様々な職業で大活躍!エネルギー管理士試験学習のポイント

エネルギー管理士

私たちが普段、学校や病院、駅やオフィスビル、工場など、さまざまな大型施設を利用している時・・・あまり意識していませんが、その内部の空気や温度、明るさや移動のための設備などは、人に対して非常に便利に常にコントロールされています。

これらの調整の際に使用されている機材は、電気やボイラーなどによって適切な場所から取り入れられて、入れ替えや運搬などが行われています。また施設によっては、万が一地域の電力網などが途絶えたときにも、施設内での発電などの設備を動かすことで、滞りなく利用が図れるようになっているところも多くあります。

こういったさまざまな設備を持つところで必要とされる資格者が「エネルギー管理士」、略称「エネ管」です。

今回は、このエネルギー管理士について、そしてその資格取得の方法や、独学で試験学習を行う際のポイントについてご紹介します。

エネルギー管理士とは?

エネルギー管理士とは、電気と熱エネルギーについての国家資格です。

かつては、「熱分野」と「電気分野」に分かれて国家試験が行われ、それぞれに別の有資格者とされていました。
2013年(平成25年度)以降から、両分野の課目に合格することで「エネルギー管理士」と称する統一された国家資格に変更されました。

現在は移行措置中で、旧試験の片方の分野だけに合格している人は、3課目免除で1課目の試験に合格することで、新制度の「エネルギー管理士」となれるシステムとなっています。

工場、大型施設等の管理者などには、このエネルギー管理士や、法などで定められた特定の有資格者を一定数そろえる必要があるため非常に需要が高くなっています。

また、設備設計や生産管理等のコンサルティング他の業務においても、こういった見識が欠かせないケースは少なくなく、技術士や各種の生産管理系コンサルタントを多く擁する企業の中では、エネルギー管理士資格を必須としているところも多くあります。

詳しくは後述しますが、現在は、国家試験合格+定められた実務経験1年によってエネルギー管理士免状を得る方法と、定められた実務経験3年以上+定められた研修を受講し修了試験に合格することでエネルギー管理士免状を得る方法の2通りがあります。

エネルギー管理士とは何をする人?

エネルギー管理者の設置が義務付けられているということで良く知られているのが、定められた一定以上の規模のエネルギーを使用する「第一種エネルギー管理指定工場」かつ「製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業」ほかに属する工場での「エネルギー管理士」設置義務があるところです。
また「第二種エネルギー管理指定工場」でのエネルギー管理員選任などでの求人も見かけられます。

設備の維持や、エネルギー使用方法の改善や監視、経済産業省令で定められた業務管理範囲については、「エネルギー管理士」の中から選任された「エネルギー管理者」によって行われるものと法で定められています。

建設やインフラ、機械装置、プラント等の設計、また生産管理などの業界では、前記の条件に該当していない設備でも、これまでのエネルギー消費の計測や、実績からの設備や各種の装置・業務プロセス見直しに際して、エネルギー管理士としての視点を生かした分析が必要なケースもあります。

また、改変等工事や各種の審査、設備移行期などに、新たな設備やシステムに対応した技術見識を持つ人物が必要となるケースもあります。

そのため、運用・運営といった各工場や設備での日常の業務以外、建設設備関連やこれらに関連するコンサルティング等の業界でも、広く活躍しているエネルギー管理士がいます。

エネルギー管理士になるための方法とは?

先ほど簡単にご紹介しましたが、エネルギー管理士になるには、国家試験への合格に加え実務に1年以上就いて免状を得る方法と、実務に3年以上就いた後に試験実施団体でもある一般財団法人省エネルギーセンターによる「エネルギー管理研修」を受講・修了試験に合格して免状を得る、という2通りの方法があります。

どちらの場合も「実務」とは「エネルギーの使用の合理化の実務」として定められています。

国家試験で資格取得する方法

大学などで修士や博士課程にいた人たちの中でも、比較的手ごたえがあると答える方も多かったエネルギー管理士試験。
業務で各種プラント設計を行う人の中でも、テストではまんべんなくある程度の範囲が出ることから「ゆとりをもって3~4か月前には、試験勉強を始めないとダメ」という方も多い試験です。

