暗記と応用が必要だ、と多くの受験生には思われている科目が「生物」です。
理数系科目の中では計算を中心とした出題割合が低いため、理数系アレルギーの文系受験生でも「とっつきやすい科目」とも言われています。
一方で、受験直前模試や予想模試シーズンになってから、多くの受験生が成績の伸び悩みや順位・偏差値の低下に悩む科目でもあります。
ところが、暗記が多い科目とは、そもそも1科目あたりの暗記すべき情報量が多い科目だけに、ノートなどの情報整理や問題演習の取り組み方法を変えれば、かなり成績は伸びやすく維持もしやすくなります。
今回はそんな、大学受験生物学習のポイントをご紹介します。
目次
受験で使うのはセンター+二次試験? 用途で異なる対策
生物を受験に使用する場合、センター試験だけで使うのか、それとも二次試験も含めて使うのかによって、かなり出題範囲と対策の方法が異なってきます。
センター試験における生物という科目は、教科書に書かれている内容をしっかりと理解し、重要問題集に掲載されている問題が解ければ得点源にしやすいです。
二次試験で生物を使う場合、「単なる高校時代の学習範囲だけから成る記述式」の大学は、今となっては稀なほど。
近年は、「計算や論理などの総合的な思考力を見る問題」「(物理・化学・地学などとの)複合問題」「学習範囲外の非常に難しい内容を出題し、今ある知識でどんな対応をするかを見る問題」「英語・数学などその他の科目との複合問題」といった出題傾向が見られます。
また、理系と文系で、あるいは大学によって、学習する領域そのものや演習量、問題の質や難易度もかなり大きく異なる特徴があるのが、生物という科目です。
さらに二次試験で使用する場合は、生物に関連した様々な科目や学校で教える以上の範囲を大量に理解して、自分で説明できるだけの力が必要な場合があります。
そのため生物を二次試験で使用する場合は、実は理系科目の中では圧倒的に多くなるので、学習作業量を見極め、無駄な時間を極力かけないために、生物を受験に使おうと考えたら下記のような分析を行うとよいでしょう。
- どんなタイプの試験?
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- マークシート or 記述
- 論述問題の有無
- 他単元 or 他科目との複合問題の有無
- 作図の有無
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- どんな範囲が出ている?
- 出題のレベルが傍用問題集と比べてどれだけ乖離があるか
- 図表を使った問題に対応するために、どの程度細部まで情報を覚えるべきか
- 未知の理論想定の記述問題のように、深い考察力や各単元同士のデータを関連させた類推問題などを含むか
- 教科書や資料集を読み込めば解答にたどり着けるタイプの問題かどうか
- 他単元と関連する問題の比率だけでなく、数学・物理・化学などの他科目との複合問題の有無
- どんな範囲が出ている?
- 記述式の問題配点割合は?
- 空欄補充
- 記述問題で求められる字数
- 記述問題の配点とそれが全体に占める割合
例えば赤本や模試を使って、受験したい大学や成績UPを目指したいテストや模試について調べてみると、情報がまとまって掲載されていることがあるので比較的楽に行えます。
受験問題としてはこれら特徴に合わせて、勉強の仕方や覚えるべき項目の全体配分を調整していく必要があります。
また、受験する大学によっては英文で生物に関する用語を把握しておく必要もあります。
現在は、高校によっては、在学中に米国などの高校教科書を勧めているところもあります。
内容的には日本語で習うよりも分量ははるかに少ないのですが、用語などの学習や考え方などの面から、学習に時間がかかります。
特に難関校の国公立後期日程も視野に入れているケースや、海外の大学への入学を視野に入れている方は、このような対策も行っておきましょう。
書籍そのものもありますが、EbookやEdexなどをはじめとした無料のコースでも、用語や基礎程度ならかなり使える講座があります。
ちなみに、日本語で高校レベルの学習範囲を超えた内容が必要な場合には、放送大学などの映像教材が使えます。
生物対策の基本
生物の場合、センター試験でのみ利用するケースでは、教科書や参考書の全範囲がしっかり頭に入っていれば8割は確実ともいわれています。
二次試験で利用する場合、それにプラスした理解が必要です。
生物の基本は教科書を読むこととしている学校もありますが、教科書はあまり詳しい記述はありません。
そのため教科書と自分に合った基本参考書を一緒に読み込んで理解し、ノートをまとめていくとよいでしょう。
これと同時に、手元の教科書や問題集では出てこない受験用の生物用語集を1冊購入し、ムラなく暗記します。
用語集だけを覚えてもかなり点数UPは実感できますが、そのためには最低でも1,000~2,000語レベルの「受験用生物用語集」を選ぶとよいでしょう。
この3つをインプットする時には資料集や図説も参照しますが、この時点では細部までは暗記しなくてもOKです。
暗記しづらい方の場合、教科書や参考書に掲載されている作図レベルだけ先に暗記し、その後資料集や図説レベルの詳細な部分まで暗記する方が、スムーズな理解が見込めます。
手戻りなく学習するためのスケジュール管理!
