は今回紹介した以外にも、一般的なものから特殊なものまでさまざま存在します。

記憶の仕方はそれぞれ個人差があるため、一つの方法に固執して無駄に勉強時間を浪費しないようにだけは気を付けてください。本記事を読んだ方が、少しでも勉強への苦手意識を払拭していただければ幸いです。

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