一般財団法人省エネルギーセンターが毎年1回行う国家試験で、毎年5月中旬~6月中旬ごろに受験申し込みを行い、8月上旬に1日で本試験が行われています。

国家試験の受験資格自体には特に制限はなく、法令等や概論、管理技術基礎などを含んだ、必須の課目Ⅰのほか、課目Ⅱ~Ⅳについては熱分野もしくは電気分野を選択し、合計4課目、各60%以上の得点で「国家試験合格」となります。

各課目の合格から3年間は課目合格による免除制度が受けられ、1度合格とされた課目は3年間は再受験する必要はありません。

これを考慮すると、免除期間が過ぎた課目と、まだ合格していない課目だけを追加すれば、かなり長いスケジュールを組んで試験合格を目指すこともできます。

いずれにしろ、試験合格と実務経験の両方が、免状交付=正式なエネルギー管理士として活躍するためには必要なので、課目合格の間に所属先企業などで実務経験を積まれる方も多いようです。

課目Ⅱ~Ⅳの熱分野と電気分野それぞれの出題範囲

課目Ⅱ〜Ⅳの熱分野・電気分野それぞれの出題範囲については、以下のようになっています。

  • 熱分野
    • Ⅱ:熱と流体の流れの基礎
    • Ⅲ:燃料と燃焼
    • Ⅳ:熱利用設備及びその管理
  • 電気分野
    • Ⅱ:電気の基礎
    • Ⅲ:電気設備及び機器
    • Ⅳ:電力応用

また、直近の試験問題と解答・配点については、試験を実施する一般財団法人省エネルギーセンターで、公開しています。
https://www.eccj.or.jp/mgr1/test/answer.html

熱分野と電気分野では、高卒で完全に文系という方でも、どちらも「まじめに取り組んでさえいれば、比較的正解しやすい問題」ばかりが出題されます。

ですが、合格者の間や、各企業の研修担当者などの間では、どちらかというと熱分野のほうが「公式などに沿った問題が出る」「計算間違いなどで失点する可能性が少ないだろう」といわれることが多いようです。

筆者も実際に問題集を見比べて取り組んでいますが、専門教育を受けた経験が無い方には、熱分野のほうが易しそうです。

とは言え電気分野でも、しっかり基礎知識から固めて、過去問を解きこめば無理なく合格できるレベルですが、苦手とする人も多いラプラス変換や、配電時の力率改善などが問われる部分もあり、「電験」対策などでこうした学習をしたことが無いのなら、熱分野のほうがおすすめかもしれません。

関連資格について

熱分野は「危険物取扱者」の乙種4類と試験範囲が近いことに加えて、実際の現場業務でも危険物は貯蔵や輸送など含めすべて取り扱える必要があるケースも多いことから、同年度内にまとめて受験するのが一般的です。

「危険物取扱者」資格対策についてはこちらの記事をご参照ください。

危険物取扱者試験各種の攻略と、無駄のないスキル習得パスは?

電気分野は、「電験」3種や「技術士」試験における電力科目と範囲が重なることから、これらも一緒に受験される方が多いようです。

難易度としては、「電験」3種の方が簡単というわけでもなく出題範囲も多く重なるため、あまり変わりません。
「技術士」試験に関しては、記述部分が多いことからちょっと違った試験対策が必要となりますが、企業などでは「どちらかの試験に前後して両方受験すれば合格率が高まる」と指導されることが多いようです。

試験対策の問題集について

各種講座を受講する方もいますが、大学で化学や工学を専攻していなくても、独学だけでかなりしっかり理解できます。

おすすめの書籍は、オーム社の『エネルギー管理士過去問題集』です。
12年分の問題と解答が掲載されており、毎年新たな版が出ています。ほぼこれ1冊を解いていくだけで、高校時代に数学や理系科目が苦手だった方でも、しっかり理解できます。

このほか、もう少しすっきり理解したいなら、電気書院の『エネルギー管理士模範解答集』もおすすめです。こちらも毎年新たな版が出ています。

筆者は「電気通信主任技術者」の線路範囲、「技術士」の一次試験対策問題集で計算など基礎的な項目を一通り学習した後、オーム社の過去問題集をメインに、足りない部分で解説が欲しいところは電験3種テキストなどで学習、その上で過去問題集を解いていますが、初回でも7割程度は解答できる程度なので、かなり理解しやすいのではないかと思われます。