生物の場合、INPUT量が膨大です。
だからこそ定期試験対策や受験対策を通して効率的に学習し、手戻りを少なくすることが大切です。
例えば私は下記のフローで学習していました。
用語集を先行して集中的に攻め始め、必要に応じて教科書や参考書を調べる。
↓
しっかり教科書や参考書を暗記し、必要に応じて資料集や図説などを調べる。
基本問題集や応用問題集の演習を進める中で、必要に応じて資料や図説を都度参照し理解に努めれば、手戻りなく各単元を覚えることができます。
私は幾度か受験勉強を経験しましたが、各回ともゼロから初めてこのようなスケジュールのもと偏差値を20前後上げ、またその維持を図れました。
センター試験の生物対策として、INPUTが終わった後はマークシートの重要問題や過去問の演習に進みましょう。
INPUTが終わった段階で、必須問題や重要問題を広く問題集の記述式で解いている方も多く見られます。
センター試験では計算問題も図表問題もかなり出題パターンは限られていますので、記述式問題の演習に取り組む際は出題傾向を掴んでから行うと効率が上がります。
受験対策においては、出題形式がどのようなものであれ問題を解きっぱなしにするのではなく、まず問題を解く過程をノートにしっかり残し、解き直す毎に自分が考えたポイントや、キーワード、どの部分で間違えたかをメモし、比較することが大切です。
INPUTがしっかりしていれば、8~9割の得点で維持できるはずです。
二次試験で生物を使用する時のコツ
二次試験での生物利用者では、とくにINPUTよりも、「他科目に比べても癖のある出題も多い生物」のため、演習量を増やし、単元やテーマなどの領域を広げることが大切。
INPUTは呼吸や環境関連などを除けば、ほぼ一度で終わるという方も多いため、時間のかかる単元を除いて、進める部分から行っておくのも良いでしょう。
生物1教科をまるっと頭に入れるのに、教科書、参考書、生物用語集を使い3~4週間を要する方が多いようです。
また授業で生物をスタートする前に、あるいは選択履修しない方がゼロからノートをまとめながらINPUTするケースでは、この倍程度の期間を要するという方もいます。
実験についての問題について、資料集や図説を見ながら問題集を解いて覚えていく部分は、INPUT期の暗記内容とほぼ同じかそれ以上に多いため、所要時間が3~4週間という配分は標準かもしれません。
記述式の対策としては、まずは基礎問題の着手から始めましょう。
ある程度知識が身に付くと応用問題であっても「あ、解けるかも!」となりやすいのですが、どの部分に注意して書くべきかに注意して、冗長にならず的確な解答を書けるようにするために、まずは基礎問題から取り組んでください。
問題を解いた後は定期的に間違いの原因を分析したり、解答に詰まりやすいところなどをチェックしていくのもポイントです。
こういった作業を時間の無駄なく行うためには、次のような演習ノートの使い方がおすすめです。
チェックリストとしても使うためのノート作成方法
私個人としては、生物の学習に割ける時間があまり多くなかったのですが、生物の単元は細分化されていて情報が整理しやすかったことから、無駄の少ない演習ノートを作成し、それを利用して自分なりの参考書やチェックリストとして使用していました。
基本的に問題演習では、間違いが1つもなくなるまで大問1題を解いて仕上げるやり方を採っていたので、間違いが多い問題は格段にページ数が多くなりました。
問題演習ノートの作り方&使い方
作り方
方眼ノートで1題1ページのノートを作り、問題文を上に(長文問題では左に)見やすく配置します。
特に理系各科目の演習問題ノート作りや長文問題ノート作り関連ではコーネル大学式ノート分割や、5分割ページ配置などにして作っておくと後々便利です。
参考 コーネル大学式ノート分割最初はその下に問題を解いて、答え合わせの時に、キーワードや関連図表を手で書き込んでいきます。
間違えた問題や、しばらく期間を空けてまた問題を解くときには、その上に一回り小さめの大きな方眼レポート用紙を貼り付けてください。
その上に解答を書きこみ、同じように答え合わせを行っていきます。
マークシートでも記述式でも同じノート作りを行いますが、自分で問題を解いた分、紙を貼り付けていくので用紙がその部分だけ厚くなり、苦手な問題が分かりやすくなります。
そして、いつでも簡単に自分が間違いがちな傾向が調べやすくなります。
各種のテスト当日、急に不安で記憶が抜けそうなときも、このノートの中で分厚くなっている部分だけを中心に見直せます。
難点は方眼レポートではなくルーズリーフにするとかなりの厚みになることと、調べている間にページが抜けがちなことです。
だからといって紙とじタイプのノートでは冊数が増えることがネックになります。(燕ノートやKOKUYOの高級タイプ、クレールフォンテーヌなど)
ベースとして張り付けていくための用紙自体も厚手で、しっかり糸とじ(もしくは大きめの針金リング多穴閉じ)してあるタイプのノートが使いやすかったのでベターです。
最終的には、試験前などに持ち歩く生物の演習用ノートだけで10冊近くになりました。
「これだけ問題を解いた」という実感と自信にも繋がるため、モチベーションも維持しやすく張り合いにも繋がります。
紙ノートで授業を受け、問題演習を行っている方には、この方法もおすすめです。
まとめ
今回は生物学習のポイントについてご紹介しました。
試験直前の12月に入るとこれらの基本学習以外に、直前模試や講習会、赤本関連を中心とした学習にシフトすることが一般的です。
これ以前の間に、このサイクルを最低でも1回繰り返せることを目安に、受験勉強の時間配分や進捗をしっかり考えて行っておくのが良いでしょう。
学習スケジュールを立てたら、学校での指導相談はもちろん、予備校や塾などのカウンセリングを利用し、現在の成績や各科目の問題傾向と学習法のマッチングなどを常に確認してもらうのも大切です。
特に学習塾や予備校でのカウンセリングでは、学生アルバイトから、専業のカウンセラーやチューターまでを用意しているところもあります。
とりわけ専業のカウンセラーにこまめに相談することで悩みも少なくなるだけでなく、頭が整理され自分の記憶や取り組み方もスマートで効率よくなります。
受験勉強は大きなハードルともいわれますが、実際社会に出るとさらに大きな試験もたくさんあります。
その第一関門の受験…使えるサービスをしっかり活かしながら乗り切りたいですね。
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