また、さらに詳細な解説が必要な部分は、理解しやすくて評判の、省エネルギーセンターの『エネルギー管理士試験 直前整理』がやはり詳しいかと思います。

受験料について

エネルギー管理士試験の受験生が一番つらいという部分は、実は「受験料」であったりします。

2019年現在、17,000円かかります。国家資格の試験の中では比較的高額と言えるでしょう。
先述の科目免除制度もあるとは言え、できることなら科目合格ではなく、一年で全科目合格できるほどのスキルにまでしっかり対策して出願したいところです。

企業で受験費用補助があるところでも、この試験についてだけは、事前に社内で予備試験などを行って、その年に受験できるかどうかを判断されるところもあります。
また、特にこうしたシステムのない企業でも「1度試験に失敗すると、考課面ではなかなか厳しい部分もあること」も、一応頭のどこかに入れておきましょう……。

試験対策期間について

独学での試験対策期間としては、大学の一般教養などをはじめ化学等の知識を全く持たない方が始めるケースでも、平日のうち毎日2~3時間を学習に充てて、6か月程度で合格できたという方もいます。
一方で、工学や農学、理学などでも、熱や電気のどちらかの範囲しか履修していない旧帝大出身者などでも、合格までに5~6回の受験を要したという方もいました。

いずれの課目も全体の60%ずつ取れればよいこと。
また、試験日を含めて3年間の間科目免除があること。
実務経験が必要ではあるものの、受験しながら有資格者のもとや当該部門でキャリアを積めるため、気長に取り組めること。
などからトータルに見れば、技術系国家試験としては非常に取得しやすい方に入るでしょう。

研修によって資格取得する方法

新試験になってから、ちょっと難しくなったという印象を持つ方もいるエネルギー管理士。

ですが、現在は、定められた当該分野の実務経験を3年以上持っていれば、研修と修了試験を経て免状が交付される制度もあります。

この研修は、毎年冬季(例年12月の第2週前後の月曜から日曜)に行われており、試験を実施している省エネルギーセンターが開催するものです。東京、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡などで行われており、熱分野・電気分野とも50~250名と、地域によって定員が異なっています。

平日含めて連続した丸7日間のもので、うち講義が6日間です。通常は3か月前から、郵送による研修申し込み受付が行われています。
最終日に、丸一日かけた修了試験に合格する必要があります。もし研修を受けた年に不合格課目があった場合、翌年、不合格課目のみ、同日程の中で研修を受け修了試験を受けることになります。
国家試験による課目合格とは異なり、修了試験に合格した課目の免除は翌年のみ有効です。

この研修の受講料は70,000円で、課目不合格者が翌年に再度受講する場合50,000円です。

自分で国家試験を受験した場合、かかるのは受験料の17,000円だけなので差はかなりありますが、独学用の過去問・解説書などはなかなか高額なうえ時間もかかります。
一週間学校や仕事を休んで参加できるなら、集中できるこの研修を通じて取得する道を選択してみるのも良いかもしれません。

旧エネルギー管理士資格を持っている人は?

さて、旧制度のエネルギー管理士では「熱管理士」「電気管理士」がそれぞれ別に免状交付となっていました。

冒頭でも軽く述べましたが、この片方の資格しかもっていない場合でも、現在は国家試験のうち課目Ⅰに合格すれば、現行制度の「エネルギー管理士」となることができます。
その他3課目の免除には期間の定めがないため、旧制度の資格を持っていれば、ゆとりをもって取り組むことができます。

コンサルタントや大型施設担当者の場合、「熱管理士」「電気管理士」の両区分を取得するのが一般的でしたが、旧制度で両方を取得していれば、自動的に「新制度のエネルギー管理士」とみなされます。

まとめ

いかがでしたか?

実務系資格としては、広く活躍でき、独学だけではなかなか難しいとは言われながらも、全く知識も業務経験もない高卒からのスタートでも、十分合格圏にはたどり着けるエネルギー管理士。

この試験対策を通じて得られる、電力利用による電動力応用や空気調和、熱や流体の流れの基礎などは、あらゆる技術分野や自然科学分野で知っておいて損はない知識範囲です。

キャリアアップや転職などはもちろん、業務現場で「何かを作る・改善する」といった取り組みを行うとき、こうした知識が役に立つ部分は非常に多くあります。

個人的には、今受験する予定がない、別分野の技術や研究開発といった方でも、若いうちにある程度、頭に入れておくことをお勧めします。

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